● カルロス・ゴンザレス氏を迎えてのミニコンサートに行ってまいりました。当日は満席の盛況ぶりで熱気に満ちておりました。やはり様々な楽器を聴けるということでプロの演奏家(ギターやリュートの分野)やプロの製作家も来場されてました。アマチュア演奏家も多数。
● 永田平八さんの司会・進行・通訳により進行し、様々な曲を堪能できる味わい深いコンサートでした。はじめにカルロスさんの活動や楽器などについて紹介されたあと、ご本人の挨拶、そして楽器を取り替えながら名曲を楽しむわけですが、時代や地域、弦長や構造の異なる楽器を解説付きで観賞できるわけですから、いわば体験する音楽辞典?のようなものです。
● はじめに永田斉子さんの演奏でピエール・アテニャン編をいくつか....この楽器は廉価な7コースのルネサンスリュートです。
● 次に永田平八さんによる5コースバロックギターでガスパル・サンスの名曲の数々....。
● そしてめったにお目にかかれない?ビウエラでの演奏...もちろんコピー楽器ですが。ルイス・ミランやナルバエス、ムダーラ他のスペインモノを堪能......私はこの楽器が今回いちばん気に入りました。この楽器は6コースで弦長も610mmとあってか弾きやすかったです。さっそくこの日のうちに売れてしまったようです。
そういえば写真を見ていて気付いたのですが、ルネッサンスリュートからビウエラまでカルロスさんのほとんどの楽器には指板の表面板への切り込みが見られますね。
● テオルボ(キタローネ)も素晴らしい音色の楽器でした。2本を聴き比べることができ、はじめに銀巻線を張ったもので永田平八さんのお気に入りとみられる楽器です、低音弦は独特の響きがあります。もう1本は銅巻弦を張ったやや短めの楽器(こちらは廉価?)です。両方とも低音弦を積極的に使う選曲がなされていたせいかテオルボの魅力を再認識することができました。
ヨーロッパではギターを弾く人がアンサンブルなどで低音部の充実をはかるためにいきなり(気軽に?)テオルボ系楽器を弾き始めることが多いそうです。
● そして最後は19世紀ギターの登場です。たぶんパノルモのコピーモデルだと思うのですがブリッジ部分はスペイン風のデザインです。弦はゲージを落としてありましたが井上景さんの素晴らしい演奏でソルを聴くことができました。やさしいタッチで楽器と弦と楽曲のキャラクターが巧みに現れている演奏でした。
● というわけでコンサート終了後は来場のみなさんで試奏が自由にできるとあって、ワイワイとなごやかな雰囲気。
● 私もいろんな楽器をいじったり、カルロス氏から過去の作品写真集を見せてもらいました。ストラディバリのギターやラコートなどのコピーモデルなど実に多彩な楽器を製作されているとのことで関心するばかりでした。最後には私のインチキ英語?が通じまして、ご夫妻の写真を撮らせていただきました! 以下↓
今年はヨーロッパで2週間にわたるリュート製作講座も開催するとのことです。
● さいごに:
演奏と楽器とレクチャーと試奏が一度にできてしまうのですからこれはいい機会だと思いました。今回参加できなかったみなさんも次回はぜひオススメします!
● 1998年 4月 19日 ● 鷹羽(たかのは)スタジオ ● 演 奏: ● 永田平八 ● 永田斉子 ● 井上景(19世紀ギター)
|
● 取材に御協力いただき、永田さん御夫妻に心より感謝致します。