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工程説明ページ


 10. ネック:ヘッド

 

今度はヘッドの加工です。これがまた切って貼って、はいオシマイというわけにもいかず製作過程の写真枚数をみてもかなり手間のかかる作業を行ったことになります.....。今回はバロックギターとしては装飾は控えめで比較的素朴なスタイルなわけですが、それでも作業にとりかかってみると19世紀ギターやモダンなギターよりはるかに時間がかかっています。

さて、ヘッドの手始めは黒檀のベニヤ(といっても約1mm厚)を化粧板として母材に貼る作業から始めます。イタリアンとフレンチではヘッドの構造は異なるので注意が必要です。この黒檀の薄板はドイツのDICK社から輸入したものです。

 

 

接着剤を塗布して、中央に装飾用の窓を残すようにクランプをかけ、接着します(その過程の説明は長くなるので今回は省略)。装飾の縁取りには先に作っておいたメイプルのスペーサ(細棒)を流用します。四隅を45度でカットして額縁状に組みます。

 

 

メイプルの細棒を接着後、さらに黒檀の細板を接着します。この黒檀の細板は一枚板から糸鋸を使って、さきのメイプルのスペーサと同様に切り出したものですが、厚さはわずか 0.2mm しかありません。難しくてちょっと切り出しに時間がかかりましたが均等に0.2mm厚です。

 

 

図面のテンプレートをもとに適切な寸法でカットします。 

 

 

たいていのバロックギターのヘッドは三角ほぞで継ぎますのでネック側とヘッドプレート側を合わせ、ノミで加工していきます。ここにリブ材として使った黒檀の帯板を張り合わせていくのです。

 

 

ここではネック側の帯板とスペーサとが延長されるように幅を調整しながらの作業となります。ミニチュアのクランパと籏ガネが活躍しています。比較的容易な作業ですのでのんびりやります.........Zzzzz......。

 

 

もちろんボディの裏板やネックと同様にセンターに1枚の帯板を接着したものの両側に他の帯板を並べるという配置を踏襲します。その昔、テレビ映画で「破れ傘トウシュウ悪人狩り」というのがありましたがトウシュウの漢字をどうしても思い出せないでいます.....トウシュウ先生の「たたっ斬ってやるぅ〜〜」がオハコでしたなぁ........。

 

 

あ、いかん、いかん、ホームページ作りも写真の枚数が多いわ、解説の資料と製作記録は散り散りになってるわでなかなかはかどらないと、ついつい話題をそらしてごまかそうとする鶴田です(笑)。ああ、現在死ぬほど眠いです.........Zzzzz...........あ、机の上で目覚めました、解説再開。
というわけで、ヘッドのシェイプを決めていきます。図面のテンプレートをもとにその輪郭を鉛筆でなぞってヘッドにマークします。これを糸鋸で切り出すわけです。

 

 

やや輪郭線より大きめに切っておいて、あとで細かいディテールをノミで削り、ピッタリの寸法に調整していくことにします。作業中は余計な傷を避けるためテープでマスクしておきます。

 

 

おおまかに糸鋸で切り出したら次はペグ穴を開けるためにキリで目印を付けておきます。考えてみると私は糸鋸盤以外はほとんど電動工具を使っていないことに気付きます......。

 

 

というわけで、久しぶりに電動工具を使いましょう。卓上ボール盤でございます。直径 3mm の木材用ショートビットで仮穴を開けます。裏まで貫通させると割れを生じやすいのでビットの先端がわずかに裏に出たところで止めます。最近は先端がスクリューでなく三角の「三角ショートビット」があって、作業中にめり込んでいかずたいそう使い安いのだそうです。そろそろ私も買おうと思っています、スターエムさんのホームページをご覧あれ。

 

 

裏側からハンドビットで穴をあけます。一気に貫通させれば作業そのものは短時間で終えますが、私のバヤイはどうしても亀裂を避けたいのでこうやってひたすら意味もないような?回り道をとります。

 

 

そしてペグリーマを使って穴を拡張します。テーパはここでは1:30ですが、当時は1:40とか1:45程度のテーパもあったようです。ペグリーマの掘りの深さを10本とも揃えるために紙テープを巻いて目印とします。このへんの作業のノウハウはいつものとおりですね。

 

 

次の写真を撮影するときに角度がやや傾いてしまいましたが、全体としてはちゃんとまっすぐにスペーサが入っています。完成時の写真をあとでご覧ください。

 

 

ここまでくれば、ほぼヘッドストックの機能は果たしますが、あとは細部の調整と装飾です。

 

 


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