Concept-8 (FU-TWO Gutiar)
LastUpdateSaturday, 16-Feb-2019 03:39:39 JST 
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- My original concept model -
Made by Makoto Tsuruda in 2019.


2019年2月5日公開:最新更新日Saturday, 16-Feb-2019 03:39:39 JST


 

CRANE コンセプトモデル 2019
 

昔の楽器のコピー/レプリカではなく、鶴田の考案したオリジナルモデル。それが「CRANE Concept Model」シリーズであります。 歴史的な枠から離れ、私の自由な発想で実験的な試みもふんだんに盛り込まれた楽器です。このシリーズは2001年開始で、未来のギターを目指そうというコトでしたな。以来、途中で a,b,c の派生モデルも作りましたが、基本的に同じものはありません。

いつもなら完成写真を掲載して、そのあとに内部や製作過程について説明しているのですが、今回はその逆でいきましょう。つまり製作しながら段階を追って記事を書き、最後に全体像が現れるというワケです。数回に分けて公開・更新する予定です。

というのも、コンセプトシリーズはアイディアスケッチの状態から作り始め、図面はあとから必要な部分だけ描き、途中でどんどん仕様変更するのが特徴なのです。過去モデルもおおむねそうやって作ってきたのです。今回の Concept 8 は7割ぐらいまで作業は進んでおり、あと少しで完成します(2019年2月5日現在)。そう! まだ完成していないので、記事を書いて公開している途中で仕様変更するかもしれません。途中でつじつまが合わずにマズイことになるかもしれません。
ワクワクしますな  ^_^ ;

※ Topページで更新情報をアナウンスします。記事は下へ下へと追加されます。表示が前回と同じ場合はブラウザで再読み込みしてみてください。

 


 

現時点の仕様

まだ変更できる部分は記入せずにおいて決定したら書き換えまする ... 。


弦長:650mm または 610mm
表面板:米杉
裏板:シープレス
側面板:メイプル(バブル杢)
塗装:オイル仕上げ
ヘッド:マホガニー
フレット:T型フレット( 全フレット数未定)
指板:インディアンローズウッド
ロゼッタ:未定
ブリッジ:ハカランダ(変えるかも)
糸巻き:機械式
ナット:未定
サドル:未定
全長:未定 mm
重量:未定 g
 



【その1】



さて、コンセプト8 の製作はじまり、はじまり .... 。
去年(2018年)の夏の終わりごろでしたか、実家の母上から電話があり「ギターを作ってほしい」との指令が下りまして。
ふだん注文は受けない工房CRANEですが、これはいわゆる特例であります。修理の予約がいくつも貯まっていたので、日程と体調を調整して作ることにしました。

それで、どんなギター? モダンなクラシック? 鉄弦アコギ? まさかエレキギター?(だといいな) それとも19世紀ギター?いやいやバロックギターとか? ルネサンスギター? まさかのビウエラ? ロシアン7弦ギター? イングリッシュギター?(作れるけど厄介)、いやいや Concept-7 みたいなものを期待しているのであろうか?
それで、母へ「どんなギター?」と訊ねたら回答がありました!

 

フツーのギター

 

え? いま何て言った? フツーのギター!? う〜〜〜〜ん、フツーのギターね。え〜〜〜と、フツーとは FU-TWO つまり 不二 のことであろう。富士山を2つと無い山ということで不二山と書くごとく、特殊・高尚かつ他には見られないギターということに違いない。なにしろ天才弦楽器製作家の母上であるから、そこいらのヤマハギターのような平凡なフツーを指すわけがない! これは私の製作家人生を賭けた禅問答に違いない。恐るべき母上である。

その後わかったコトは、お世話になっている方からの希望であるという ... 。母上がお世話になっているなら鶴田がお世話になっているのと同じであります。今回は普段にも増して気合いを入れて作らねばなるまい。でも納期はちょっと待ってくれぃ。毎年冬から5月までは繁忙期モード。年間で最も忙しいシーズンに入っているのよ、ホント。

構想を練ること1ヶ月、おおむねの仕様が見えてきました。過去に製作したコンセプトシリーズで得た経験と教訓を元に、実現されなかったアイディアを盛り込むことにします。

まず、素案を描き溜めたメモをまとめて最初にボディのシェイプを決めます。
これが決まればその周囲の構造はおおむね決まってくるのです。弦長だけは 650mm と 610mm の二択としました。途中まではどちらでも可能なように設計します。ボディはホセ・ラミレス I 世 とほぼ同じクラスのサイズで少しアレンジします。木型は少し変更したので最初から作り直しました。

※ 以下、写真クリックで拡大

 


