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 2. リブとブロック

バロックギターの側面板には1枚板のほか、数枚の帯状の細板(リブのコンビ)を配置したものも多く見られました。今回は約9mm幅の黒檀リブを準備します。この写真に出ているのはアメリカのエキゾチックウッド社から特注したもので、1枚約1000円という本黒檀です(加工依頼したので結果的に高くついてしまった)。まとめ買いしたので楽器数本を製作するだけのストックはありますがひとまず今回は楽器1本分のみを加工していきます。寸法は図面から割り出します、のちのちの作業を考慮してやや長めにとっておきます。当時のバロックギターの材料には黒檀のほかウォールナットやメイプル、イチイ、キングウッドなどなどがよく使われていました。時代やモデルによって板材を選択します。

 

 

リブの幅を約10mmに決めて電動糸鋸盤で切り出します。あとでカンナをかけて9mmに整えます。平行に挽くために定規とクランプを使ってガイドをこさえておけば良いでしょう。

 

最終的な厚さは約1.0mm〜1.2mmにするつもりですが、ひとまず2mmからおおまかに軽く削っておくことにします。最後の仕上げまでにスクレーパで何回か削ることになります。

 

 

図面を照らし合わせて必要なだけの木材をそろえます。本黒檀は塗装すると真っ黒になるので端材も使いやすいです。この楽器の場合はボディだけでなくネックやヘッドにも使用するので使用する木材は予備も含めて入念に分量を数えます。貴重な木材資源を無駄にしないように気をつけましょう。

 

 

黒檀のリブ同志の間に挟むためのメイプル細板を切りだします。本来は象牙ですが一般には入手が困難なことと高価で輸入の制限などを考えればメイプルで充分です。本数が多くて面倒な作業ですが気長にやりましょう。1本切り出してはカンナで切断面をまっすぐにならす.....これを繰り返すのです......Zzzzz.........。

 

私は作業がのろいのでこれだけ切り出すのに丸2日かかってしまいました。

 

 

さて次はリブの曲げを行います。水で黒檀をしめらせておき、ベンディングアイロンでじわじわと曲げます。もう手慣れたものです........なぁ〜〜〜んて思って作業するとあとで接着するときにズレを生じて泣くことになります、慎重に作業しましょう。

 

 

いっそのこと側面板は1枚板の仕様に変更しようかと思うぐらい手間のかかる作業です。黒檀は曲げにくく、しかも木材なので木目の具合に応じて予想外のよじれも生じるのです。見るとやるとでは大違いですぞ、みなさん。このとき予備も1本づつ準備しておきます。あと、このバロックギターの場合は表面板に接着される1組のリブはやや広い幅のリブを使います。

 

 

あとはボディ上下のブロックですが、木目の方向に注意してスプルース(当時セドルなどもあったようですが)を切り出します。

 

 

フラットバックではないので裏板のリブとの接着面にはかなりの傾斜がつきます。糸鋸盤のテーブルを傾けてカットしますが、あとでヤスリを使ってアーチ(球状のゆるやかなふくらみ)をつけます。そう、ボウルバックではこんなに小さなパーツにも3次元の加工が必要なんですね。

 

 

ひとまず2つのブロックを切り出したところです。工房内はホコリだらけ.....。

 

 

さあ、ボディのパーツはおおむね揃ったところで次はいよいよモールド作りです。

 

 

 


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