じつはこの写真のギターはクラシックとフラメンコの両用ギターでして松の表面板に「ゴルペ板」を貼ってあります。表面板は杉や松やカエデが材料として用いられますが、同じ杉でも産地によって音色が大きく異なります。フラメンコでは裏も側面もシープレスのものがあります。
クラシックギターに貼るための「ゴルペ板シール」というものも市販されていますがこのように分割して貼らないと音が沈んでしまいます。
側面や裏板には「ローズ」や「ハカランダ」や「杉」が用いられますが、特にブラジル産ハカランダは象牙と同様ワシントン条約で輸入禁止となりました。
また、管理上重要な点としては高価な楽器は「セラック(昆虫から抽出した塗料)」で塗装してありますので 汗や油脂は厳禁です。ウレタンニス塗装のギターもそうですが世間でよく見る「シリコンクロス」という布で拭いてはいけません。シリコンが深く浸透して修理の際の塗装に問題が生じるからです。
湿度を50%程度にしておかないと「割れ」を生じるデリケートな楽器もあります。
サウンドホールから中をのぞくと製作者(メーカー)のラベルが貼ってあります。この写真は銘工「マヌエル・ロドリゲス」氏のフラメンコギターのものです。
ギターに限らず、バイオリンやリュートあるいは ウクレレまでも手工品には作者の署名(ラベル)が貼ってあったりします。
表面板や裏板にはこのような「力木(ちからぎ)」を配してあります。こういったブレーシングパターンは製作者によって異なり、当然音色や音量に影響するものです。これはかなりユニークですがイタリアの「アンドレア・タッキ」氏のものです(掲載許諾済み)。たいていは扇形ですがまれに格子(ワッフル)状に重ねたものも存在します。