Concept-4 (banbina)
LastUpdateMonday, 29-Dec-2014 04:23:03 JST 
(C) 2005,2006 Makoto Tsuruta /
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- My original concept model -
Made by Makoto Tsuruta in 2005,2006.


 

【写真】

PIC 001 : バックは御覧のとおり
PIC 002 : 側面を見ればナットク?


 

CRANE コンセプトモデル2005 ( 4c は2006年に手直しして完成)

毎年へんてこなコンセプトを真剣にとりくむシリーズです。ヒストリカルコピーではなく私のオリジナルモデルのシリーズ。 2005年の「Concept-4」はバンビーナ。これもまた小型楽器という意味では Concept-1 〜 Concept-3 に通じるところがあります。そもそも小型の楽器というのは昔からあるのですが19世紀のギターではバンビーナ(オクターブの弦長のギター)が知られています。

 

19世紀当時のバンビーナギター:ロンドンの竹内太郎氏の所有する楽器です。フルサイズのギターと並べてあります。(写真掲載許諾済)

このバンビーナ・ギターには1874年のラベル、プラッテン夫人のサインあり。弦長335mm、全長535mm、ボディ長240mm、ボディ深さ37〜44mm、ネック幅:ナット42mm、12フレット位置50mm、ブリッジ上の弦幅50mm となっています。フルサイズ・フレンチギターのほうもマダム・プラッテンのサイン入りで1865年製作の楽器。おそらく両方ともランドルフ製。

 

で、......... 今回のコンセプトは「人の弾けるギターはどこまで小さくできるか?」に挑戦して実証するという試みです。結論からいえば弦長は280mmが限界。それも手の大きさなどの個人差があるので現実的には弦長300mm〜320mmが大人の弾ける楽器としては限界と考えて良いでしょう。現存する小型のマンドリーノやウクレレなどからしても妥当な結論と考えられます。お子様が弾くのであれば280mm程度でもなんとかなるかなぁ? といったカンジ。上記のバンビーノが335mmというのもナットク。

製作したのはひとまず3種類でそれぞれ少しづつ仕様が異なり、a,b,c の名称を付けました。じつはこれらの楽器は2002年から作り始めたもので完成まで3年かかっているんです。2006年12月現在、この記事を書いていますが、じつはまだ作りかけのものが2本あります。なぜそんなに時間がかかったのかって? いろいろ理由はありますが、糸巻きにコダワッタこと、表面板に工夫を凝らしたこと、気が向いたときしか手をつかなかったこと、などが挙げられます。まぁ、いつかまた残りの楽器も御紹介しましょう。ひとまず完成した3本を解説します。

 

CRANE Concept-4a :6単弦ギター 黒檀表面板 メイプルボディ オリジナルデザインペグ 弦長280mm

CRANE Concept-4b :ハープウクレレ スプルース表面板 メイプルボディ 番外弦付き 弦長250mm

CRANE Concept-4c :6単弦ギター スプルース表面板 メイプルボディ オリジナルデザインペグ 弦長230mm

 


CRANE Concept-4a

 

●CRANE Concept-4a:2002〜2005年

写真1 写真2 写真3 写真4 写真5 写真6 写真7 写真8 写真9 

弦長280mm A=440Hz 総テンション約16.2 kg  平均テンション約2.7 kg

1弦(b1):ナイロン(銀輪Z) 0.66mm 2.9kg
2弦(f#1):フロロカーボン 0.66mm 2.7kg
3弦(d1):フロロカーボン  0.84mm 2.7 kg
4弦(a):プロアルテ・ライトテンション 4弦 VN5136 2.9 kg
5弦(e):プロアルテ・ライトテンション 5弦 VN5165 2.4 kg
6弦(b):プロアルテ・ライトテンション 6弦 VN5230 2.6 kg

6単弦ギター 黒檀表面板 メイプルボディ オリジナルデザインペグ 弦長280mm 調弦はギターの7カポに相当します。弦を交換してテンションを計算尺などで算出すれば一般的なギターのオクターブでも張ることができます。これぐらいのサイズだとウクレレ奏者や普段小型楽器を 弾く方ならなんとかいけます。なかなか良く鳴ります。展示会でも器用に弾く人がけっこういました。表面板は約1mm厚の本黒檀でブックマッチしない1ピース、ブリッジはシャムガキ、マウスターシェも黒檀薄板、ボディはトラのメイプルでバックにアーチを作ってあります(裏バーのフィットによる)。フレットは真鍮のバータイプ、指板も黒檀、象牙ナット。ペグはツゲ製で私のオリジナルデザインですが染めにこだわっておりオマケに貝ボタン付きです。ヘッドプレートは黒檀ですが横目。塗装は全体をオイル仕上げ。エンドピンとヘッドの穴にストラップを結わえます。ちなみに仕事仲間のお嬢さんに進呈(譲渡済み)。

 

 


CRANE Concept-4b

 

●CRANE Concept-4b:2002〜2005年

写真1 写真2 写真3 写真4 写真5 写真6 写真7 

弦長250mm A=440Hz 

1弦(b1):ナイロン(銀輪Z) 0.74mm
2弦(f#1):フロロカーボン 0.81mm
3弦(d1):フロロカーボン  0.84mm
4弦(a):オーガスチン青 4弦
5弦(e/g/d):オーガスチン青 4弦

さすがにこれは弾くのはタイヘン、というより大人にはまず弾けないと思っていいでしょう。ウクレレのコードでストロークだけならなんとかなるかな? メイプルボディ、スネイクウッドのブリッジ、象牙ナット、黒檀指板、真鍮バーフレット、ツゲのペグは濃茶色の染め、ハーフビンディング、ロープロゼッタ。ちなみにこの楽器は音楽仲間でプライベートな付き合いの御家族のお嬢さんに進呈(譲渡済み)。




CRANE Concept-4c

 

●CRANE Concept-4c:2002〜2006年

写真1 写真2 写真3 写真4 写真5 

弦長230mm A=440Hz 

1弦(d3):ナイロン(銀輪Z) 0.66mm
2弦(a2):ナイロン(銀輪Z) 0.78mm
3弦(f2):フロロカーボン  0.80mm
4弦(c2):プロアルテ・ライトテンション 4弦
5弦(g1):プロアルテ・ライトテンション 5弦
6弦(d1):プロアルテ・ライトテンション 6弦

弦長230mm。6単弦のギターにおいて演奏を前提にして製作したものとしては世界最小クラスでしょう。弾くのは極めて困難.... 4弦ならなんとかなりそうですが6弦はさすがにキツイ。スネイクウッドのブリッジ、黒檀指板、真鍮バーフレット、象牙ナット、菱形M.O.Pのロゼッタ、横目の黒檀ヘッドプレート、指板高域はフロートさせてます。ツゲのペグは私のオリジナルデザインで白黒のパンダ染めに貝ボタン付き、Concept-4aと4cはヘッドの中央の糸巻きだけシャフトを長くしてあります(操作しやすいように)。市販のクラシカルギターのセット弦をそのまま張ることも可能です。この楽器は譲渡せず無謀な挑戦の記念にずっとウチの工房に飾っておきます。教訓というべきでしょうか(笑)。

 

 


by Makoto Tsuruta, TOKYO JAPAN.

 

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