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CRANE 案内板 |
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● 19世紀ギターアルバム (音楽CD)紹介
近年、ちょっと専門的な音楽CDであっても、アマゾンや楽天、あるいはオークションなどで手軽にお買い物ができるようになりましたね。ウチのクレーンホームページで19世紀ギターのコーナーを作った頃(1998年)には、まだガット(羊腸)弦を使った録音は皆無に等しく、マトモなCDは少なかったのです。ごく限られたアルバムしか御紹介できなかったのですが、それは昔の話。
その後、またたく間にインターネットをとりまく環境が変わり、今ではプロ/アマチュアを問わず音源があふれかえっています。録音機材なんか無くてもサーバの知識が無くても、スマホで録音/録画して、ハイ完成。その場ですぐにネットに乗っけて誰でも国際デビュー! 便利な世の中ですな。むしろ逆の意味で探すのがタイヘン。検索をかけるとグーグルのビジネス戦略優先のゴミの山がリストアップされて、優れたアルバムやサイトを覆い尽くします。ほんのちょっとでもキーワードに引っかかるとGoogleアドワースの広告だらけのブログがわんさかヒットします。探してるのは、そんなんじゃないんだけどなぁ.... 探しているソースに辿り着くのに一苦労。どうしてこんなことになっちゃったのよ?
しかし、こんなややこしい世の中でも、ちゃんとこまめに工夫してホンモノを探している人もいるんです.....
以前、ロブ・マキロップさんのソル作品集やアーリーギターのアーティクルを紹介してくださったSさんから、 今回も貴重な情報をお寄せいただきました。
● ガブリエ ル・シェボールさん
ガブリエ ル・シェボール(Gabriel Schebor)
バロックギターやヴィウエラ、そして19世紀ギターの演奏。ヨーロッパ以外にも着目したアルバムとして El Amor, las penas y las sombras が掲載されているほか、ラテンアメリカの 興味深い楽曲を多く演奏・収録したCD La guitarra romantica y revolucionaria に御注目。 そのページで3曲の試聴ができますが、オムニバス風のCD紹介映像も用意されています。録音にはボネル/Bonnel(1820年頃)のギターにガット(羊腸)弦を張っているとのことです。決して日本の音楽雑誌やギター専門誌には掲載されないであろうアルバムですが、好きな人にはたまらない作品といえるでしょう。
La guitarra romantica y revolucionaria
● パヴェル・シュタイドルさん
パヴェル・シュタイドル(Pavel Steidl)
チェコ出身のギタリスト。いつぞやの来日公演が記憶に焼き付いている方も多いでしょう。名盤といわれる「レニャーニ:ファンタジア Op. 19と36のカプリース Op. 20」はナクソス(NAXOS)から出ています(以下のサイトで試聴できます)。アマゾンやヤフーオークションなどでも広く入手できます。私の楽器仲間のクレッセさんが作ったシュタウファー・レニャーニ・モデルで録音されています。
LEGNANI: Fantasia, Op. 19 / 36 Caprices, Op. 20
レニャーニモデルの19世紀ギターというのはシュタウファーの専売特許ではなく、19世紀当時の多くのギター製作家が製作しています。当時の名手であったレニャーニにあやかって、その名を冠したモデル.... まぁ、現代でもよくあることですが、「新しい時代」を感じさせるデザインとして、当時のギター愛好家たちを熱狂させたのです。うちの工房CRANEにもいくつかあったのですが、今ではレニャーニの名前が付けられたギターとしては小型のものが1本になってしまいました(いずれ紹介しましょうかね)。
おっと、話がそれつつあるので、元に戻して..... そのシュタイドルさんのレアなCDが「Paganini/パガニーニ作品集」と「J.K. Mertz/メルツ作品集」。
これらは1830年頃に製作されたニコラウス・G・リースで録音されているとか。ところが、Sさんいわく、この2つは世界中のアマゾンを探しても「入荷見込が立っていない」状態なのだそうです。シュタイドルさんもエライけど、世界中のAmazonを探すSさんもエライ。そしたら、灯台下暗し!? シュタイドルさん自身のホームページで販売しているのです。
http://www.pavelsteidl.com/store.html
但し、注意が必要です。オフィシャルサイトといっても、日本の「楽天」みたいにクリックして3日後に届くようなガツガツした販売サイトではありません。あくまで個人のサイトですからメールでやりとりして購入意志を伝え、支払い方法を相談し、送金するという手順を「のんびり」進めることになります(販売担当はおそらくシュタイドルさんの奥様らしい)。心のゆとりと誠実なビジネス態度でもって御利用ください。
海外のお店や個人作家・演奏家から買い物をする機会が、私自身、とても増えました。かれこれ30カ国ぐらいのおつきあいがあったと思います。でも残念なことに、稀にですが「日本人にだけは売らない」なんていうショップもあったりするのです。おそらく過去にヒドイ態度の日本人がいたのでしょう。もちろん国籍ではなく個人の問題ではあるのですが、お店からみると「お国柄」と見られてしまうこともありますからね... 。
手っ取り早く買い物をするにはAmazonも便利ですが、演奏している立場で考えると、かなり高額の手数料を差し引かれるわけですから、直販したいのが真情ですな。私も自分で録音したCDはアマゾンや大規模CD店に出していましたが、結局はすべて引きあげて直販しています。根気良く「お宝」を世界中から探して、交渉して支払いができるなら、じかに奏者から買うにこしたことはないでしょう。CDや楽器に限らないことですが、地球規模で作家とじかにコミュニケーションをとれるというのは、21世紀らしくてスバラシイことですね。恵まれた世の中になったものです... 。