2002年 (第7回)
アコースティックファンフェアー

2002 Makoto Tsuruta / CRANE Home Page
出展の報告
CRANE Ver2.2.8
(このページの報告記事作成日 2002年11月)


さて、今年(2002年)の展示会の報告です。私にとって年に1回の展示会は自作楽器の御披露目の場であるとともに、このクレーンホームページの訪問者の皆様との大切なふれあいの機会でもあります。そして製作仲間との情報交換や木材・パーツの仕入れの機会でもあるのです。つまり、一年でもっとも意義有る場として楽しみにしているわけです。

今まで出展していた虎ノ門での弦楽器フェアにサヨナラをして今年は名古屋の刈谷市での展示会場。はっきりいって展示スペースが広い、広い! かつての虎ノ門「科学技術館」の出展会場では「狭い・暗い・高価」の三拍子が揃っていて会議テーブルの45cm 幅が私の持ち分でしたが今回はブースまるごと1つが私のもの! 出展制限も無いに等しいので何本でもレイアウトも自由です。ト〜〜ゼン出展主としては張り切りますよ、そりゃ....。しかも出展費用が比較にならないほど安いとあって、今後は重要な展示の場として参加していきたいと思っています。

さあ、遠方で惜しくも御来場の機会を得られなかったアナタ! 雰囲気だけでもこのページで感じていただけるとウレシイです。記事は抜粋となっています。自分のブースの訪問客の対応にのためにすべての出展について取材しきれませんでした。素晴らしい出展があったブースでも試奏と会話に夢中になって写真を撮り忘れたり.....。ともあれ私の見た2002年(第7回)アコースティックファンフェアーをとくと御覧ください。前編と後編の二部構成にて掲載致します....。

 

備考:写真撮影にあたっては、なるべく肖像権に配慮し、横または後ろからの撮影に努めました。掲載用の写真はいずれも小さめにしてあります。個人的に削除希望の方は遠慮なくメールください。


 

【催しの概要】

名  称:2002年(第7回)アコースティックファンフェアー

主  催:アコースティックファンフェアー実行委員会
       
オフィシャルサイト http://www.ACOUSTICFAN.jp

開催日時:
2002年10月26日(土)10:00〜19:00
2002年10月27日(日)10:00〜18:00

会  場:愛知県刈谷市相生町 1-1-6 「刈谷市産業振興センターあいおいホール」

入場料金:
・展示会場:500円(2日間通し券は800円)
・7階ホールのライブには別途入場料(当日券2000円/前売券1800円)が必要。
 出演:坂庭省吾&宮崎勝之デュオ、小松原俊、山田美治(フラメンコギター)

小松原俊氏ほか多彩なゲストによるミニライブ、内田光広(ウチダギター製作家)氏によるギター 講座、本田光彦氏(ウッディー本田/リペアーマン)によるギター診断&リペアー、出展社主催のオークション、来場者への抽選プレゼントなど目白押しの企画。報道関連の取材もかなりの数にのぼる。

CRANE の事前案内記事

 

 


 前編 「ざっと一望 編」 

 

50にも達するかという過去最大の出展者が会場内にズラリと並び、しかも楽器の展示のみならず木材、ケース、弦、パーツなどバラエティに富んだ内容で訪問客みなさんはどこから見たものか迷ってしまうほど....。そういえば前日から機材の搬入やディスプレイに出展者のみなさんは遅くまでがんばってましたなぁ.....。

 

写真開場直前の状況。天井が高く明るい照明が印象的.....。試奏のためのイスがどのブースにも数脚づつ準備されています。

写真こちらは「サウンドヒップス / 東海楽器製造(株)」さんのブース。右側は「(有)ティーズギター」さん。やはりフェアの名称のとおり会場内はアコースティックギター(鉄弦)が大多数を占めます。

写真こちらは「ジャパンゴアテックス」さんです。コーティング弦で巻弦の音質が劣化しにくく長持ちするとチマタでも評判のようです。このフェアではアンケートに答えて弦が無料で頂けるとあって常にお客さんが絶えなかったようです。その弦を張った楽器の試奏もできます。写真 写真

写真こちらは「Am Club」さんです。 なんと! ネックを折り畳めるフォールディング機構のギター。今回はオープンチューニング用のギターの出展だそうです。パカチョ〜〜〜ン! とまっぷたつ。写真 写真 

