第3章ではまず、ルネサンスリュートとバロックリュートの調弦(調律)を見て下さい。
● ルネサンスリュート調律
6コース〜10コース● バロックリュート調律
11コース
13コース
14コーステオルボ
このリュート教室ではルネサンスリュートを取り上げて曲を練習していきます。しかし、タブラチュアというリュート族ならではの楽譜の読み方に慣れればバロックリュートもさほど難しく感じないはずです(たぶん)。ひとまず上の調律図をプリントアウトしてご利用ください。
追加・修正情報:8コースリュートの調弦ではその8コースめをEではなくDにするべきという御指摘を頂きました。8コースの為の最大の曲集(一冊で一生ものらしい)シモーネ・モリナーロの本では全巻通じて7コースがFで8コースがDなのだそうです。9コース、10コースの曲集の中には8コースまでしか使わない曲があり、その場合EまたはEフラットの8コース目が必要ですが、そのような曲は8コースリュートの為の曲とは考えないということでした。
複弦の調弦にあたって覚えておくべき用語があります。
ユニゾン:1組(コース)の弦を同じ高さで調弦することをいいます。
オクターブ:太い弦と細い弦をちょうど1オクターブ(8度)の関係で調弦することをいいます。注:同じ種類の楽器でもコースや国、楽曲によって多少異なるそうです。
● ルネサンスリュートを調弦しよう
さいわいなことにルネサンスリュートの調律はギターにかなり近いものです。お手元にギターがあるならば、以下の方法で調弦できます。
(1)ギターを正確に調弦します。そして3弦を半音下げて F# にします。
(2)あとは第3フレットにカポタストを付けて、各弦の音にリュートを合わせればよいのです。
(3)7コース以下の低音弦は1〜3のポジションを押さえてオクターブ関係で合わせればよいでしょう。
さあ、これで1コースから順に G D A F C G となりました。(ソ レ ラ ファ ド ソ)
参考1: この場合は A=440Hz で調弦されます。ギターの第2フレットにカポタストを付けてそれに合わせる場合は A=415Hz になります。
参考2: 3弦については、あなたの好みでギターと同じにしてもかまわないと思います。そうすればギターの楽譜がリュートでそのまま弾けますから。でも........リュートの専門家には邪道といわれますので早めにF#に慣れましょう(笑)。
いったんおおまかに調弦をすませたらお茶でも飲んで昼寝して晩ゴハンたべて......そして翌日もう1回調弦したほうがいいです。ゆるんできますからね。
木ペグ(もくぺぐ/フリクションペグとも呼ぶ)は慣れるまで面倒ですが、たいていは手入れがちゃんとしてない場合が多いのです。エンピツか固形石鹸、もしくはバイオリン用のペグワックス(コンポジットといふ)を塗ってやれば楽になります。ナットの溝にもエンピツですりこんでやるとなめらかになることがあります。
ギターと比較してみると調弦だけでも面倒に思えますね。忙しい現代人にしてみればリュートが衰退していった理由がわかるような気もします。
● リュートの各部名称
(テキト〜な写真しかなくてスイマセン ↑)
ヘッド:糸巻きの「ペグ」が並んでいるのでペグボックスともいいます。
(タイプによってはこういった構造のものもあります。写真の左側の番外弦を支える部分を「バスライダー」といい、右側の1コースを巻き取っている部分を「シャントレライダー」)
ヘッドの裏側・・・ペグの形状も様々なものがありますがこれは一例。時代や当時の製作家によって形状の傾向はあります。
ネックと指板:この写真の左はしの押さえない弦を番外弦といいます。
ネックの裏側・・・ガットフレットが巻かれています。
高音域のフレット・・・拡張フレットですな。こんな高域まで使うことはまれです。
ガットフレットの結び方・・・位置によってピッチ(太さ)が各種あります。あらかじめライターなどで焼いてタマを作り、縛ってから押し下げて位置を合わせます。
ボディ:これは9枚のRib(リブ/板)で構成されています。
ブリッジ・・・ギターのようなサドルは無く、直接弦を結びます。そのため演奏にあたって表面板と右指が接近するため、表面板をわずかにくぼませた楽器もあるようです。
ローズ・・・いくつかの代表的なパターンがあります。一種の家紋のようなもの。ロゼッタとも呼びます。
弦:現代ではピラミッド社などのナイロン弦を使います。ガット(羊の腸)弦は寿命が短く狂いやすいのですが、音色は魅力的です。