● ルイス・パノルモ (1839年製作)
製作者:ルイス・パノルモ(イギリス/ロンドン) 1839年製作
パノルモは一族がありまして、その中の一人らしいです。イギリスの人ではなく、楽器の構造はモロにスペイン式です。この楽器も糸巻きはオリジナルのBAKER社のもの。
・全長:930mm
・胴長:439mm
・弦長:635mm
・表面板:松
・裏板・側板:メープル(カエデ)
パノルモの指板はラウンドさせてあり弾きやすくなっています。パノルモは全般的に塗装(19世紀ギターのほとんどはセラックニス)が厚めのようです。対して残っているラコートは薄くてツヤ消し状態になっているものが時折見られます。塗装は時の流れとともにやや肌色〜褐色に近づいていくようですが、のちの修復時に使用した塗料によっては「ホントに茶色」になるようです。この楽器の程度は中の上といったところでしょうか。目白のギタルラ社さんにて90万円でしたかね。 (注:1998年現在の販売価格です)
■ 写真1 :表面板拡大。いくつかの割れの跡が見られますが修復済みです。
■ 写真2 :このパノルモは側板と裏がメイプルでして、ツキ板を使っていないモデルです。ラベル周囲を見ればわかりますが内部も塗装してありません。
■ 写真3 :裏面です。2枚を張り合わせて接着するところは現代のギターとかわりませんね。ネックは黒く染めてあり一般的なパノルモと同じです。
■ 写真4 :ヘッド部分。糸巻きはオリジナル、グリップ(象牙)の割れもありません。ナットは象牙か牛骨のようです。
■ 写真5 :左がBAKER社製、右がロジャース。よく似ています。
■ 写真6 :ヘッドの裏面拡大。ペグは巻軸もチェックしたほうがいいです。割れやすい部分ですから、この楽器は大丈夫。
■ 写真7 :側板はメイプルであるのがわかりますね。パーフリングがシンプルなのもパノルモの特徴。この角度から見ると指板がかるくラウンドさせてあるのがわかるでしょう。
■ 写真8 :ブリッジ拡大。ピンと装飾部の貝細工が特徴的です。