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■ ホイール軸受ユニットの組立て
さて、ホイールのフチの表面は滑らかにサンデイングできたでしょうか?
次は軸受け部分の組立てですが、その前にひとつ。
● 松ヤニをホイールにこする
今の段階でざっと松ヤニを付けておいてもいいでしょう。とにかくホイールがむき出しのうちは作業が楽ですからね。
付属の松ヤニは 1cm 程度のサイコロ状。これをゴシゴシとホイール面にこすりつけるだけです。
但し、角がポロポロ欠けてこぼれるので何か敷物があったほうがいいです。
見た目ではよくわかりませんが、とにかくゴシゴシとホイールを一周こすってください。不足なら調整段階でまたこすればいいのですから。
ちなみに、ウチにはヴァイオリン用の松ヤニがあり、大きくて握りやすいのでさすがに作業はらくです。
はい、本題です。ホイールの軸受ユニットの組立てです。
【5ページ】
教科書5ページを開いてください。ここでは部品板の1番と3番から部品を取ります。
(1)部品板1番から 8i と 9o を2個づつ撮り出し、サンディングして周囲のバリを取ります。
軸の両側にロウを塗って先に 9o を押し込みます。ちょっと力がいります。
(2)同様に 8i を装着します。こちらは少しゆるいです(それでいいのです)。 8i の周囲にはロウを塗ります。
(3)部品板1番から 10番 の歯車(ギア)を取り出しロウを塗ったのち 28番 パネル部品と共にホイールの短い軸側に挿しておきます。
そして軸の先端に57番のダボ(クサビ)をハンマーで入れます。
● 歯車の谷間には部品板から取り出したときのバリが付いているので、折った紙やすりできれいにしましょう。今後は歯車を見たら谷間のバリを忘れずに!
【注意!】質問がありましたのでお答えします。
歯車の「バリ」とは部品板にしがみついていた痕跡部分のことです。歯車の「バリ」は綺麗にせねばなりませんが「歯車の歯」はサンディングしてはいけません。歯の山と谷は非常に精巧にカットしてありますので変形するとスムーズに回りません。
(4)今度は長い軸側です。部品板1番から 11番 の歯車(ギア)を取り出しロウを塗ったのち 29番 パネル部品と共にホイールの長い軸側に挿しておきます。
そして軸の先端に57番のダボ(クサビ)をハンマーで入れます。このへんの穴の内側にもロウを塗ればなお良し。
現時点では2つのパネル及び軸にも少し遊び(隙間)があるので、ぐらつきますが問題ありません。
あなたの作ったものがこの写真と著しく異なる場合は、少し前の工程から見直して確認してください。
【オプション作業:自己責任にて】 両方の軸先端のダボ周辺に接着剤。将来的なゆるみ防止ですな。
● 歯車(ギア)には入念にロウを塗るべきです。今後も歯車部品がたくさん登場します。私も必ずしも毎回指摘しないかもしれませんので、決して手抜きをせずにロウを塗ってください。今後もとにかく歯車を見たらロウを! 完成後に摩擦音が大きかったり、かんだり、といった複数の問題を防止するためです。
■ 演出歯車の組立て
この部分については楽器の機構としては不要な部分ですが、あ、 ... いや、ハンドル回転に適度な負荷を掛けてホイールの回転を安定させるという役目がありますけれど、無くても音は出せます。歯車が「かむ」ようであればいっそ無いほうが良いようにも思います。
しかし、実際に動かしてみるとこれが激しく楽しい! さすがに歯車を得意とするメーカーだけあって良くできています。
それに、なんかこう、組立ての途中で回転させるとワクワクします。うん!そうだ!やっぱり必要な機構なのだ!
【6ページ】
さて、いきますよ。教科書6ページを開いてください。ここでは部品板の1番と6番から部品を取ります。
(1)16番の大きな歯車に15番の小さな歯車を4つ、3番ピンで留める工程です。図にならって組み立ててください。
しつこいようですが、歯車の歯のひとつひとつにロウを塗ってください。根気がいります。
ここではピンを挿す四角い穴の周辺にもロウを塗ります。つまり摩擦面にはロウを塗るという原理です。
私の場合は組立説明図に指示がなくても摩擦部にはロウを塗ります。
楽器キットに限らず、組み立てモノで起こる失敗の原因の多くは「先を急ぐ」ことです。つまり慎重さがポイントなのです。
(2)ちょっと変わった形状 X 型 の部品に歯車をのせて、中央に17番歯車を入れ18番で留めます。
このときスムーズに回転するか指先で回してみてください。何回か回転させることでロウがお互いの歯車の谷と山になじみます。
ここは動画も撮ってみたりして。ホラ! ワクワクするでしょ!?
