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 11. ネック:ヘッドの装飾と仕上げ

 

 

ヘッドの化粧板はサンディングして表面をなめらかにしておきます。黒檀は番手を落としながらサンディングを続けると塗装しなくともツヤと光沢が出てきます。

 

 

ヘッドの側面はバロックギターではよく見られるカーブで彫り抜かれて装飾されます。このカーブにもいくつかのパターンがありますがたいていは左右対象でさらに片方のカーブも対象な部分を持ちながらアレンジしてあるタイプが多いようです。

 

 

ノミだけを使ってディテールをきれいに仕上げます。黒檀の削りくずはすぐに白い木肌を汚すので彫り終えた部分はテープでマスクしておきます。

 

はい、こんなもんでしょうか。写真を頻繁に撮っていてはぜんぜんはかどらんわい.........。

 

 

あとは装飾するための浅くて長細い溝のフチをノミでならしておきます。ついでにネックとのジョイントを仮組みして確認....。

 

 

当時のバロックギターはイタリアンの場合、白黒のチェック模様で装飾されることが多かったのですが、特注品のなかには赤海亀(タイマイの仲間)の甲良つまりベッコウをふんだんに使った仕様のものもかなり製作されました。ここではそのほんの一部のマネゴトですが、ベッコウ細工の端材を使って装飾してみることにしました。

 

 

このベッコウは東急ハンズで入手したものですが端材とはいえ、かなりの値段です。しかもサイズや厚さはまちまちですから用途に応じて寸法を測り、カットしたうえ、厚さを削って揃えてから使います。今回は細長い長方形ですが、長さが足りませんので2本使って継ぐことにしました。カメさんには申し訳ないけど「カメは死んでも甲羅を残す」ということで後の世まで私のギターにつきあってもらいましょう。

 

 

おおむねの寸法(若干大きめ)でカットして仮に埋め込んでみます。まだベッコウの表面は研磨していませんのでツヤはありません。

 

 

ベッコウはサンドペーパの番手を下げながら、最後は研磨剤で磨くとツヤツヤピカピカになります(ベッコウの研磨作業も詳細な写真がありますが今回は省略します)。
これをそのままヘッドの溝に接着すると裏面が木材なので数年後には曇ってきます。そこで金箔をバックグランドに敷き詰めることでベッコウの色ツヤを半永久に保とうというわけです。

 

 

 

金箔は 10cm x 10cm 程度のサイズで300円ぐらいで購入しました。非常に薄いので指で接着することはできません。静電気であっというまに周辺のものに寄り添います(笑)。金箔は一度付着すると破けやすくなかなか剥がすことができないので熟練が必要ですが、金箔職人に弟子入りしてからではバロックギター完成まで何年かかるかわからないので、ここはなんとか自力でまいりたいと思います。筆とピンセットを使い、緊迫した心境で金箔を接着します(接着剤も帯電するので作業は困難を極めまする.....)。

 

 

なんだかんだいいながらようやく金箔とベッコウ板をヘッドに装着完了.........。これがまた苦労したのです、なかなか思ったように貼れなくて.........。

 

 

あとはネックとこのヘッドを接着すればだいたいネックまわりの作業は一段落します。

 

 

 


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