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■ ブリッジユニットの組み立て
さて、ウギャース社(ホントはたぶんユーギアーズと読むと思う)のハーディガーディ( Hurdy-Gurdy )のキットの続きです。
今回はブリッジ周辺の組立てです。
● この楽器の弦は2本。ホイールの隣でそれらの弦を支える役目を果たすのがブリッジです(この部分です)。
な!な!な!なんと!このキットの場合は各弦に独立したサドル高の調整機構が付いています!ひゃ〜〜!!
古来のハーディガーディでは弦高調整はサドルに紙を挟むのが一般的ですが、この楽器はツマミで調整できるので先進的かつ合理的です。
素晴らしい! もう、泣けてくる! ウギャース!
【10ページ下半分】
さて、それでは今回もまいりましょう。ここでは部品板の7番から部品を取ります。
(1)教科書10ページを開いてください。下半分から始めます。
(2)33番の部品は奇妙な形状ですが、へこみ部分で向きを確認します。2つの丸穴に34番を入れます(向きを確認)。
(3)35番が弦高調整のサドルです。レーザーカット断面に紙やすりをかけ、裏表の平面にはロウを塗ります。
(4)36番部品は装飾模様のある向きに注意して組み付けます。まぁ、この写真のとおりになればOK
(5)11ページに移ります。下に2つの支柱(これも向きに注意)、上からそれを固定するための2つの部品を組みます。
サドル調整ツマミを2つそれぞれに挿せばブリッジの完成です。
■ 表面板にブリッジを取り付ける
● このキットの表面板には最初からロゼッタが彫ってあります!
【11ページ、12ページ】
ここでは部品板の1番4番6番7番8番から部品を取ります。
(1)表面板を取り出して32番の補強部品を3番ピンで留めます。表にピンの先端が少し見えるよう確実に。
(2)12ページ。前記のブリッジユニットを表面板に挿します。
(3)表面板の内側を40番クサビ4本で留めます。ここはキツイので必ずロウを使います(割れ防止)
【オプション作業:自己責任にて】 表面板の内面の2つのピンと4つのクサビに接着剤で補強をするもよし。将来的なゆるみ防止。
■ テールピースユニットの組み立て
● ヴァイオリンやガンバやアーチトップギターのテールピースと同様にボディ底部で弦を結わえる部品がテールピースです。
また、このユニットはハンドルからの回転力をホイールに伝えるための歯車を押さえる役目を兼ねています。
【13ページから14ページ上半分まで】
ここでは部品板の2番3番4番から部品を取ります。
(1)図に示されたとおりに組立てますが、注意点としては43番ピンがすごく小さいので挿すときに傾きやすいです。
付属の治具のお尻で押すと作業が楽ですが、ピンが傾くとなかなか圧入できなくて、部品をつぶしてしまう恐れがありますので、
前後左右から見て傾かないように姿勢をなおして押してください。
また、4本のピンは表面または裏面にちょっとづつ出すぎたりへこんだりしますので平坦になるように平台上で押すほうが良いでしょう。
(2)2本の弦を結わえて留めるのが54番の部品です。2つ穴が開いてますな。
この部分は固定でも良いのに、わざわざパタンパタンと倒せる可動式になっています。
心憎い設計ですな。やるねぇ、ウギャース!
向きを間違えないよう図を良く見て確認しながら組み立ててください。
(3)あとは図にならって組み立てますが、最後に上下2つの穴の周辺にロウを塗ります(歯車の面がこの面に接するため)。
説明図にはありませんが、穴の内部にロウを塗るのも効果的です。
【オプション作業:自己責任にて】4つのピンが動かないように接着剤を注入するもよし。
■ クランク歯車の組み立て
● 一般的なハーディガーディのハンドルは軸の延長にホイールが付いているのでハンドルとホイールの回転は同じですが、このキットでは変速ギアを内蔵しており、ハンドルを1回転するとホイールは2回転します。二倍!二倍!(←高見山親方風に)
恐るべきウギャース!