19番のガイド部品(もちろん歯車にロウを塗っておく)も載せて同様に回転させてみましょう。
【7ページ】
ここでは部品板の2番から部品を取ります。
さきほどの演出歯車の両脇に2枚の固定板を付けます(矢印が刻印されているので向きに注意)。
キツイので突起部分にロウを塗ったほうがスムーズに作業できます。
妙な押さえ方をすると手を痛めるので注意しましょう。とくに傾いてしまうとロウを塗っても入れづらいです。
●このキットでは押し込む部品がたくさん出てきます。接着剤を使わないのがウリなので当然ですね。
でも、うまく挿さらないこともあります。原因は力不足とも限りません。
・ロウを活用する
・傾いて挿そうとしている(垂直を確認)
・クサビやピンはハンマーを使う(ピンの頭が欠けてしまうこともあるのでほどほどに)
● 部品によっては予備部品(スペアパーツ)が付いています。歯車やピンやクサビなど、わりと小さめの部品です。
予備の部品には番号に + が付いています。例えば 15+ は15番部品の予備という意味です。
組みあがったら、これもスムーズに回転するか指先で回してみてください。
・スムーズに回転するか確認(動画)
あ〜〜〜! まわってる! まわってる! 目が回りそう! 楽しぃ〜〜!
■ ボディ組立て
【8ページ】
いよいよボディです。ここでは部品板の2番と7番から部品を取ります。
(1)まずボディ両脇の部品(22番)を取り出したら、バリをサンディングしてならします(レーザー切り出し面に10か所ぐらいバリがあります)。23番も同様にバリをとります。
(2)図のとおりにハンマーで組みます。 INSIDE と書かれた面は内側を向きます。
両サイドの板は平行に組んだあと ハ の字に開きます。
狭いほうが糸巻き側です。開いたほうがホイール側になります。
(3)ボディパネルには装飾板(唐草文様)を貼り、それを固定するピン(クサビ)の一部を使って演出歯車ユニットを固定するという構造です。
装飾板には向きがあるので注意してください。組立説明書にも拡大図で注意が示されています。
【9ページ】
装飾板をボディに貼るには片面につき4本のL型のクサビを使います。26番と27番それぞれ2本づつ長さが違います。
まずはこちらの面からいきましょう。
(1)糸巻側:L型のクサビは26番(長い)と27番(短い)をペアで外側に向くように挿します。
(2)ホイール側:L型のクサビは26番(長い)と27番(短い)をペアで内側に向くように挿します。するとこうなります。
(4)さて、今度は反対側です。さきほどと同様にL型のクサビのペアをロウを塗って挿します。
(5)さきほどの演出歯車ユニットは上記のL型のクサビの延長で固定するのです。写真と図をよ〜〜く見て組み立ててください。
(4)ホイール軸受ユニットをこのボディに合体させます。
溝をよく確認しながら、少しづつハンマーで叩いて圧入します。
このとき、叩くのはホイール軸受ユニットの4か所です。
演出歯車の一部分とホイールの歯車の一部がかみ合う必要があるので、一気に押し込もうとするとこの接続部を壊しかねません。徐々に作業しながら途中でいったん叩くのをやめて、ホイールをちょっと回転させて歯車同士が問題無くかみあうようにするのがコツです。
こんな感じに収まればいいでしょう。
【10ページ上半分】
ここでは部品板の3番から部品を取ります。
(1)裏板を部品板から取り出してバリをサンディングしてならします。
完成に近づくにつれて奏者の身体に触れる部分が組み立てられていきますので、ちょっとしたバリやささくれが無いようにサンディングしましょう。
そのあと本体底面に取り付けます。
糸巻側には近距離内に4個所の突起と穴があるのでこちらを先に組むといいでしょう。隙間無くキッチリ入るとパキッ!という音がします。
(2)次にホイール側を組みます(5個所の突起と穴がある)。
はい! 弦楽器製作業界でいうところの、いわゆる「ハコ」になりました〜〜〜!
ここでも動画:思わずクルクル回して遊んでしまいます ♪ キャ〜〜〜! 楽しぃ〜〜! 鼻血出そ〜〜〜!
ふぅ ....
次はブリッジ周辺と表面板がらみの組み立てです。
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