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最終更新日:
Saturday, 05-Aug-2017 17:18:09 JST
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(C) 2016 Makoto Tsuruda
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● マティアス・ホセ・マエストロ音楽帖(1786年編纂) の19ページから23ページ(全体23ページめから27ページめ)
「ギター音楽帖」はタイトルの通りギターのための作品(アンサンブルのパート譜を含む)を収めたものであるが、最後の5ページに収められ、「すべての調によるプレリュード」と題された部分は、それまでのページとは若干様相が異なるので、分けて考えたい。
手稿譜(Ms)について
全ての調と謳っているが、取り上げられているのは掲載順に
P-19 ヘ長調、ト短調、ハ短調、
P-20 ホ短調、ロ短調、イ短調、
P-21 イ長調、ホ長調、ロ長調、
P-22 ハ長調、ト長調、ニ長調、
P-23 変ロ長調、変ホ長調、ニ短調、ヘ短調
の16である。
それぞれの調につき、短い曲と長い曲が一つずつ書かれている。
想定される楽器について
使う楽器は指定されていない。また、筆跡はギター作品のものと同じに見える。
しかし、以下の点でギター作品としては不自然である。
1)単旋律で書かれていること
2)音域が高く、下第一間のdから上第四線のgであること
この特徴に合う当時の楽器を考えれば、フルートが最もふさわしいと思われる。(18世紀のフルートはd管であった)
なお、この曲集の表紙には、ギターを弾く人の左隣にフルートを吹く人が描かれていることも、指摘しておく。
ト音記号は全ての段にあるが、調号は一段目のみに書かれている。
小節線は書かれていない。例外として ”La fa / otro” に小節線があるが、これについてはその項にて述べることにする。
【浄書にあたって】
元の譜面をできるだけ尊重する。符尾の書き方なども情報のうちと考え、同じような書き方をしている。変更部分は*を付け、別紙に記録した。
臨時記号は付けられた音のみに有効に揃えた。
[ ] に入れられた部分は、浄書者による挿入である。
◎浄書にあたり、大府市在住のフルート奏者・片岡博明氏に多大なご協力を頂いた。この場を借りて心より感謝申し上げる。
2016年11月1日 井上 景