- Martin O MODEL ,Guitar made -
By Makoto Tsuruta
● 楽器について
マーチンの O (シングル・オー)をコピーし、独自のアレンジによって製作されたギターです。エキストラ・ライト・ゲージで非常に良く鳴ります。2002年秋に完成し同年11月の名古屋のアコギのフェア会場に展示していた楽器です。フェア期間中にゲストとして来日していたTim Sparks氏が試奏して絶賛(ホントですよ)。のちにアメリカの「ACOUSTIC GUITAR」誌において彼はこの楽器について次のように記しています。
「I played his copy of a Martin O model and was surprised to find it the loudest guitar in the entire show! 」 by Tim Sparks.
● マテリアルとアーキテクチャ
このギターは弱い弦の張りで必要最小限の力で豊かに鳴らすべく製作されました。この楽器の製作にあたって1800年代後期〜20世紀初期の楽器を徹底分析し、ブレイスパターンを独自にアレンジ、ハーモニックプレートを付加するなど、独自の理論が採用されています。加えて、組み立てる過程で適度なテンションをボディにかけたり、ニカワでの接着、真鍮バーフレット装着など、細部までこだわり、実験的な要素も多く取り入れてあります。
側面と裏板はジリコテを使っており、共振点の勾配をつけるために硬さ・重量のバランス構成上の理由から対称なブックマッチの木取りをしていません。側面板内部の割れ止めのシームも高音側と低音側とでは素材の異なったものを使っています。ちなみにボディは19世紀のマーチン工場で実際に使用されていたモールドを使って組みました(1枚目の写真参照:モールドは非売品)。 塗装は全体が硬質セラックで、とくに表面板は必要最低限の極薄の塗装膜を形成しています。
また、弦の選択は弦楽器の鳴りと弾きやすさを決定づける重要な要素であり、この楽器は6本すべてに指定があります(エキストラ・ライト・ゲージが基本:ボディ内部にラベル貼付)。ボディや糸巻きのコンディションを維持するために弦指定は必ず守る必要があります。
● おもな仕様
表面板:ジャーマン・スプルース
ボディ(裏・側面):ジリコテ
塗装:オール・セラック(極薄)
ネック:マホガニー、ボリュートレス
指板:本黒檀
フレット:真鍮・バータイプ
ブリッジ:本黒檀・ピラミッドタイプ
ヘッドプレート:本黒檀・オイル仕上げ
サドル:獣骨
ナット: 象牙、ヴィンテージ・アングル
糸巻き(ペグ):ウエィバリー・ヴィンテージ、黒檀ツマミ
ロゼッタ:貝のインレイによる
ビンディング:ハーフ・ビンディング(表)、本黒檀シングルライン(裏)
ジョイント:12フレット