● マティアス・ホセ・マエストロ音楽帖(1786年編纂) 本文11ページめ(全体15ページめ)と12ページめ(全体16ページめ)
※ 本文11ページから14ページにかけて3曲が書かれていますが、この3つまとめてひとつの作品(ソナタとか)の可能性があるようです。残念なことにいずれもパート譜です。ただ、弾いてみるとわかるようにこれらは美しいフレーズを持ち、通奏低音部とソロが交互に現れるというたいへん興味深い作品です。ハビエルさんのように作曲能力に長けた方はこれに別パートを作って完成させるもよし、ソロに仕上げるのもおもしろいかと。
まずはそのうちの1曲目のアレグロ。区別するために便宜上(A)と名付けまする。P11とP12上半分です。パート譜であることと休符部分が長いためギターソロ曲に創作・展開するわけにもいかず、浄書改訂譜のみの公開です。井上景さんの注釈をよ〜〜〜っく読んでください。
All / アレグロ ト長調(A)
- マティアス自筆譜 / original Page 0011 ----- [ 2.2 MB ] JPEG形式画像 350 pixel/inch
- マティアス自筆譜 / original Page 0012 ----- [ 2.1 MB ] JPEG形式画像 350 pixel/inch
● 浄書改訂譜およびアレンジ譜ならびに注釈・・・・・・・・・・井上 景
【注釈】
アレグロ ト長調(A)
- ヘ音記号で書かれた部分とト音記号で書かれた部分が交互に現れる構成。長い休符があることから、パート譜であることが分かる。タイトルから考えて、歌曲ではなく器楽曲であろう。
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ヘ音記号の部分は単旋律であり、即興的に和音を付けて演奏する通奏低音と思われる。数字が書かれているのは一カ所のみ。ト音記号の部分は大変に技巧的に書かれている。
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この作品に続くホ短調のアンダンテとト長調のアレグロも同じような書式であり、3曲で一つのソナタを構成している可能性がある。
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失われたパートの数や使われる楽器の種類がどういうものであったか、判断は将来の発見を待たねばならない。
なお、チェンバロの為の作品においては、アンサンブルの中で通奏低音と技巧的なソロを一人の奏者が弾き分けるものがある。例:Carl Philipp Emanuel Bach / Violin Sonata H.524.5 (BWV 1020) 1st. mov.
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音部記号は全ての段にあるが、調号♯は書き落とされている段がある。
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ト音記号の中心が第3線に置かれている段もあるが、単なる書き間違えである
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101-104小節にある
及び44-46小節にある
はsimileと思われる
◆ 変更点
- 25小節 1拍目裏 前打音g → f♯
- 26小節 1拍目a 16分 → 32分
1拍目最後のg 32分 → 8分
- 29小節 1拍目最後のg 16分 → 8分
- 37小節 2拍目一つ目のa 8分 → 16分
- 43小節 2拍目 2つのaを繋ぐタイ → aとf♯を繋ぐスラー
- 46−47小節間 セーニョを付加
- 49小節 32分 → 16分
- 81小節 1拍目 前打音a → c
- 94小節 1拍目裏 4分 → 8分
- 99小節 1拍目低音 g → e
- 107小節 2拍目h → a
- 112小節 d♯ → d
- 123小節 2拍目g 16分 → 32分
- 125小節 最初の音 a → h
- 126小節 2拍目g 16分 → 32分
- 130-131小節間 小節線の付加