● 19世紀ギター :ラファエル・ピスコッシュ レニャーニモデル Ca.1840
品 名:19世紀ギター :ラファエル・ピスコッシュ レニャーニモデル Ca.1840
譲渡希望価格:譲渡済み
新品/中古の区別:中古 1840年頃 チェコ共和国
写真:写真1 写真2 写真3 写真4 写真5 写真6 写真7 写真8 写真9
備考:オマケで運搬用のコフィンケース付属
お問い合わせ・購入希望:受け付けページへ
【 説 明 】
工房が狭くなってきまして整理中です。資料や修理予定であった楽器の放出です。
今回は
ラファエル・ピスコッシュの小型19世紀ギターです。ドイツやボヘミア/チェコといったウイーン界隈における19世紀のギターは標準的な弦長として540mmから610mmにかけておおむね5種類ほどの弦長で作られていましたが、これは比較的短い部類の弦長 578mm です。ラファエル・ピスコッシュは現在でいうところのチェコ共和国の弦楽器製作家で楽器商でもありました。フリーデク=ミーステクという町に拠点を置き製作のほか販売を行っていました。
ウイーン界隈ではロアブーツがコンパクトで丸っこいボディにきつくくびれたウエストが特徴的です。アーリーマーチンやシュタウファーのボディシェイプとしても知られています。
19世紀のウィーンでレニャーニとくれば世間ではシュタウファーによるレニャーニモデルと短絡的に解説されますが、実際の楽器業界はもう少し複雑でした。ルイジ・レニャーニといえば19世紀中後期に活躍した「36のカプリス」で知られる技巧派のギタリストですな。ジュリアーニが死去した次の世代です。「36のカプリス」は1822年(32歳)にウィーンで出版され交流のあったパガニーニと並び賞賛されたと資料にあります... 。
19世紀前期にレニャーニは名声を得て、それはウイーンのみならず各地のギター製作家にも影響を与えました。
同時に彼の名を冠したギターがいくつもの工房で作られていたようです。今回売りに出したこの楽器もそのひとつです。この楽器のラベルを御覧ください。構造と材の特徴は19320年頃から変わらぬ傾向ですがラベルの書体とデザインからみて1840年から1850年頃でしょう。
レニャーニは1840年に50歳で引退したのち、余生をギターとヴァイオリンの製作に費やしたといわれています。レニャーニモデルはシュタウファーだけが作ったわけではないのです。いわば当時のブランドとなって複数の工房が製作・販売していたのですが、当時レニャーニの名前貸しや商標使用許諾のような関係があったのかもしれません。
【ラベル】
・ルイジ・レニャーニ/Luigi Legnani(1790-1877)
・ラファエル・ピスコッシュ/Raphael Piskorsch (チェコ共和国のフリーデク=ミーステク)
すべて単板無垢板。裏板は杢の出た一枚板でゆるやかなアーチを持ちます。横と裏はおおむね状態が良いです。表面板に数多くの亀裂がありましたが全て修理されています。全体にこまかい傷や虫食い痕がいくつか見られます。
指板のローポジションの一部に摩耗が散見できます。ヘッドは再穿孔痕跡有り6箇所。内部に大きな改造痕などは見られません。おそらくほぼ当時のままでしょう。
オクターブピッチもまずまず良好です。マウスターシェ両端欠損の可能性あり(現状が本来の姿の可能性も有り)。
運搬用に19世紀のW.E. Hill & Son 社のコフィンケース(一部破損)にて発送します。ハンドル(欠損)と左下パネル(欠損)と内装ハガレなどを補修すれば保管用のケースとして使えるようになるでしょう。
現状では仮の弦としてナイロン弦を張ってありますが、フロロカーボンやガット(羊腸)弦のほうが良いかもしれません。おもいきって全体のゲージとテンションを下げたほうがこの楽器の性格には合っています。
【仕様と状態】
弦長:578mm
ボディサイズ:アッパーブーツ222mm、ウエスト154mm、ロアブーツ278mm、ボディ長404mm
ナット:幅約42.5mm 黒檀
サドル1- 6弦間隔:フレットと同種金属 59mm
弦高(f.12):1弦 約3mm 6弦 約3mm
表面板:スプルース
裏板:メイプル
側面板:メイプル
ラベル/刻印: Raphael Piskorsch
ネック、ヘッド&ヒール、指板: 樹種不明(黒染)
ヘッド:フリクションペグ(再穿孔痕跡有り6箇所)
フレット:I 型合金製(バーフレット)多少摩耗 約70%残
ブリッジ:ペア(またはアップル)
ペグ:黒檀
パーフリング:ウォールナット
なるべく正確に状態をお伝えするべく写真を撮り解説しているつもりですが、御質問等ありましたらメールにてお願いします。追加で写真も撮りますので。
この楽器は譲渡済みです SOLD