● クレーンホームページ20周年記念てぬぐい:もえぎ色(黄緑)
品 名: クレーンホームページ20周年記念てぬぐい:もえぎ色(黄緑)
価格:1000円 (送料無料)
新品/中古の区別:新品
仕様:文(総理)生地、顔料、手捺染裏通し
サイズ:約90cm x 34cm
写真:写真1 写真2 写真3
備考:限定 50枚 売り切れ
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【 説 明 】
さきに公開したクレーンホームページ20周年特別企画のひとつに鶴田オリジナルデザインの「てぬぐい」があります。粗品(記念品)として青色を限定100枚、赤色を限定100枚制作し、お世話になった方々へ。おかげさまで大好評。うちの工房で修復したギターを鶴田自身がデザインしたてぬぐいです。
今回は第三弾として一般販売用です(一般の方々にも欲しい人がいればお分けしてはどうかということで制作)。
さて、何枚用意すればいいのだろう? 青と赤をだいぶ配ったので、販売となるとたぶん希望もさほど無かろうと思いつつも、こういったオリジナルデザインの特注品は既製品と違って少数で作るとかえって高額になってしまいます。1枚から安価で作れるインクジェットプリントによるてぬぐいもありますが、裏面が白く手触りもいまひとつ。やはり「本染め」は譲らないことにしました。
備考:てぬぐいの染め方にはいくつか種類があり、板染め、手捺染、注染などが本染めと呼ばれます。
まず色を決めました。前作の青と赤に対して、今回は緑色系で制作することにしたのです。そして生地は前回岡だったので今度は文(総理)をぜひ試してみたい。それなら同じ版を使って色指定と生地を替えるだけでいいだけじゃないか。そう思うでしょ? ところがそうはいかないのです。
じつは注染(ちゅうせん)という染め方式では緑色系は染めムラやにじみが極端に出やすいのです。そのため細い線も再現しにくいので生地も文(総理)を選べません。さぁ、困った、困った ... どうしよう。でも、こういった問題を解決できる染め工場もきっとあるはず。思いきって制作会社/版元を変えてみよう。そんなわけでインターネット上をくまなく探したところ、ありました! 手捺染(てなっせん)の顔料染めを得意とする香川県の小さな会社です(同社では注染もやってます)。
一般的な手捺染は色が繊維の裏まで浸透せず裏が白っぽくなることや全体の余白をとるなどの制限があります。しかし、注染も手捺染も職人の手技による染色方法でありながら、会社/工場によって独自の得意技や異なるノウハウを持っているのです。この会社、独自の工夫と1枚づつ手作業で染めることにより、手捺染でありながら余白の制限も無く裏までしっかり染めることができます(手捺染の裏通し:注染のごとく裏も染まっている)。また染料ではなく顔料を使うことで色むらやにじみを抑え、注染よりも明瞭で細い線の染めが実現します。それにより生地も文(総理)が使えます。ヨシ!これですべて解決しました。ふぅ ....
【仕様の比較】前回制作した手ぬぐい(青と赤)と今回(黄緑)のてぬぐいの違うところ
制作会社(版元):神野織物株式会社(大阪)→ 手ぬぐい工房 有限会社ポスター堂(香川県)
色(どれも日本の伝統色):青・赤 → 黄緑
生地:岡(特岡) → 文
染め方式:注染 → 手捺染裏通し
色材:染料 → 顔料
サイズ:880mm x 370mm → 900mm x 340mm(若干細長くなった)
限定数:青100、赤100 → 黄緑50
パッケージ:墨版熨斗 → 和紙帯とカラーシール
デザインの違い:以下の変更を行いました
・楽器全体が縮小されて全体像がてぬぐいに収まった
・千鳥の足の形状
・サウンドホール色反転
・ブリッジ周囲の弦数
・ナット
※ パッケージ:和紙帯とTSULTRAシールによるPPパッケージとなります(熨斗は付きません)。
【色について】
色:DIC-N832 日本の伝統色 MOEGI IRO 萌葱色(もえぎいろ):現物は環境光にもよりますが「明るい黄緑」と思ってください。
もえぎ色(萌黄/萌木)は鮮やかな黄緑色系の色。春に萌え芽吹く色を意味します。草の芽をあらわす色で、萌木とも書かれます。日本では平安時代に萌黄の色名はすでにあったとされ、英語では春の草原の色 Spring Green に近いでしょう。もえぎ系の色にも様々あり、薄いもえぎ色は鶸萌黄(ひわもえぎ)といい江戸時代から使われた色名だとか。逆に「萌葱」と記すとやや濃い色を指します。これら緑色系はどれも藍と刈安の混合比で色が変わり、それぞれ段階的に名前が付けられたわけです。
芽吹いた草木の色(萌黄色) ■
ネギの芽の色(萌葱色) ■
ちなみに注染と今回の手捺染では費用もほぼ同じでした(数量や版代にもよる)。一枚づつ職人が手染めする点も同じです。顔料の文生地だからといって肌触りがゴワつくこともなく、当初思っていたほど差はありません。生地の乾きやすさや風合い、色、デザインなど、些細な違いこそありますが最後は好みの問題でしょうね。
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鶴田版画コレクションより手拭いがらみの浮世絵を紹介しましょう。
歌川広重の名所江戸百景シリーズより 神田紺屋町/かんだこんやちょう (画像クリックで拡大表示)。
江戸時代に東京・神田にあった染物屋を描いた作品です。これは現代の復刻版浮世絵(おそらく昭和期のアダチ版)ですが、
オリジナルは江戸時代後期の安政4年(1857年)頃に制作されました。ペリーが浦賀沖にやってきたのが1853年ですから江戸時代もそろそろ終わりの頃。すでに浮世絵自体は海外でも知られていましたが、印象派の巨匠ゴッホやモネなども名所江戸百景シリーズを模写しています。当時の浮世絵の構図や色遣いが、いかに斬新で国際的に影響を及ぼしていたかを想像させます。
反物を染めたあと水洗いして木製のやぐらで乾燥させる「伊達干し/立干し(だてぼし)」。そのあいだから富士山を望むというレイアウトです。今でも機械乾燥せずにこうやって干している手拭い工場もあります。歌川広重が名所江戸百景シリーズを発表した当時の版元は下谷新黒門町の魚屋栄吉(ととやえいきち)でした。略称「魚栄」。広重は版元の魚栄に気を遣って、てぬぐいの文様に 魚 の文字をあしらっています。