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■ キーの組立て
ここでいうキーは押さえて音程を決める鍵盤のようなものです。
【18ページ】
教科書18ページを開いてください。ここでは部品板の8番と6番から部品を取ります。
(1)キーは2枚をペアにしてピンで留めて1つにします。6つのキーのペアを作ります。
とくに注意すべきは重ねる順番。数字が刻印されている面を上にして58番が上、59番が下です。
よく見るといちばん端の四角形のサイズ(形状)が異なります。下が正方形の小さい穴、上が長方形の穴なので要注意!
(2)側面にロウを塗ります。重ね順さえ間違えなければ容易です。6ペア作りましょう。
■ 糸巻の歯車の組立て
このキットはまさかの機械式です。大小2個づつ、2セット(ペア)の歯車を作ります。弦を巻き上げるための軸なのですが、この楽器は弦が2本なので2セット(ペア)なのです。
いままで歯車をたくさん組み立ててきましたが、今回は各部品にこまかく向きが指定されているので慎重に。完成するとこうなります。
なお、間違えて困っているという方はこの工程に限らずメールください(なおせるものはアドバイスしますので)。
【18ページ下】
ここでは部品板の5番から部品を取ります。
(1)まずは大きい歯車。部品板5番から 66番 と 67番 を取り出し、サンディングして周囲のバリをよく取ります。
大きい歯車には弦を結びつける穴があります。つまりストリングポスト(巻軸)ですな。
軸が歯車の十字の溝に入りにくいときはいったん抜いてバリが無いか確認したうえで90度または180度角度を変えて入れてみるとうまくいきます。
この大きい歯車をもう一個作ります。
(2)次に小さい歯車。 69番と70番と71番 を取り出し、組み立てます。
この小さい歯車をもう一個作ります。
■ ペグボックスの組立て
マシンヘッドとか弦蔵とも呼ばれるように弦を巻き上げるしくみ一式の部分です。
【19ページから21ページ】
教科書19ページを開いてください。ここでは部品板の5番と6番から部品を取ります。21ページまでは図にならって組み立ててください。
以下に注意事項とコツなどを補足しておきます。
(1)19ページのロウを塗る場所ですが、丸穴の周囲に塗ります。また、書いてありませんが丸穴の内ヘリにも塗ると良いでしょう。
(2)支柱を数本と補助板76番を挿します。そしてさきほど18ページで組み立てた大小ペアのうちの大きい歯車を入れます。
(3)20ページ:次に小さい歯車を入れます。仕切りパネルをかぶせてクサビで留めます。
(4)次に、ちょっと複雑な形状の 75番 ピンを入れます。この75番ピンには2段に爪が付いていますが、ロウを塗らないとうまく入りません。
真ん中の補助パネルの下に硬い物を挟めばうまくいきます。消しゴムでもかまいません。
部品抜きツールの先端で爪を少し押してやると比較的作業しやすいです。
うまく挿さったら21ページへ進み裏側を40番のクサビで固定します。
(5)21ページ:もうひとつの小さな補助パネル77番を78番のピンで貫いてクサビで留めます。
(6)最後に85番部品を向きに注意して取り付けます。これには弦を通すための穴が開いており、ナットの役目を果たします。
■ キースプリングの組立て
キーを押したあと、そのキーはどうやって元に戻るのか?
