● ルネ・フランソワ・ラコート (1834年製作)
製作者:ルネ・フランソワ・ラコート(フランス) 1834年製作 はい、オリジナルのラコートですよ。かのF.ソルもこのテのラコートを弾いていました。 ラコートさんはもともとリュート製作家でもあります。パノルモに対して絶対数が少なめといわれています。高値で取引きされる例も多いとのこと。パノルモよりひとまわり小柄で軽いボディです。
この楽器は指板の付いているタイプのなかではオーソドックスなモデルのようです、いわばスタンダードといったところか?。高価な楽器は指板の高音部と表面板の接続部に亀裂が無いか、剥がれていないか、ネックと指板が浮いていないかをチェックしましょう。割れていてもちゃんと修復してあればあまり大きな問題ではないと思います。この楽器は新宿クロサワ楽器さんにて撮影。御協力ありがとうございました。
全く同じフォルムでありながら装飾や指板やヘッドの形状の異なるモデルも多く存在します。私がいくつかの店頭で見たラコートは150万円〜200万円〜?のものが多いです。日本国内では異常な高値のせいか個人的に海外のオークションや知人づてで輸入されている方もおられるようです。
・弦長は620mm程度
・表面板:松
・側板:松にマホガニーのツキ板
■ 写真2 :ボディの拡大写真。このボディのラインは当時の製作家のあいだで広く普及していましたが、なぜかラコート御本家の楽器は気品が漂います。パーフリングのつくりとかが、他のものより精巧にできているように思えます。
■ 写真3 :サウンドホールとローゼット。 ラベルをよく見てください、面白いですよ、楕円形のこのラベルはラコートではよく見られるものですが製作年を書く欄に 182__ とだけ印刷されています。ここに製作者が楽器完成時に書き込むのですが、どうやら枚数が余った(もしくは1830年代の印刷が間に合わなかった)らしく 2 の下部に っ を書いて 3 にしたもよう。
■ 写真4 :ヘッド部です。金文字のスタンプで「らこ〜と、ぱりす」と記されているのがラコート工房の手がけたオリジナルの楽器である証といわれています。
■ 写真5 :ラコートスクールの楽器の多くが8の字(逆ヒョウタン型)のヘッドですが、ラコート自体はよく見るとカドを面取り(というより丸みをおびている)してあってカワイイです。木ペグは太いので操作はとても楽です。
■ 写真6 :ネックとヘッドの裏です。ポジションマークが2箇所に付いていますね、どうやら元々そういう仕様のようです。
■ 写真7 :ブリッジ部分拡大写真。装飾部先端の丸いボタンに施された加工がなかなか気品が高くてマル。スタンダードモデルでありながらもこういったこまかい部分が丁寧に作ってあります。
■ 写真8 :エンドピン(ボタン)が着脱できるのはラコートも例外ではありません。紛失しないように接着しちゃぁダメですよ。
■ 写真8 :裏面はこのような具合です。端正というかシンプルというか....。
もちろんラコートの機械式糸巻きのモデル(1828年製作)も存在します。ラコートはギターの部品(指板、ネック、指板、ブリッジ、ボデイ...様々)を大量生産しておいて、あとからそれらを組み合わせて1本の楽器として販売していたために、良く似ていても部分的に仕様の異なる楽器がかなりあるようです。