写真「荒井貿易(株)」さんのブース。そうです、Aria のでっかい看板が目立ってました。アーチトップからクラシックギター(ナイロン弦)、サイレントギターなど、さすがに企業力を発揮した幅広いラインナップで展示スペースも広い....。写真

写真あの三野さんこと「THIRD FIELD」さんのブースです。フラット系のマンドリンやカバキーニョの展示で他のブースには無い独特の世界を築いてました。お客さんとも民族楽器系の話題で盛り上がっていたようです。配布された縮小図面も好評だったようです。写真 写真

写真はい、我らが「大和マーク」さんです。親切・丁寧な対応で好評。こまめな相談にも応じていただき、鶴田もお世話になっています。もちろん今回もパーツ類を購入しました。写真

写真こちらは製作はもちろん修理でも評価の高い西貝さんのブース「夢弦堂」さんです。もちろんお客さんが絶えず盛況でした。

写真東京・八王子の「シモギターズ」さんです。もはや各種月刊誌などでおなじみですね。大きなギターを撮影しそこねてここに掲載できず、スイマセン。写真 写真 写真

 

写真こちらは「Shirai GUITAR」さんです。独自のスタイルでバランスの良いギターでした。塗装もツヤをおさえた落ち着いた仕上げで話題になっていました。

 

写真こちらは「NAO工房」さんです。Fスタイルのマンドリンやバンジョー、ギターの展示です。

 

写真「弦楽工房 ヴレ」さんです。ヴァイオリンとフラットマンドリン。ブース前ではセッションもはじまりお客さんを楽しませてくれました。

 

写真これはユニーク!「ソニード」さんのブースです。マホガニーの大きな材をくりぬいてボディを作るという、じつに思い切った、素晴らしいアイディア。竹を用いた表面板のギターも出展されていました。写真 写真

 

写真こちらは「クレオ・バンプー」さんです。文字通り竹のギター! ブリッジに御注目あれ。可変弦高システムなのです。セッションもはじまりました...。写真 写真

 

写真鶴田もかつてメイプル材でお世話になった「アイチ木材加工(株)」さんのブースです。のみのみMLメンバー御用達でもあり、知る人ぞ知るギター系の得意な木材屋さんです。様々な加工も相談に応じてくれます。

写真こちらは「(株)岩元ケース」さんです。各種楽器ケース。私はまだオーダーしたことがないのですがいずれ依頼してみようかとも思っています。

 

写真クラシックギター界ではおなじみの「手工ギター茶位」さんのブースです。ナイロン弦もスチール弦も展示されていました。シェラックの塗装実演も。写真

 

写真こちらは「須賀睦夫」さんのブースです。ジャーマンテオルボなどのリュート系の展示でフェア開場に別世界を展開。訪問客で足を止めない者は一人としていないであろうという人気でした。独自のミニコンサートも開催。写真 写真

写真「戸田ギター工房/木村ギター工房」さんです。スランテッド・フレットやアームレストなどじつに凝った仕様のギターです。緻密で丁寧な工作が美しいです。スランテッドモデルは38万円からとのこと。写真

 

写真こちらは「シーガル弦楽器工房」さんです。リーズナブルなマーチンコピーモデルを展示されてました。今回鶴田の出展したモデルと同じ O のモデルや OO も弾かせてもらいました。写真

 

写真この世界で知らない人はいないであろう「UCHIDA GUITAR」さんのブースです。27弦のハープギターなどが展示されていました。ペグはシャーラーとL.S.Rなんですね。写真

 

写真こちらは「IINUMA GUITARS / MUMANO GUITARS」さんです。じつにユニークなギターを御覧あれ。アンプ・ラインでの使用が前提だそうです。

 

そのほか中古楽器の販売でオベーションのスーパーアダマスにウットリしてみたり、ピカピカの高級ウクレレを指をくわえてみたりしていた鶴田です。CRANE ブースのすぐ近くの。ロッコーマン / アストリアスギター製造さんではハカランダ材が売られていまして、ちょっと欲しかったです(セットで8万円ぐらいだったかなぁ...手が出ませんなぁ)。

 

その他、すべてを御紹介できずに申し訳ないです....。

素晴らしい展示がたくさんありました。

ライブも取材できずゴメンナサイ。

 

 


