● 6コースギター ベネディット1812年と楽譜1786年
品 名:ホセ・ベネディト6コースギター1812年 + マティアス・ホセ・マエストロ自筆譜1786年
譲渡希望価格(円): 価格応談 商談中
新品/中古の区別:中古品(1812年にスペイン・カディスで製作)
付属品:専用ハードケース(ピッタリフィット)、この楽器で演奏した鶴田演奏CD
備 考:歴史的ギターと歴史的曲集のセットです。弦の詳細についてはお買い上げの方に別途お知らせします(すべて羊腸弦)。
説 明:
【楽器について】
ホセ・ベネディト(1760-1836)はスペイン・カディスのギター製作家の一族に生まれ、父マテオもすでにその時代には高名で、息子達もまた製作家になっています。カディスといえばPagesもよく知られた製作家ですが、ホセ・ベネディトの妹は1793年にJuan Pagesの息子Franciscoと結婚しており互いに血縁関係があります。それゆえか楽器もまた、いくつかの類似点があり興味深いといえます。Pagesの楽器はいくつかの博物館に現存していますがベネディトは希少で現在では世界に12本ともいわれています。ホセ・ルイス・ロマニロス氏によるトーレスの研究書「Antonio de Torres」によるとトーレスやホセ・レシオ、フランシスコ・ゴンザレスですらホセ・ベネディトのギターを参考にして製作していたことが伺えます。トーレスはアルメリアやグラナダのギター製作スタイルを捨てセヴィリアやカディスのこういった18世紀ギターのアーキテクチャにならって製作したのです。現代のモダン・クラシカルギターの父がトーレスならば、祖父はベネディットといっても過言ではありません。
※ スペインのギターの歴史に関してはカルロス・ゴンザレス氏の研究書やホセ・ロマニロス氏の製作家辞典に詳しく解説されていますので御一読されることをお薦めします。
楽器の作りはシープレスボディでスプルーストップ。スパニッシュ・セダーのネックとヘッド、アラベスクインレイは指板と表面板下部及びブリッジ両脇。ブリッジやアラベスクのパーツ類はオリジナルですが黒檀指板はバーフレットと共に交換されています(山は充分な高さ)。内部の音叉バーやブレイシング、はほぼ全て当時の部品で大きな改造はありません。わずかにファンブレイシングの1本が交換修理されている程度です。さすがにボディ全体に亀裂や修理痕が多くあったのですがそれらは修復してあります(過去の修理痕も残っています)。弦高は厳密に調整しましたのできわめて低いです(多少の上下調整も可能)。ネックは入手当時に右に大きく傾いていたためにリセットしなおしました。現在はガット(羊腸)弦を張ってあります。過去にネックの修理が行われており、その痕跡もあります。ヘッドは交換されている可能性もありましたが私が調査した限りではオリジナルの状態と考えられます。但し、ペグはすべて交換されています(調整済みで非常に扱いやすいです)。シープレスのボディは非常に軽く、ネックとのバランスも絶妙で、事実、音色は素晴らしいです。おそらく現存するベネディットのなかでは博物館入りを免れた楽器で演奏できるコンデシヨンのギターとしては唯一の1挺かと思われます。コレクションとしても特筆すべき楽器ですが、弾きやすく鳴るように調整してありますのでまだまだこの先当分は余裕の現役として愛奏できます。
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【楽譜/曲集について】
マティアス・ホセ・マエストロ / ホセ・マシアス・マエストロ(1766-1835)はスペインに生まれペルーに渡った建築家で、リマ滞在時の1786に曲集を編纂しました。全25ページあり、もともとは練習帳的なお気に入り曲を集めた自筆楽譜集で、なかには明らかに練習曲と思われるアルペジオ風の短いフレーズがいくつも登場します。マティアスは建築家でありながら画家でもあったとされ、この冊子には随所に彼の人柄と才能を伺わせるメモやスケッチが記されています。余白のページにも人物像や建築装飾のモチーフなどが描かれており、当時の建築様式を調査するうえでの貴重な資料でもあります。ソナタを中心とした曲集でもあり、愛奏曲集的な性格もあって、どれも名曲といえる質の高い作品群です。残念なことにオリジナルは25ページでしたが数ページが欠損し、現存するのは19ページとなっています。なお、この曲集に含まれる曲をBenedidのギターで私が演奏したCDもオマケで付けます。
この曲集は上記のギターとセットでありバラ売りはしません。楽器もさることながらこの自筆楽譜もまた楽器に負けずとも劣らない歴史的価値の非常に高い1冊です。
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