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 7. ロゼッタ:冠状の壁と組み立て

そういうわけで、ロゼッタの側面(冠状の壁)であります。図面では部分的な模様を描いてはありますが、各層の直径から円周を計算して正確な冠状帯皮の長さを決めなければなりません。もちろん「直径 x 3.14」です。最近の小学校では円周率を 3 と教えているそうですが、3で計算するとピッタリ重ならず足りなくなるので気をつけましょう。

最難関のこの層は複雑な柄で、私なんか作業を始めて5分で寝込んでしまいましたが(ウソ)、図面を皮に仮接着してデザインナイフとポンチで切り抜いていく過程は今までと同じです。

 

 

この帯だけでも夜中の11時に切りはじめて帯の最後を切り終えたのが翌朝の9時。途中でお茶を飲んだりネットサーフィンしたり....(をひをひ!)

 

 

側面の帯パーチメントの模様や形状は冠状のほか星形や花形があります。ここではオーソドックスな?スタイルで製作しています。Voboam は一族でおおむね似たパターンですが、ジャンの時代にはユニークなものもあったようです。セラスも象徴的なパターンをもっていますが注文主の要望で特殊な模様も扱っていたようです。製作家にもよりますが側面の帯パーチメントの模様は、これでもか!と彫り込んだものや、単純な丸孔のものなど様々なものが見られます。

 

 

さあ、パーツがようやく揃ってきました。接着剤で若干反っていてもかまいません、組み立てながら反りを補正していきます。

 

 

最底部から順に組み立て、接着していきます。冠状の帯パーチメントを真円に接着するためには一度に接着せず、部分的に4箇所を接着したのちにその間を接着します。

 

 

皿の切り抜き時に寸法をやや大きめにするべきか小さめにするべきかを前もって考えておかないとはみ出してしまいます。ああ、眠い..........。

 

 

あともう一歩です。どうしてもわずかなゆがみが生じるので必死にバランスをとりながら接着しています。最後の...........組み立て........作業が.....目前......あとはタノム....(ガクッ!).........。

 

 

おお! 完成! ブラボ〜〜!

 

 

じつはよく見ると少しズレていたりします(笑)。接着時にゆがみを防ぐため平たい板で加圧しますが、そのときにズレを生じやすいようです。まあ、眠りながら作ったにしては上出来かな? なかなか難しいものですね...........。

 

 

裏側から見るとこのようにクリスマスケーキといいますか、ピサの斜塔の上階のようなカタチです。

 

 

ああ、長かった(でも楽しかった)。ロゼッタの図面複写からはじめて完成まで丸3日間、ほとんど寝ないで(眠りながら)作りました。夏休みでなければ1週間以上かかったでしょう。当時のロゼッタはこれに金塗料を塗布したものも多かったようです。博物館の楽器についているロゼッタはのちの時代の修復品であることも多いので、必ずしもオリジナルかどうかは検証が必要です。

 

 

保管には箱に入れてホコリや損傷を避けねばなりません。そのへんに置いておくとふんづけて簡単にペチャンコだ象!

 

 

 


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