後編「CRANEブース編」

さて、そういうわけでいよいよ当サイト CRANE のブースを御案内しましょう。

著名な製作家と同じ会場内で鶴田の粗末な楽器を展示するのは恐れ多いような気もしますが、広く楽器を見て弾いていただくには良い機会だと思います。キャリアや知名度に関係なく訪問者に楽器の性格そのものを評価していただけることを期待しつつ.....。また、逆に言えばミットモナイ楽器も展示できないわけでありまして、フェア開催日が近づくにつれて緊張の高まっていたワタシのキモチを御想像ください。

・予告編でも紹介しましたがこの報告編でもいちおうひととおり以下に記載します。

 

ツインネック(ハープ)ウクレレ
全音ウクレレキット鶴田版(のみのみML会員向け)
18世紀ギター(女性用ギター/6単弦)
スチール弦ギター(Martin-O STYLE)
21世紀ギターL:CRANE CONCEPT-1(2002年モデル)
19世紀ギター:フレンチモデル(STYLE-L)
マンドリーノ
バロックギター(ボウルバック)
19世紀ギター:ラプレヴォット(修復途中のオープン状態展示)
各種 弦楽器原寸図面(鶴田の描いた図面の青焼き各種)
弦計算尺(キルシュナー社製)
ギター文献(Guitar Through The Ages):限定- 著者直筆サイン入り   
その他

・東名高速道路の工事渋滞を避けて中央高速道路で6時間運転したあげく会場に到着したのは前日の搬入日である10月25日午後7時頃でした。ブースといってもカコミではなく背板方式で机を配置するため、ディスプレイに関しては自力で準備します。クラフトマン鶴田?のウデの見せ所でもあります。ギタースタンドは楽器にあわせてサイズの異なるもの(ウクレレ&Vn 用など)を配置、テーブルの敷物や屋号の看板、解説プレートなどなど....。低予算なのでそれなりに。

屋号の看板トールペインティング用の下地塗料もしくは顔料系のポスターカラーならムラなく塗れてカンタンです。ちなみに看板に貼ってある版画は19世紀当時のホンモノであってコピーではありません。マット加工も自分でやるのです。

解説プレート:前日の夜に急いで説明文を書いてスチレンボードをカット。説明文をプリントアウトしたものの時間がなくて結局は刈谷のホテルで夜中にせっせとカットしては接着して作ってました。

その他の資料など図面のカタログや計算尺などをサイドのテーブル上に陳列。テーブルのレイアウトは悩ましいところ。さんざん迷って決めた配置。

CRANE缶バッジそうです! ブースにお越しいただいた皆様に出展記念の限定50個の缶バッジを無料で配布しました。これは作るのに手間がかかりましたが出来映えはなかなかのものでしょう? 自分で描いた絵柄を丸く切り抜き、針やフィルムを重ねてプレスして1個づつ丁寧にココロを込めて作りました(ホントウだぞ)。刈谷市限定、いや、宇宙限定50個! それぞれシリアル番号が打ってあるのだぁ! (←アホ) ちなみにワタシのはスティーブ・ジョブズにならって 0000 番だ!

看板のロゴや説明プレートやバッジ製作では愛機の Macintosh と HPのプリンタとAdobeイラストレータが大活躍! パソコンって便利ですねぇ.......。

 

 


さて、出展した楽器についてですが、過去に当サイトで紹介している楽器もありますので、ここでは今年製作した楽器のなかからとくに2本にスポットをあてて紹介しましょう。

 

 

 ● 18世紀ギター(女性用ギター/6単弦)

弦長544mm。小指で持てる程度の軽量ボデイとネック。18世紀のバロックギターで6単弦化を試みたスタイル。しかもテルツと同じスケール。訪問者に好評だったというより珍しがられていたというほうがこの楽器については適切かもしれません。ビシッ!と目の詰まったヨーロピアンスプルース(ロッコーマンの方がしきりに眺めていたほど)。バック&サイドはフレイム(/カーリー)メイプル。黒檀指板とブリッジ。ナットとボタンは象牙。ペグはツゲ。骨のバーフレットで今回は幅太。ネックもやや細めで弦のテンションもかなり低く設定しました(つまり大の大人が力任せに弾いても良い音は出ないのです)。裏板の上下に付けた象牙のボタンは当時、それに短いヒモを渡して結わえ御婦人が衣服のボタンに引っ掛けてギターを保持したとされるものです。イタリアンスタイルでヘッドやブリッジなどは博物館等の写真資料をもとに構成しました(全てがヒストリカルではない)。サウンドホールのロゼッタはヴェラムによる積層・立体構造。ボディを厚くして容量をかせいでいますが、テルツギターと同様の調弦という設定のせいか中・高域の音がかわいらしく良く響きます。訪問客の皆様は凝ったロゼッタに恐れをなしてか? おそるおそる手を伸ばしつつ試奏されてました(^_^)。

