かのギター月刊誌の97年6月号でも紹介されていますが、ルネ・ラコートの「ヘプタコルド」は1850年ごろに製作され、現在では世界に2本程度しか現存しないらしいです。この楽器は加納木魂(かのうこだま)氏によって製作されたヘプタコルドのコピーモデルです。今回はその試奏の機会を得ましたので紹介しましょう。
オリジナル(デュブルグ作)は某個人が所有しておられるようですが、6弦モデルも存在し、それは都内楽器店にて私も実物を見たことがあります。ボディが独特のカーブを持っています。
● 各部の資料写真
この楽器を触れた第一印象はやや張りが強いということです。音色自体は全体的にはまろやかというかやわらかい感じで、ギラついてはいません。
ネックが予想以上に重たく、3弦は箱鳴りしないのですが1弦、2弦はソフトな印象です。 倍音の効果もあってか?音量はやや大きめに感じました。指板の幅はやや狭いようですが通常の多弦ギターと異なり6弦〜7弦の間隔が広いので慣れないと多少弾きづらいです。逆に言えば普通に演奏していて曲の「ここぞ」という場所で7弦にガバツと右手親指を延ばすという感じでしょうか.....。
ちなみに、このときの弦は低音側がオーガスティンの赤、高音側がオーガスティンのリーガルでした。
ネックとボディはドイツ式でジョイントされており、ブロックは厚みの薄いものをラウンドさせてありました。高音フレット(12フレット〜24フレット)部分は裏側を2本の角材で指板のカットに沿って「逆ハ」の字に接着してあります(オリジナルも指板を表面板から浮かしてはいないようです)。
内蔵式糸巻きはラコートの上級モデルに使用されていたようですが、このコピーモデルでも忠実に再現され、なめらかで使いやすかったです。
全体的に上質のメープル材をふんだんに使用してあり、裏から見るとギブソンレスポールのヴィンテージスペシャルかと思うほどです。
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(C) 1997 CRANE Home Page / Photo by Tsuruta Makoto