● ギター糸巻き:スイス製(ペペさんの手工品)
品 名: ギター糸巻き:スイス製(ペペさんの手工品)
小売価格: 譲渡済み
新品/中古の区別:新品
写真:写真1 写真2 写真3
備考1:クラシカルギター用 35mm CRANE改
備考2:手作り品で、よく見るとこまかい傷などあります
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【 説 明 】
手工品の高級糸巻きです。スイスのペペ・トルドさんによる製作。Pepeといってもアリアの小型ギターシリーズのPepeギターとはまったく無関係です(笑)。
珍しい手作りの機械式糸巻きですな。クラシックギター用で、ストリングポスト(巻軸)の間隔は標準的な35mmです。
当CRANE工房の糸巻きコレクション。そのなかの現代手工品糸巻きのひとつがコレ。じつは2セット持ってます。片方はツマミがアイボリーイミテーションのモデル、そしてもうひとつがこの白蝶貝モデル。今回この1セットを手放すことにしました。
手作りのギター糸巻きといえば、現代ならイギリスのロジャース/David & Robert Rodgersが有名ですね。仕様にもよりますが都内の楽器店では1セット15万円ぐらいで販売してます。他にもイタリアやクロアチアなどにいくつか手作りのギター糸巻きを作る工房があります。ロジャースは御存知のとおり19世紀のBAKERなどをお手本としてコピーモデルを作ったりしています。対して他のメーカーは独自のモデルが主流のようですが、カッコワルイものがほとんど。デザインが残念というか、美的センスを疑うシロモノばかり。しかし「高級糸巻」ということで、いずれも市場では10万円前後で販売されています。スペインのフステロ/Fusteroも手作りに近い工場で、装飾も手で彫ったりしてますけどね(笑)。
で、今回のこの糸巻き。ツマミ部分(ノブ)は白蝶貝の両面貼りです。滑らかで操作感はヨロシイです。手作りでないと出せない精度で工作されているのがわかります。 プレート裏もコブは無く、手間をかけて平坦に処理してあります。ストリングポスト(巻軸)は耐久性の高いアイボロイドイミテーションで、芯に金属軸を備えます。巻軸の先端は写真のとおり平坦でなめらか(テフロンスペーサも入ってます)。根元を注目すればわかるようにポストには金属のロックピンが打たれており、傘型ワッシャー(ちゃんと面取りしてある!)まで入れてある本格派。プレートのデザインはどちらかといえば素朴な幾何学模様。派手さはありませんが、他のメーカーのようにやたらセンスの悪い柄をむやみに彫り込んであるより、はるかにイイ。糸巻きのプレートは装飾の好みが分かれるので、いっそ何も彫ってないプレーンなものでも良いのではないか、と個人的には常々感じています。
全体はシンプルなデザインでカッコイイ。もちろんロジャースと同様にブラスのプレートはクリア塗料で保護されています(19世紀当時は金メッキ)。ペペ・トルドさんの糸巻きは2005年に日本に入ってきたのですが、高級手工ギターを扱う都内のお店では当時10万円から13 万円ぐらいで販売していました。一時期は現代ギター社でも売ってました。
現在は見かけません。私は個人的に入手して、CRANE工房コレクションとして今日まで保管していました。
但し、この糸巻きはノーマルだとボタン(ノブともいふ)が空回りする恐れがあるので、当工房では信頼度を上げるためにツマミ/ボタンにブラスのロックピンを打って改造しました。上の写真をよく見ると白蝶貝ツマミの中央にピンが見えるでしょう。いちおう新品未使用ですが、外箱には少々スレがあります。 もちろん真鍮/ブラス製の取り付けネジも付属します(しかもマイナススクリュー!)。
スイスの逸品、限定1セットのみ。おひとついかが? ひとつしかないけど。
※ちなみにロジャースも円柱軸なので接着剤が切れるとノブは空回りします。
【余談】
先日、御紹介したBAKER/VRの糸巻きのように、19世紀当時に作られた優れた糸巻きも現存しますが、機械工作とデザインのレベルは現代を凌ぐものがあります。現代の職人の腕が悪いわけではなく、真剣に作るとコストがスカイツリーのごとく跳ね上がり、商業ベースに乗らないので、結果的に国産の高級手工品糸巻きは販売されていないわけです。ワタクシ、町工場を巡ってBAKERの糸巻きを見せて「これと同じモノを作ってください」と御願いしてまわったことがありますが、「1セット30万円からですねぇ... 」と言われるのは良いほうで、たいていは割に合わないから引き受けない、と言われたものです。
次の写真を御覧ください。私の工房の糸巻きコレクションの中からの5点です。このあいだ清掃しました。一目見て、メーカー名や製作年やギア比を当てられたら、「国際機械式糸巻検定1級」です。19世紀当時の機械式糸巻きはロンドン以外にもフランスやドイツなどで作られていました。スペインでは基本的に輸入に頼っていたようです。下の写真の糸巻きですが、どれ1つとしてマトモに動きません、壊れてます(それが普通です)。部品取りのためにストックしてあるのです(マトモに機能する古い糸巻きは分解してはいけません)。
しかし、たとえ壊れているものであっても現物を手にすれば加工品質の高さや優れたデザインに、きっとあなたもウットリするでしょう。糸巻きを見ながら酒が飲めます(笑)。
どなたか、日本でこんな糸巻きを作ってくれる工場、知りませんか?
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