写真 1 写真 2 写真 3 写真 4 写真 5 写真 6 写真 7

 

 

 

 


 ● スチール弦ギター(CRANE STYLE-O)

・19世紀末期のMartinの O (シングル・オー)モデルをモチーフにしたCRANE独自の O です。私のギターコレクションのひとつ19世紀のニューヨークマーチンを手元に並べて参考にしながら製作しました。同時代の楽器の図面も入手して参考にしましたがブレイスなどは私の独自のアレンジで配置。1800年代初期のドイツ・ウイーンの流れをくむマーチンギターの歴史は言うにおよばず、古い時代のギターの資料は山ほどあるのでひととおり調べたら、あとはひたすら気合い入れて作るのみ。ちなみにボディの組み立てでは19世紀当時のマーチン工場で使われていた木型を使っています。
また、現代のスチール弦ギターは意識的に見ないようにしました。

今回のフェアのゲストプレーヤのTim Sparksさんも展示会場に現れて私のこのギターをスバラシイとホメていただいて嬉しかったです(でも、たぶん他のブースでも同様にホメていたのかもしれませんが? ^_^ )。じつは彼はフェアの開催期間中に私のブースに4回もやってきて、この STYLE-O を熱心に弾いてましたよ。Tim さんいわく、「力がいらなくて弾きやすい」、「音色がいい、低音もこのサイズでこんなに出るなんて?」、「どうしてこんな小さなボディなのにすごく大きな音がするんだい?」、「どんな構造になっているんだぁ?」、「弦はどこのブランドを使っているんだい?」、.....などとたくさん感想と質問を頂きました。ありがとうございました。しかし私は最初、この方が誰かわからず試奏する姿を見て「めちゃくちゃ上手い演奏するけど、いっぱい質問する変なおっさんだなぁ」なんて思ってました(笑)。あとから知ったのですが全米フィンガースタイルギターコンテスト優勝の世界的に知られるプレーヤで、スチール弦の業界ではみんな知ってる方だそうです。他にも楽器店の社長さんやプロの演奏家にウケてました。クロウトさんにウケるってのは嬉しいものです、はるばる東京からやってきた甲斐がありました。皆さんおっしゃるには「独特の音色だねぇ。」とか、「すごく軽い楽器だなぁ〜〜」、「このサイズでどうしてこんな音になるの?」というのが共通の感想と質問でした。そう言われても私には手元に比較するためのスチール弦の楽器がほかに無いのでなんと答えて良いのやら......身に余る光栄ではありますけど。たしかに当初のイメージどおりの音に完成したと思って満足はしています.....。

このギター「STYLE-O」を皆さんは「小さいギター」と呼んでましたが、ふだんから修理を含めて古い時代の小ぶりなギターばかり扱っている私にとってはこの楽器は「イヤになるぐらいデカイ」のです。このサイズであっても音創りのための物理的容量としては充分で、ドレッドノウト系や他の大型サイズで作らなくともこのボディで私には充分すぎるほど大きいのです。ネックに関しても「ずいぶん細いねぇ」と訪問者に言われましたが私にはこれでもまだ太いのです。ネックの重量バランスを考えればもう少し削って細くしてもよかったぐらいです。今回は基本的にガット系の19世紀ギターのセオリーで製作しながらサイドシームなどの若干のスチール弦的な細工は施してあります。良質なジリコテの材料にも恵まれました(最終ストック)。
エラそうなことをいっぱい書きましたが、つまり、いつものように作っただけなんですね、これが。
完成祝杯のビールだっていつもと同じヒューガルデン・ホワイトだし、あははははは........。

