Hyper Lute 教室 


 第4章:演奏基礎

 

第4章ではリュート演奏の基礎についてご紹介しましょう。はいはい、みなさん楽器をお手元に置いてありますか?

リュートはその昔(中世まで)、鳥の羽でできたプレクトラムというバチで演奏されていたそうです(現在ではマンドリンがピックによって弾かれていますね)。バチでの演奏は声部の表現などに制限が生じるため単旋律やバッキングに使われることが多かったようです。やがて15世紀になって右手の指を使って演奏するようになってからは一気に表現が豊かになりました。マンドリーノのような小型のリュート族の楽器では18世紀頃までプレクトラムで演奏されたこともあったようですが一般には15世紀以降はリュートは指で弾くのが一般的といわれています。


かつて、リュートは指頭(しとう)奏法で演奏するのが正統派?と思われていたためにギター弾きには敬遠されるといった傾向がありましたが、その後の研究によると当時もツメで弾いていたことが明らかになり、今日では両方の弾き方のどちらでも良いことになっています。

リュートの弦は駒にじかづけされているのでギターのような獣骨(サドル)はありません。現代のギターと比較すると弦高も低いので演奏にあたっては小指を表面板に軽く触れて他の4本の指で弾くことになるのですが、このことは8コースや10コースのような楽器で確実に低音弦を選択する際に小指からの距離を感覚的にとらえやすくしています。

 

【指頭(しとう)による奏法】
 弦に対して押しつける動作が加わるために振動エネルギーを表面板から発散するのに有利といわれており、深い響きが得られます。また、複弦を均等に弾弦するにはこの指頭(しとう)による奏法は合理的といえるでしょう。右手のフォーム(構え方)は、お皿をかかえるような感じで手のひらを表面板にかぶせるような構えになり、親指が手の内側にきます。「フィゲタ」と呼ばれる交互の弾弦法もこの指頭に向いているといえるでしょう。
但し.....サムインサイド奏法とサムアウトサイド奏法に関しては緒論あるようです...... 。

 

【ツメによる奏法】
 はじきあげる動作によって微妙な音量のコントロールが容易で、弾弦と発音の反応が素早いためにより多彩な表現が可能といわれています。右手のフォーム(構え方)は、親指を手の外へ出す格好になりギターにやや近い構えになります。ちなみに、かのギター界の巨匠ジュリアン・ブリーム大先生はギターだろうがビウエラだろうがリュートだろうがバリバリツメで弾いておられます(笑)。 ツメといっても現代のギターのような長い爪ではなく短めに揃えたツメですね。

 



 リュートにおける左手の記号とタブラチュアについて

    右手の記号  

 

.....なかなか演奏の説明にはいりませんなぁ〜(笑)..........ギター編のときの解説と違ってリュートは説明すべきことが多いんですね。手の記号については図を見ていただくことにして、さっさと先に進みましょう。

 次にタブラチュアと演奏について解説していきますが、じつはたいへんなことがあるのです。ギターでは一般の「おたまじゃくし」の楽譜か又は「TAB譜」が一般的に使われているのですが、リュートではタブラチュアと呼ばれる譜面の種類が「フランス式」、「ドイツ式」、「スペイン式」、「イタリア式」という具合に数種類存在するのです(どひぁ〜〜〜!!)。

しかし、このCRANE リュート教室では一般的な「フランス式」で解説することにします。  

注:「ドイツ式」、「スペイン式」、「イタリア式」などの詳細については市販の教則本などに解説されていますので、興味のある方はご覧ください。じつはヘビメタ少年たちもギターで使っている「TAB譜」はスペイン式のれっきとした古来からのタブラチュアだったのです。 

 


【追加情報】

・海外のホームページでリュートのTAB譜をパソコンで扱うソフトが出ているようです。以下のページにソフトウエアやそのソフトウエアで作成したタブラチュアなどもいくつか掲載されています。残念ながら現時点ではWindows 95/98/NT版のみのようですがMacならバーチャルPCなどを使って利用するというテもあります(私はStringWalkerは使っていませんけど....)。興味のある方はどうぞ。

 

・StringWalkerのサイト
http://www.concentric.net/~alainv/index.html

 

・StringWalker用の曲データが山ほど配布されているサイト

Publications for the Lute
http://cbsr26.ucr.edu/wlkfiles/Saltarello.html

 

・その他のサイト

http://members.aol.com/MWhee40252/fronimo.html

http://www.websamba.com/LuteDirectory/

 


 

【フランス式タブラチュアの読み方】
 

以下に表示されているのが6線フランス式タブラチュアの例です。フレットの位置と記号の対応を参考にしてください。  
フレットの数え方は独特です。ギターではたんに1フレット、2フレット、3フレットと数えますがリュートでは aフレット、bフレット、r (c)フレット、dフレット、eフレット、fフレットといった具合に数えます。コースの多い楽器であっても低音部は希にしか弾かないので、たいていは斜線///を添えて記譜されます。

6線の上には旗が記されていますが、現在のおたまじゃくしの2倍で数えると思えばいいでしょう。タブラチュアには 様々なお約束 があるのですが、欠点として低音部などの音価(音の長さ)の表記が明確でない場合があり、そのような場合は演奏者にまかされることになっています。  

     演奏例:鶴田 誠 TAB_lesson.mov[49KB]:QuickTime形式

     演奏例:鶴田 誠 TAB_lesson.au[53KB]:AU形式

 

 

     参 考:5線フランス式タブラチュアの例  


 

 

 

ふぅ〜〜〜〜っ。こりゃぁ思ったよりたいへんです。ギターほど知られていない部分を説明するだけでも骨が折れますよ......まだまだ続くのであります......

 


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