肝心の表面板 / Top の材料は今回米杉を使います。そうです、クレーンの工房では今までスプルース(松の系統)が主体でしたが今回は杉でいきます。
工房のストックから、ほぼ半世紀前の米杉を抜き出し厚みを削って調整したのちカットします。
文字で書くと一行ですが、少しづつ修正を重ねてシェイプを変更しているので作業はこれだけで2週間かかっています。夜中と限られた休日での作業なので、周囲が思っている以上にやたらと日数がかかります。

 

型はいつもの16mm ファルカタ集成材。量産するわけではないのでこれで充分。内型と外型の両方を使って製作します。このあと外型に脚を十個ぐらい接着して高さ調整しておきます。
愛用している 3M社の黄色いマスキングテープ(製作家なら知らない人はいない)を使ってベンディングポイントをマークしておきます。側面板の曲げ作業だけでなくパーフリングを曲げるときにもこれが役にたちます。

 

 

さて、両サイド。過去に何度も左右異なる樹種で作ろうか(#ハカランダとシープレスとかね)と思っていたのですが、今回も悩んだあげく左右メイプルにします(メイプル好きなのよ)。
どうせなら特別なモデルにと考えてバブル杢です。写真を御覧あれ。バブル期に踊らされて買った木材という意味ではなく、泡文様に見えるのですな。少し柔らかめの板目材を使うかわりに内部の補強シームを強靱にする計画です。この材は 2004年に乾燥済みを入手したもので現在では入手が困難。木材も以前と比べるとかなり値上がりしているうえに、杢のよく出た材はめっきり姿を消しつつありますな。

 

以前にも書いていますが工房クレーンでは製材にバンドソーを使いません(バンドソーが無い)。かわりに糸ノコ盤です。コンパクトモデルですが 45cm のフトコロが有り、厚み55mm程度まで切れます(#どれだけ無理して使っているんか!?)。そのかわり糸ノコの替え刃の種類をいくつも揃えてこまめに交換する必要があります。張りの強さもこまめに変えるので、これまた手間暇が余計にかかります。交換がワンタッチ式ではないところがまた泣けます .... 。

カット済みの板のエッジには「キミも替え刃式を買えば〜〜?」なんて独り言を言いながら、ちゃちゃっ!とカンナをかけておきます。
切り取った部分は捨てずに再利用します(#捨てられない人ともいふね)。意識して再利用しないと消費しきれないのであっというまに端材の山ができますな。思えば製作を始めた当初からなるべく捨てないように習慣が付いていて、世間でいう端材というヤツがウチの工房では二次材料になります。小型楽器が多いのでけっこう使えます。

しかしこれがまた作業を遅らせる原因でもあり、使えるサイズと厚みと樹種と木目と色味やらを見て端材の中から探すのですから、手間と時間が余計にかかるのです。カポタストもそうですが、可能な限りギリギリの材を使うことにしています(小さい材は加工が難しく、治具を使わないと危険を伴うので良い子の皆さんはマネしないやうに)。

 

次は型を使ってベンディングアイロンにて側面板を曲げます。ウチの工房では金属板を重ねる治具も金型も使わず湿らせるだけで曲げます。
今回は厚みが約2.5mmぐらいでRもきつくないので比較的らくに曲がる ..... ハズでしたが ...
作業を少しがんばりすぎたせいか腰を悪くしてしまい、2週間ほど療養することになって作業は中断。



一晩で一気に曲げ作業を全て終えようとしたもんだから。トホホ .....
これに懲りて今後はベンディングアイロンは横向きに寝かせて使うことにします(#寄る年波には勝てんね)。


鶴田は昭和の旧式サイボーグですから近年は故障が多くて体の各部がオイル切れ。バッテリーは半日しかもちません。
お昼を過ぎた頃には、はやくもスリープ状態。エコモード運転に切り替えて夕方には這うように帰宅します(帰るというより回収されていく感じ)。

 

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はい、しばらく体を休めました。その間にカメラ修理して試写して現像して .... ストレス発散。体も修理を終えて注油して充電完了。
側面板が左右とも曲げ終わったところから作業を再開しまする。


少し工夫の作業を追加。長さ10cmぐらいの補強板を2枚用意します。
肩部分とお尻部部の片方づつにそれぞれ同じ R で曲げて側面板に重ねて接着します ..... と、ここまで読んで鶴田が何をやろうとしているか解ったアナタはギター製作家の素質アリ。
いったん曲げたところに補強板を貼るのでカーブが少しゆるんでゆがみます。そこで、スプレーを使って湿気を与えて型に圧入しておけば翌日には元どおりフィットしています。加熱する必要もありません。樹種や厚みにもよりますが今回のような材料であれば、多少ならこの方法でボディシェイプを修正できます。

 

 

つづきは「その2」にて掲載予定です。

 

どんなのができるんでしょうねぇ?

で♪ きるかな♪ で♪ きるかな♪ はてはてふふ〜〜ん♪

 

 

2019年2月5日公開 / 最新更新日:2019年2月5日
by Makoto Tsuruta, TOKYO JAPAN.

 


その2

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