写真 1:とくに目立つ装飾や外観的特徴はありません。オールセラック塗装。今回の塗膜は激薄です。
写真 2:表面板はジャーマンスプルース。黒檀指板。ヘッドプレートやナットも黒檀。
写真 3:私の作る楽器はどれもバーフレットを使うことが多いです。これは真鍮(ブラス)。
写真 4:裏板と側面はジリコテ。私はハカランダはめったに使いません(高価だし)。
写真 5:ネックはビミョ〜〜〜〜〜なシェイプで今回特別に考案したもの。苦労した甲斐あって評判も上々。ステンや顔料を使わず今回はセラックのみで塗色。
写真 6:黒檀のピラミッドブリッジ、ヴィンテージスタイルですがサドルはモダン風の臨時用。
写真 7:装飾をほとんど省いた代わりに? ハーフビンディング(笑)。ワカル人にしかワカラン。
写真 8:ナットはヘッドプレート面装着。糸巻きはウエィバリーのヴィンテージ・黒檀ボタン仕様。
写真 9:エンドピンは黒檀のロクロ物。作るのが楽しいです。
写真 10:ゲージ指定ラベル。フィンガースタイル専用ギター。エキストラ・ライトゲージ・オンリー。
写真 11:STYLE-LとSTYLE-Oのジリコテの端材で作った「Concept-1」とは三兄弟なのだ。

【弦とセッティング】
当初からエキストラ・ライトゲージ前提で製作した楽器です。余計な力を必要とせず繊細なタッチに反応する楽器をめざしました。私にとってはこれでもハードテンションでやや弾きづらいのです(^_^)。とにかく弦はテッテ〜テキに選びました。
「楽器のスタイル」「適切な弦」そして「弾き方」、これがマッチすることが楽器の音を最終的に決定する三大要素と鶴田は考えています。

1弦:D`Addario PhosphorBronze Extra Light Gauge 0.010
   (但しフェア会場では特別に Martin 0.0115 を使用)
2弦:D`Addario PhosphorBronze Extra Light Gauge 0.014
3弦:ERNIE BALL Phosphor STUDIO Bronze Extra Light 0.020
4弦:ERNIE BALL Phosphor STUDIO Bronze Extra Light 0.028
5弦:D`Addario PhosphorBronze Extra Light Gauge 0.040
6弦:D`Addario PhosphorBronze Extra Light Gauge 0.050

 


弦計算尺:
フェアの性格上、やはりスチール弦ギターへの感心は異常なほど高く、訪問者の層も幅広いものがありました。当然ながらヴァイオリンや古楽器系の展示会とはだいぶ雰囲気が違います。そんななかで弦計算尺への反応にも興味深いものがありました。一般の訪問者と製作家、プロの演奏家などがブースにやってきて、運良く弦計算尺に目を止めてくれたらラッキー!? たいていは「何ですか、コレ?」。プロの著名な製作家もたくさんブースにやってきて同様に「何ですか、コレ?」。そこで私とスタッフで使いかたを説明してあげるわけですが、「おお! スバラシイ!」ということでお買い上げいただいたり、「必要なのかなぁ?」と依然として謎を残しつつ去るベテランの製作家も......。まぁ、フツ〜の楽器店にも置いてないですしねぇ.....。しかし、なかには若い製作家で弦計算尺を一目見て「ああ、なるほど」と感心を寄せていただいた方もいました。カンに頼って実践的に比較しながら選ぶことももちろん大切ですが定量的に比較するという意味で便利なんですね、これが。

 

広く認知されたフェア:
アコースティックギター系の出版社(Player誌やAcousticGuitarMagazine誌など)の取材も受けましたし、楽器店関連の訪問者や製作者も多く当ブースにお越しいただきました。テレビ局の取材もあり、元たのきんトリオのよっちゃん率いる取材陣が登場して各ブースの紹介をやってました。ここでもツインネックウクレレがウケてました。たしかに会場には様々なウクレレが出展されており、ウクレレを見る目的だけでも相当楽しめるフェアかもしれません。鶴田も来年はまた思いっきり変な、おっと、特殊なウクレレを作ろうと思っています。こういったフェアでもかなり浮く存在となるでしょう、これがホントの「浮くレレ」..........(ヒュ〜〜〜〜........寒いっ!)。

なおウクレレに関しての報告記事のことならココを御覧いただくと良いでしょう。(「uke uke a Go! Go!」

 

