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Style-F

 


さて、鶴田の製作するStyle-F(仮称)の作業工程をおおまかに御覧いただこうというわけで、てっとりばやくまとめてみました。F とはつまりファブリカトーレをモチーフとした19世紀ギターの意であります。今回製作するFabricatore はイタリア(ナポリ)の弦楽器製作一族として知られています。とりわけ1700年代末期から1800年代中期にかけて活躍したジョバンニとジェンナロFabricatore一族はギターの歴史を語るうえでは欠かせない世界的にも重要な製作家であります。

まずは木型の製作風景です。

 

 

 

私が製作したのは初期のフォルムですが、むしろ当時のイタリアンの一般的なボディラインに魅力を感じたからでありまして、オシリが大きく、なで肩で、スラリとしたフォルムは独特の雰囲気があります。但し、のちにこれと同じボディ形状はウイーンを中心としたヨーロッパ各地にも広まることになるため、現存するすべてのこのフォルムのギターがイタリアで製作されたとは限りません。そのへんの事情も本編にて....。この写真の左側がStyle-Fで、右側がウイーンスタイル(シュタウファーとかね)の木型です。比較するとワカリヤスイ....かな?
た、たぶん、一部の皆さんにはギターのフォルムの形状の区別がつかないという話しもありますが.....わかりますよね?(笑)。

 

 

 

 

 

 

今回のStyle-Fの裏板は彫り出しによるものです。「削り出し」とは区別したほうが良いという話しもあります(^_^)。こういった彫り出しによるアーチを持つギターはイタリアンやウインナーやドイツやフレンチなど各地に見られ、19世紀においては特別珍しいものではなかったようです(まあ、鶴田が調べた範囲内ですが)。ただ、多くの場合はなだらかなアーチのためにバーの反りによるアーチと彫り出しによるものとの区別がつきづらいのが普通です(ラプレヴォットにおいては、かなり深い彫りのヴァイオリンのような裏板を持つギターも製作されましたが)。

 

 

約8mm〜10mm程度のメイプル(一般には杢の鮮明なものが多い)材から彫ったものが多いようですが今回は8mmの材を準備しました。たいていははぎあわせでなく一枚板であることが多いのですが今回はブックマッチとして使用します。丸ノミを使って......あ、ついつい解説が長くなってしまいますね......以下、簡単に解説します。
(わたしゃ、ついつい話し込んじゃう年寄りタイプかもしれん)

 

 

アーチは深いものや浅いモノも当時見られましたが今回はだいぶ浅く彫ります。これを御覧になると「この程度なら最初から平たい裏板をバーで反らせるだけでいいじゃん」と思われるでしょうけれど、現実にやってみるとゼンゼン違います...なぜなら.......あ、長くなるのでこのへんで(どうも書きたくなっていかんねぇ...笑)。

 

 

バーはもちろん接着しますがアーチに対してさらに若干の反りを加えるようにします。これがミソ。側面板は先に作っておきましたが今回は長くなるので写真は省略。

 

 

はい、この楽器では裏板には3本のバーを備えます。バー自体の形状や厚さにも時代や製作家によって特色や傾向はあります(ちなみに裏板にバーをまったく持たない19世紀ギターも存在しました)。

 

 

 

ボデイは木型で上下のブロック(厳密にいえばネック側のブロックは今回参考にしたギターと同形状ではない)とともに組み立てておき、ここに裏板を接着します。

 

 

私はこういった木型にクランプをかけた写真が大好きです。いかにも「ギター作ってまっせぇ〜〜」という雰囲気がにじみ出ています。あぁ〜〜〜〜〜楽しいぃぃぃぃぃ....。

 

 

ネックにも問題となる箇所が山ほどあります。材料は何にするか、ヘッドの形状や厚さはどれくらいか、ヘッドとネックのジョイント方式はどうか、ヒールの木材はどうか、ヒールの形状やボディとのジョイント方式はどうか、ツキ板を採用するかどうか、ヒール側とヘッド側のネックの断面形状はどうか.....などなど....こういったところで私はひたすら悩んだりなんかして....それでスローハンドというか製作の進行が遅くなるわけであります.....。しかしまあ幸いなことに今まで修理した楽器や調査した資料がけっこう蓄積されてきましたし、お手本となるギターも今回は手元にありましたので比較的スムーズに作業が進みます.......。

 

 

ヘッドの形状やツキ板の材料や厚さもチェックしながらの作業です(ファブリカトーレの初期型ではツキ板を持たないものも多い。2世では1mm厚ほか....)。この写真は製作途中のイタリアン(Style-F) とLacoteスタイルのヘッドですが区別がつきますか?

 

 

時代や地域によってヒールはネックと一体になって削りだしたものや、さきの写真のように積層(2層〜)したもの、あるいはバロックギターのようなカットピースによるものなどがあります。

 

ネックとヒールの境界部分とをなだらかに削り出すか、あるいはこのように輪郭を明確に削り出すかといった傾向の違いも検証しながら作業を進めます......。

 

 

ジョイント部分はいつも苦労します。ピッタリかみ合うようにノミで削って合わせます.....けっこう時間がかかります。ピッタリ合わせるコツは........本編にて....?

 

 

ファブリカトーレ(イタリアン)においてはマンドリンなどに見られるヘッドジョイント方式が多く見られますがイタリアンギターとしてとらえるならばこれもまた時代や地域によってはこの写真のように凹凸形状で台形のほぞによる方式もあるのです。フレンチなどでは一般的にはナットの位置で直角の木口同志になるようジョイントしますが、今回はこのような傾斜させて接着面をかせぐ方式を採用しています。イタリアン(ファブリカトーレ)スタイルのギターであってもウイーンやドイツで作られたもの(コピーも含めて)のなかには直角の凹凸ジョイントを持つものが多くあります。鶴田が思うには.......あ、長くなるのでこれも本編へ.....(このページがプレビュー版であることをすでに忘れている私)。このへんはわかりやすく解説するには図が必要ですね、本編では図説を検討します。

 

 

 

ロゼッタはシンプルな白黒のコンビです。削りカスがウケます(笑)。

 

 

さあ、本邦初公開!? バーの太さと木目の使い方と配置、そして指板高音域の裏側の構造です。ちなみにファブリカトーレは現存するギターのこの部分の構造はやはりいくつか方式の異なるものがあるようです。補強(もしくはハーモニックプレート)のためのスプルース板の付いていないギターもあります。

 

ニカワを使って表面板をボディと合体させます。もぉ〜〜〜! このクランプの付きまくった写真がたまらんっ!(笑)

 

 

ネックの仕込み角度ですが、表面板とネック指板面を長尺をあてて平たくなるようにすれば話は簡単で作業もらくです。しかし........。

 

はい、そういうわけで現在はビンディング&パーフリングの行程にさしかかっています......。

 

 

【続く】

 


はい続きです。写真のみを掲載し、コメントは省略します。

 

 

というわけで完成にこぎつけ、あとは弦を選び、弦高やペグの調整をおこなうわけです。

 


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