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■ 014:創作撥弦楽器「Q」
■製作者:本根康之(Yasuyuki Honne)
■コメント
2コースしかないですが 味のある楽器になったかなと思います。
【仕様】
ナイロン弦仕様/4弦2コース
:(高音側から、A/3弦で外側2弦はオクターブ上、E/単弦)
弦長/605ミリ
表面板/バルサ単板
ボディ横/ウォールナット単板
ボディ底/黒檀単板
ボディ裏/ウォールナット単板
ネック/ウォールナット
指板/黒檀
ブリッジ/オバンコール
ナット/象牙
サドル/象牙
製作期間/7ヶ月
フレットレスです。最初ブリッジ上の黒い板の上にサワリ用の骨を仕込もうと思っていたのですが、今はまだ見送っています。音を出してビックリ! ウード+サズのようなグワーンと来る良い音がします。
そして表面板はナント!世界一軽い木材、バルサ材です。 決して安い材料で仕上げてやろうとかではなく、一度やって みたかったんです。ボディーはウォルナット、指板は黒檀 と、ちゃんとした物を使っています。 音的にはなかなか良い感じ?です。ただ加工が厄介なので二度と使いたくありませんが。ブリッジも飛んでません。膠って凄いです。
デザインは現代のモダンな部屋に合うように?ちょっと冒険 してみました、ボディー下部を重くして平らにしてあり、
スタンドも不要です。とりあえず作曲しなくては。
●創作撥弦楽器「Q」によるサウンド・データ
http://honnesan.seesaa.net/archives/200502.html
【鶴田より】
こっ、..... こりは.....!?
民族楽器系の香りがプンプンして、しかしながらモダン! 創作意欲がみなぎっている力作ですね。4弦2コースというのが大胆で思い切りがあって素晴らしいと思います。舟形ボディにバルサ材トップ、ブレイシングも「ハ」型二段、フレットレス、おまけに直立自立というコダワリのカタマリです。サウンドホールは窪みで朝顔状というかラッパ状になっているのでしょうか(ベルボトムといふべきかな?)。
音がまたユニークで深い! 写真で想像していたよりもずっと力強く響いています。やはりバルサ材と独自のブレイスパターンによるところでしょうか。弦長605ミリというのもまた効果的なのかもしれません。黒檀や象牙材を使ってチープにならないよう本格的な配慮がなされています。ブリッジの接着もニカワ....
ちゃんとツボをおさえてらっしゃる。
本根(ホンネ)さんは本業がアートディレクターとのことで、なるほど楽器の外観のみならず独自の世界観でまとめてあることが伺えます。独創楽器では既存のデザインがどうしても見え隠れしがちなのですが、なかなかこのようにいかないのが普通です。切るべきコーナーはバッサリ切る! 曲げるべきところは躊躇無く曲げてみる! そういった楽器デザインの試みはエキサイティングで楽しいものです。まさに楽器作りの醍醐味ですよ。鶴田と同じ血液A型というのも正しい(謎)。作曲もなさるということで、これは面白そうです。このまま西アジアや中東の音楽にも使えてしまいそうですが、これだけの個性なら新しい音楽にも試す価値アリ。
ウォールナット・リブは古楽器に頻出しますし、19世紀のギターにもよく使われます。私も手元にストックがありますが色艶はローズ系よりもむしろウォールナットのほうが好きです。直立(自立)するギターは19世紀でいえば「バンザイ型」のハープギターが有名ですがフランスやイタリアを中心に数多く作られ現存します。スタンド無しで立ってるギターって便利そうですよね? このあいだ Concept-4 を数本作ったのですが、そのうちの1本は当初フレットレスで完成させていました。その後、友人のお嬢さんに譲るのでフレットを付けたのですが、もしかしたらフレットレスのほうがよかったかな? と今さらながら思っています。