試奏におもふ:
会場でひとつ気が付いたことですが、プロの演奏家は楽器の材料や構造や弦高のセッティングや塗装などはまったく見ないでいきなり弾きはじめるということでした。ようするに純粋に音とフィーリングで評価しているということです。素晴らしいと思いました。アマチュアのプレイヤーでも一部同様の方々がいらっしゃいました。音の善し悪しや弾きやすさ、セッティング、その他モロモロはたしかに「弾けばワカル」んですよね。材料や内部構造は最後に質問すれば充分。それに、そういった方々はセッティングが大きく異なる楽器でもちゃんとカラダが対応してものすごく上手に弾いちゃうんですよ。極端な例ですが、恐ろしく弦高が高くて糸巻きの調子の悪い楽器でもまるで使い慣れた楽器のように弾きこなして聴こえるのは私には信じがたい事実です。クラシカルギターでも古楽器でも同様の経験がありますし話も耳にします。
対して、ヒドイ訪問者?もいまして楽器の扱いは乱暴だわ、弾いてミストーンを出すと各部にケチをつけたそうなロコツな表情を浮かべるわ、しまいには表面板に傷をつけられる始末です(これにはマイッタ、多くの傷....帰ってから泣きながら補修しましたが完全に元通りにはムズカシイ)。

出展経験のある製作家やショップの方なら、たいてい悲惨な経験があろうかと思います。恐ろしく強いタッチで弾く人が以外に多かったのも事実(それこそ想像を絶する、武道のような弾き方! ウリャ〜〜! バキッ! ベシッ!)。サムピックをフル装備して来場された方もあったようです。かといって保護フィルムを表面板に貼るのも、鳴りが悪くなり美観を損ねるので私はイヤなんです....。困ったなぁ.....何かいいアイディアはありませんかね? そういえば今回、とあるブースで目にした光景....

  まじめそうな青年:「これ、試奏してもいいですか?」

  某有名製作家:「はい。でも買い手が付いているので傷は付けないでくださいね」

その製作家の方はイジワルのつもりではなく非常に丁寧な態度でした。青年は恐る恐る楽器を手に取ったものの 約8.3秒間弾いてすぐに製作家に返却。製作家も「もう、いいんですか??」と、とまどいの表情...。すぐ近くに立会っていた私もどう反応したらいいものか、にわかにうろたえてみたりして(笑)....。

試奏に特定の演奏スタイルを強要する気はありませんが、ああいった展示会やお店での試奏といった場も含めて、少なくとも丁寧に扱い、気を遣うのがマナーというものでしょう。これは名古屋でなくとも東京でも海外でも同じだと思います。どこの展示会に出掛けても毎回目にして感じることです。過去に、あるフェアでは傷を楽器に付けられるという理由で次の年からは出展をやめてしまった製作家もおられました。

楽器のおおむねの性格を知るには必要最小限のフレーズやコードを試すだけで充分だと鶴田は考えています.....。

 

 

あらゆるフェアでにぎわう関西〜中京地区:
大阪において2001年に第一回のフェアを開催した「アコースティックフェスティバル in 大阪」の運営幹事も来場いただきごあいさつと名刺をいただきました。今回の名古屋の「アコースティックファンフェアー」と隔年で交互に開催されるというわけです。私も大阪への出展について検討しています。ほかにも関西にはMPCやGUILD OF JAPAN などのギター系のフェアが開催されていることを知り、ギター文化の厚さと勢いを感じました。恐るべき関西。
そういえば東京では「楽器フェア(池袋)」などのフェアこそありますがアコースティックギター系に的を絞った大きなフェアはほとんど見かけませんね。残念です。

・アコースティックフェスティバル in 大阪:http://www.acousticfestival.com

 

弦楽器製作メーリングリスト「のみのみML」の会員の皆さんも多数御来場いただき、オフラインミーティングも含めて情報交換と親睦会を兼ねて楽しいひとときを過ごすことができました。ありがとうございました。また集ひませう! そして共にオヤジギャグのネタを練りましょう!

 

第7回「アコースティックファンフェアー」は盛況のうちに終了しました。当 CRANE HomePage のブースを訪ねていただいた多数の皆様、心より御礼申し上げます。そして主催者・スタッフの皆様、一緒に出展した製作仲間の皆さん。ならびに出展を盛り上げ、支援して頂いた多くの方々に御礼申し上げます。いろいろな御意見や御感想を頂き、非常に参考になりました。他の製作家の作品も良い刺激になりました。 ふだんメールのみで交流のなる方々とお会いできたのも大きな収穫でした。やはり会って話をするというのもいいものです。

刈谷市に到着したときのコスモス畑と夕陽が綺麗でした。。収穫の多い、楽しいフェアでした。盛り上がりといい、内容といい、鶴田にとって忘れがたい最高のフェアとなりました。また次の機会を楽しみにしています。

 

記事:2002年10月30日・11月6日


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