【14ページ下半分〜16ページ】
ここでは部品板の2番3番4番6番から部品を取ります。
(1)最初の44番と45番を交互に組んで歯車の軸とします。急がず確認しながらじっくりと。
このあとで出てくる47L もそうですが、バリ取りのサンディングとロウ塗りをしっかり。もちろん歯車のバリ取りとロウ塗りも入念に。
(2)ここから15ページ:49番と50番の部品で軸を作り、歯車と軸部品などを組んでいきます。
歯車の軸はもちろんですが「面」にも忘れずにロウを塗ります。2つの歯車ができました。
【注意】丸い軸受部品に + の穴が開いた部品がよく登場します(薩摩藩パーツ、もしくは赤十字パーツですな)。これらはレーザーで正確にカットされているのですが、木材の収縮とレーザー熱等でわずかな変形があります。そのため、いったん十字の軸に入れようとしてキツイ場合は無理に入れると割れます(ロウを塗っても割れることがある)。そんなときはいったん抜いて90度または180度向きを変えて挿してみましょう。
(3)本体の底部の軸穴に軽く挿しておきます。
(4)ここから16ページ:53番のタワー板を取り付けます。この穴と面にもロウを塗ります。ロウを塗るところがたくさんありますな。
この周辺はロウ塗り大会です。図を参考に各部にロウを塗りましょう。こんな感じになればOKです。
(5)さきのテールピースユニットをボディ底部に組み付けます。
ここは少しコツがいります。まず本体の底部をやや上向きにして作業します(歯車がポロリと落ちるのを防ぐ)
下の歯車を挿しておき、テールピースユニットの足を傾けて裏板にそこそこ挿します。
上の歯車はテールピースユニットの穴に挿して手で落ちないようにしながら組み上げます。皆さんも工夫してみてください。
2つの歯車の歯が噛み合うように注意します。どうでしょう? 皆さん、ここまでうまくいきましたかね?
(6)2つの歯車の歯が噛みあっていることを確認し、実際に軸をまわして確認してみましょう。
歯車が回るうちに各部のロウがなじんでいきます。
■ 歯車の欠けの補修例
● このキットのシナ合板はウクライナやチェコあたりで環境に配慮して作られているのですが、レーザーカットとはいえ元は天然の木材。それで、私たちが組み立てている最中に欠けることがあります。ただ、原則どの部品も欠けてもそのまま使えるように考えて設計してあります(このへんがスゴイところ
いや、それでも気になる人はいますね。鶴田みたいに。
そこで、補修例を掲載しておきます。補修前と補修後の写真です。こういったときもピンセットは有ると便利です。
● 今回はオプション(自己責任)ということで瞬間接着剤を使っていますが、くれぐれも「はがし液」を必ず傍らに置いておきましょう。私は過去に工房の工作台に指をくっつけてしまって後ろの戸棚のはがし液まで手が届かず激しくもがいた経験があります(笑)。
いや、真剣に瞬間接着剤とはがし液はセットで使うものなのです。甘く見ると痛い目に遭います。運動会にはフォークダンスが付きものであるように、瞬間接着剤には専用のはがし液が付きものなのです。
■ 表面板でハコを閉じる
【16ページ下半分〜17ページ】
ここでは部品板7番から部品を取ります。
(1)ブリッジの付いた表面板を本体の上からかぶせます。
本体の突起と表面板の穴が一致するように圧入します。突起の数が多いのでちょっとコツが要ります。
ホイールの中央あたりを先に挿し合わせ、徐々にその周囲を挿していくほうが作業しやすいです。
入らないときはボディの板をギュッとゆがませるとうまくいきます(パキッ!という音がします)。
なお、写真にはハンマーが写っていますが、私は握力(指力)だけで組み立てました。
(2)ボディの周囲を C型の装飾クランプ で留めていきます。これはカンタン。上下の向きを間違えないように。
さぁ、ボディはこれで完成です。
次はキーボックスと糸巻です。
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