古来のハーディガーディではキーは置かれたままです。つまり楽器を抱えたときにキー列は下側になるので重力でぶら下がり状態です(勝手に戻る/落ちる)。現代のモダンなハーディガーディでは金属のコイルスプリングをキー軸に仕込んだものもあります。しかし、さすがウギャース社のキット、ここがまた独自の構造なのですよ。
なんと輪ゴム!! 最初見たときは仰天しました。でも、スパッ!と割り切るところが良いのです。キーの周辺にも独自の工夫が随所に見られるキットです。素晴らしい。夢に出そう。
● 実際に完成して弾いてみたところ、ややキーが重いかな? と感じたのでスプリング(ゴムで戻る力)を今回は鶴田独自の方法で少し弱めにした例も紹介しています。
【22ページ】
教科書22ページを開いてください。ここでは部品板の8番から部品を取ります。部品の向きに注意してください。
(1)部品板8番から 60番、61番、62番、63番を取出し、バリをサンディングします。
そして図の指示どおりロウを塗りましょう。6セットなのでロウ塗りもたいへんです。
(2)番号の刻印された60番のフレームに61番、62番、63番を組んでいきます。まずは1番から。
順番に丁寧に組み立てましょう。6セット全てを組み終えたら可動部分を動かしてみましょう。裏から見るとこうなります。
くれぐれも部品の向きに注意してください。
(3)さて、次はスプリング機構を仕込みます。輪ゴムです。
教科書(組立説明書)どおりにやったのですが、ゴムが太いこともあって外れないか不安でしたがギューッと引っ張りながらゴムが細くなってどうにか収まりました。完成して弾いてみるとキーは確実に戻るものの、やや重たいです。
それで、今回は鶴田考案のゴムの張り方を試してみました。写真を御覧ください。図面どおりやるも良し、鶴田方式でやるもよし。オプションですな。
● 鶴田式の場合はキータッチがかなり軽くなります。その反面、キー操作音がやや目立つようになります。図面どおり突起に掛かるゴムを二重にすると押し込みに力が必要となりますが、そのため必要以上に深く押し込まないので戻りのストッパー(タンジェント)の音も小さくなりノイズが目立たないようです。演奏でのキーの押し込み強さと深さは速いパッセージを好むとか、ビブラートを深くかけたい、といった点にも影響します。こういった違いは好みの個人差もあるかと思います。
■ キーボックスの組立て
いよいよキーボックスの組み立てです! じつはさきのペグボックス(ヘッドとか弦蔵ともいふ)とつながっています。
【23ページ下から30ページまで】
教科書23ページを開いてください。ここでは部品板の5番、6番、8番から部品を取ります。
(1)80番の部品はキーボックスの側面板であり、その延長がペグボックスの横板となっています。
輪ゴムを掛けます。コレ何って? キーを押して戻ったときにキーがカタカタ鳴るのを抑制するしくみです。よく考えてますね。もう泣きそう。
(2)あとは支柱を挿してクサビで留めたのち、さきほど組み立てたキーバネのユニットを取り付けます。
キーバネユニットは数字の刻印がある面が上です。上下が裏返しにならぬよう向きに注意。
そしてペグボックスもヘッド位置に組み込みます。
(3)26ページ:大小の糸巻き歯車(ドローン弦用となる)を挿しておき、79番のデッカイパネルを組み付けます。
ここまで組み終えたら糸巻き歯車(メロディー弦側もドローン弦側も)をペグボックスの上から手で回してみてください。
最初は硬いですが、回すうちにロウがゆきわたって軽くなっていきます。但し、この歯車は弦の張力に耐えねばならないので少しきつめが正しいのです。
(4)27ページ:キーボックス両側面に装飾の細長いワッカを貼ります。
前後の向きに注意してください。写真にはハンマーが写っていますがピンは叩くと割れやすいので指で押し込んでもかまいません。
(5)今度はリフターを組み付けます。27ページの最後から28ページ。
ここでは部品板の8番から部品を取ります。
図面の指示どおりに組み立ててください。そしてパタパタ動かしてみましょう。
● 複数(例えばフレンチの6本とか)の弦が張られてホイールがそれらを一度にこすって音を出すのがハーディガーディです。しかし、必ずしも全ての弦を鳴らしたくない場合もあります。あるいは調弦のときは他の弦を鳴らしたくありません。そんなときはホイールに乗っかっている弦をひょいと持ち上げてやればいいのです。
このキットではドローン弦にリフトアップ機構が備わっています。じつによく出来ています。感激のあまり動画も撮ってみますた。
90度パタンパタンと寝たり起きたりするのに3つのパーツ、それのストッパーがピン1本、ゆるゆるにならないためのテンショナーが2部品、にて構成される本格的な構造です。これはちょっと凝り過ぎじゃないのぉ!?
キーボックスにキーを取り付けます。最後にキーボックスのフタを付ければこの工程はオシマイです。
【28ページ下から29ページまで】
(1)さきに組み立てておいた6本のキーを1本づつキーボックスに挿していきます。まずは1番のキーから入れます。
細い棒のようなもの(写真ではペンだがもっと細いほうがいい)を使ってスプリング突起を起こしたままにしておき、キーの四角い穴に入れます。
(2)そのままキーから手を離すと突起が外れてしまうので押さえたままでストッパー部品89番を軽く挿します。
ようやく両手が使えるようになったらしっかり89番を押し込みます。
● タンジェント:弦に強く寄りかかった爪で弦長が変わって音程が決まる部品89番をタンジェントと呼びます。
本来は先が尖っているのですが、詳しいことは調弦の段階であらためて説明します。
(3)キーボックスのフタを付けます。組み立て順序と部品の向きに注意してください。
【29ページ下から30ページまで】
ペグボックスとキーボックスがおおむね仕上がってきました。裏から見るとこんな感じです。
● 峠は越えた
ここまで来ればゴールは近いですぞ。キーの動きも確認しておきましょう。
次はペグとクランクハンドルの組み立て、そして遂に組み立て完了です!
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