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■ 022:halfmiles guitar (ハーフマイルズギター)
■楽器名:halfmiles guitar (ハーフマイルズギター)
■製作者:岡田渉 (Okada Wataru)
● 工夫したところ
・小さいけれどレギュラースケール
・座って弾きやすい
・早く、安く、そして北海道産
<早く>
時間がかかることは他人まかせ(^_^;)
1) 塗装: 家具塗装をやっている近所の工場にポリウレタン塗装を依頼。
2) 金物(ブリッジ): 近所の金物クラフト会社に図面を持っていってお願いする。
3) ネック: stewmacのパーツを使用。ただし、出来にばらつきがあって、今回は4本程、stewmacさんとメールでやり取りし、交換してもらいました。
4) ケース: 当初は自分で作ろうと考えましたが、最近のエコも考えてダンボール製にする。近所の紙器工場に行ってお願いする。ギターの配送には最適ですが、所詮ダンボール・・・
<安くする>
1) 多量に頼む。近所の工場には熱意だけを汲んでもらってまけてもらう。
2) パーツを少なくする。見てのとおり、ピックガードやインレイ、バインディングは無し、1PU、1ボリュームです。しかも安いパーツ。ペグも安い。
<北海道産>
1) ボディは道産(のはず)イタヤカエデ。近所の家具製材をしている工場にたのむ。切り出し、一部ルーティング込みと数で、まけてもらう。ただし、木目方向は気にしてもらうも、表面の良し悪しは多めに見ます。
2) 塗装、ブリッジ、ダンボールケースは道産どころか地元製造
● 苦労したところ
多数ありますが、
1) ヘッドをとにかく小さくした結果、ペグが逆さに取り付いています。ルシアーの眼から見てどうなんでしょう。マンドリンやベースでもよく逆さのやつを見ますが・・・
2) ネックのトラスロッドを調整するのに六角レンチを使うのですが、普通に売っているものだとまわしづらい構造になってしまったので、パイプを継ぎ足した。
● 音について
目指したものは、
1) アンプにつながなくてもそこそこ音がすること。中空の構造なので、普通のソリッドギターよりは、生音が大きい。
2) アンプにつなげば「もっさり」した音。良く言えばジャズ的というのでしょうか。この辺はトーンコントロールを外した分、抵抗とコンデンサを加えてトーンを作っています。
● スタイルについて
1) ジャンゴ ライハルトなど、ジプシー系のギター(セルマー・マカフェリ系ギター)が好きで、その名残が、ボディトップのオバールホール、ボディ右肩あたりの形です。オーバルホールは外せません。
2) 座って弾きやすいボディシェイプ。1フレットまでの距離が近い。ピッキングはおのずとネック寄りになるので、とてもマイルドな音になります。ハイポジションが弾きづらい? 普通のアコギも似たようなものではないですか(^_^;)
● そのほか
1) 「早い」を考えた結果、他人まかせが多いギターです。正統ルシアーの方には反感をいただくこと必至と思います。すみません(汗)
2) 「安くする」というのは難しいなあと思いました。最近9000円位のギターを見かけますが、どうやって作っているんでしょうか。人件費や工場設備かなと思いますが、9000円ではパーツもそろいません。
● 情報
1) 一応の結果を見たことを機に、Webページを新設しました。
アドレス:http://homebrewguitarah.jimdo.com/
メール: hbg-ok@rb3.so-net.ne.jp
【鶴田より】
以前、Home-brew Guitar BALA をこのコーナーで御紹介しましたが、その作者の岡田さんが再登場です!
今回もヘンテコな....おっと、ユニークなギターを見せてくれます。今回のコンセプトは座って弾きやすいレギュラースケール、地元の特色を出そうという試みでもありますね。しかもコストダウンしてそれを実現しようというわけですから容易なことではなさそうです。半加工された部品はけっこう高価ですからね。しかしそれでも、完成したギター、前回にも増して個性的。同時に「オカダスタイル」を踏襲しているところも素晴らしい! 独特のボディシェイプ、小さなオーバルサウンドホール、ハーフスマイル、コンパクトなヘッド、重量感のあるブリッジ。そして段ボールのケースもピッタリフィットして、よくできてます。それで価格は?! あ! そういえば以前NHKの番組でヤイリの3弦ギターを量産するのに弁当箱の(曲げわっぱみたいな)工場と提携していたのを思い出しました。楽器業界以外の分野に目を向けると、そこに意外なヒントがあったりするものです。おもしろいですねぇ.....。
リーズナブルに...これは難問です。日本は国内でまかなうと自動的にコスト高になる国でありまして、楽器にかかわらず食品や工業製品もまたアジアの新興国に依存せざる得ない時代ですね。私もペグのような部品・材料の一部はインドに御願いすることもあります。私自身も以前から安価で良い楽器を作ることには興味はあったのですが、やろうとすると壁は高いものです。じつは今年(2009年)から来年にかけて、Concept-7を作っていますが、それはコストを抑え、材料を無駄にせず有効利用する工夫と努力を盛り込んでいます。詳細はまたクレーンホームページのなかで紹介していきますので、お楽しみに。