クレーンのカポタストはソール(底)の長さを記載しています。これはお手持ちの楽器のナットや第1フレットの幅ではなく第5フレットあたりの指板幅の目安と考えれば良いでしょう。
つまり下図のとおり「指板幅の最も狭い1フレットとカポを巻ける限界の位置の中間」がおおむね5フレットあたりという理由です。「ナット間際からヒール間際までの中間位置を測る」とも言えます。迷ったらちょっと広めがよいでしょう。
図にあるように弦楽器では最も高い位置にカポを装着するにはヒールが許す範囲となります。楽器の種類によってヒールの位置が何フレットまで及ぶのか、これは楽器によって異なります。一般的なクラシックギター(モダン)は10フレットがカポ装着の限界ですが、古楽器ではジョイント位置も異なり、ヒールの形状も様々です。工房クレーンでは一般的なクラシックギター(モダン)用は55mmから60mmぐらいでカポを作っています。フラメンコでは7カポでの演奏も珍しくないのでやや長めのオーダーが一般的です。
19世紀ギターやウクレレはスタイルが多すぎて標準的なサイズというのが決めにくいのですが、たいていの19世紀ギターでは50mm前後です。上記のように第5フレットの幅を計ってください。15フレットジョイントのような(ウクレレのロングネックとか)場合は7フレット位置の幅を計れば良いでしょう。9フレットジョイントの楽器は4フレット位置あたり。あとは使う人の操作感や好みもありますな。
工房クレーンのカポタストは様々なサイズを製作しています。基本的に指板の幅を目安に選びますが、ジェラのマンドリンのような狭い指板用は30mm程度、ウクレレはソプラノの40mm程度からバリトンの50mmぐらい、バンジョーはその中間、クラシックのマンドリンとブルーグラスのマンドリンでは指板幅やネック、ヒールの形状も異なります。
指板幅がおおむね合えばベルトとガット(紐)の長さを調整すれば使えます。リュートも指板の平坦なルネサンス系であれば同様です。サズやブズーキやウードのような民族楽器もまた同じく。
ギターについては、ふくらんだ指板のアコギには使えません(一部のウクレレや一部の19世紀ギターにもラウンド指板が見られます)。クラシックギター(モダン)も実際には指板幅は微妙に異なります。バロックギターやルネサンスギターにも使えますが、ネックの太いものはベルトとガット(紐)の長さの変更が必要な場合があります。ご自分でガット(紐)を交換してもかまいませんし、相談のうえネックの周囲を測っていただければ特注製作も可能です。
【 2013年の製作例 ↓】
市販のカポタストはたいてい長すぎる(大は小を兼ねる方式で実際の指板幅よりもはみ出すように作ってある)のですが、じつはそれがカッコワルイ原因なのです。
自分の楽器にピッタリのカポをというのは案外難しいことがおわかりいただけるでしょう。
以上、鶴田CRANE工房で作っているカポのサイズ選びの参考になれば幸いです。
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