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■ 038:北海道 WADAさん ペーパーウクレレ「PEPALELE」
コロナは続くよどこまでも ... ♪
皆さんいかがお過ごしでしょうか。世間はすっかりコロナ様一色ですな。
もう、ウンザリするぐらい鶴田も自粛を続けておりまする。
東京都民だけお預け状態で他府県の皆さんが Go To トラベル なんてやっているあいだに、またもや投稿がありました!
視聴者参加番組ともいふべき「自作弦楽器自慢大会」。
しかも 2014年にバラライカを投稿していただいたWADAさん。6年ぶりにパワーアップしての再登場です!
え!? 投稿ルールは一人で1作品になったんぢゃないの? い〜の! この楽器をみたらワカルとおり特別投稿ということで。
楽器名:ペーパーウクレレ「PEPALELE」(ハワイ語で「紙」はPEPAらしいので)
製作者:WADA
一見するとフツーの白いウクレレ。昔、白いプラスチックのウクレレとかありましたね。
うんにゃ。これは紙でできているんです。
そう! そう! 宗兄弟! 小学生が図画工作で使う紙を何枚も何枚も切っては重ねて接着してあります。
ヘッド形状も安易に長方形ではなくテーパーがついて違和感がありません。ヘッド裏とか見ると強度もしっかり確保されているのがわかりますね。
ペーパーウクレレといってもオモチャじゃないんですよ。ちゃんと弾けるように作ってあります。
今回のウクレレを作るにあたって図面を起こしたとのこと。しかもパワーポイントで。 あちゃ〜〜! マイッタ ....
もうほとんど衝撃画像です。根気だけではなく各部に工夫も必要です。
以下、画像クリックでデッカイ写真が表示されます。
ブレイシングも本格的。なんと!型枠まで紙製。ひゃ〜〜〜!
指板も紙ならナットもフレットも紙。
かなりの張力が掛かるブリッジとサドル。苦労の跡が覗えます。完成です。
● 仕様
表面板:紙
ボディ:紙
ネック:紙
ビンディング:紙
指板・フレット:紙
ブリッジ・サドル:紙
ブレーシング:紙
ナット・サドル:紙
● ご本人のコメントです
紙は百均の厚紙のみ使用、費用は全部で1500円くらいです。
ネックは紙を約80枚重ねて接着、3Dソフトなどではなく、マニュアルで断面図を作成し、エクセルで計算、パワーポイントで作図して作成しました。
ボディ、表面板等は、響板などできるだけ本来の製法に準じて作成、型枠も同じく紙で作成しました。
フレットも紙で作ってみました。
ブリッジが一番力がかかる部分なので、補強した構造としました。ウクレレの張力には何とか耐えています。
フレットは正確に作ったつもりで、音は一応ウクレレっぽく鳴りますが、どうしても音質や音程は本物の様にはいきませんでした。
【鶴田より】
楽器の名前は ペパレレ / PEPALELE と命名したとのこと(ハワイ語で紙はPEPAらしいとのことから)。
紙でないのはペグと弦ぐらいでしょうか? ブリッジが紙でできているのはクラフトマンの意地ですな。強度を出すのが難しそうです。
そういえば、かのアントニオ・デ・トーレスも紙のボディでギターを作っていましたね。
東ドイツの車トラバントも一時期は紙と羊毛でボディが作られていました(#車好きはついこんなコトを書きたがる)。
だいぶ前ですが、マッチ棒でギターやヴァイオリンを作ったジャック・ホールさんをクレーンホームページで紹介したときのことを思い出しましたよ。
コツコツ積み重ねて完成すると達成感も想像以上でしょう。
ペパレレの演奏を聴くと、これがまた紙とは思えない音色です。しっかりウクレレのサウンド。紙でできていることを忘れさせます。
一枚づつ紙を切り出すよりも、最初から四角い紙のままを接着して重ねて角材/ブロック状にしてから削り出せばいいじゃないか?
そう思う方もいるでしょう? 手間が省けるし効率も上がるし段差もなく滑らかだし .....(#そう発想するのは商売人)
ペーパークラフトというのはそうじゃないんですよ。
紙であることがわかる。つまり素材感・ディテールを大事にする。(#こう発想するのが職人)
だから一枚ごとにカットしたこまかい段差が必然的に生じる。
紙でできた型枠を見たときは、もう泣きそうになりました。
WADAさんはウチの工房の方向を十二分に理解していらっしゃるようです。
これこそがCRANEの投稿コーナーの目指すところです。
(#こう書いておけば今後の皆さんは投稿しづらくなるであろう。フフフフフ ......... )
記事:2020年8月1日 コロナは続くよどこまでも ...