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弦楽器製作には必要なものだからと、もっともらしい理由をつけて、アンティーク趣味を加速させては自己満足に浸り、蒐集の煩悩に溺れ、カタチがどうの、色がこうのと、悩んでは浪費を繰り返す.... それがCRANEの私的素敵頁(してきすてきぺい)のコーナー。
今年の夏も静かに熱くナイス・ペイっ!
● 今日の私的素敵PAYは「メガネ」です。
毎回好評?のこのコーナー。人知れず記事を書いて、自己満足に浸っていると思っていたら、結構、いろんな人達から反応があるので驚いています。
物作りにおいて目は命 ... なんて、よく言いますね。たしかにそうなんですが、私みたいにフツーに歳をとって老眼が進んで苦労しているのに、世の中には、まるで視力は無関係なようにフツーに良い仕事をする人達もいます。う〜〜ん、いくつも例はありますが、たとえば「キャビノチェ」..... つまり独立時計師です。私みたいに個人の弦楽器製作家と同じく、世界中には個人の「時計製作家」が存在するんですよ。彼等は老眼が進むと不自由しないのかな? 今までず〜〜〜っと不思議でした。でも、よくよく考えてみたら、彼等の扱うブツは基本的にその時計サイズとなるので、腕時計であれば直径3cmと考えると、さらに小さい部品のギアの構造なので、最初っからよく見えない物体を相手に、ほぼルーペ常用でシゴトしてるわけなんですよね。おそらく、老眼が進んでも、そのルーペ(キズ見ともいふ)の倍率を変えたりしながら作業できてしまうのでしょう。スゴイことです。
え? ギターはどうなのかって? インレイ装飾やナット溝のような細かい作業から、フレットのレベリングやボディジョイントまで、距離間隔が広く、メガネ1個ではすまなくなってきました。情けないことに、いろんなメガネをとっかえひっかえして作業しているのが、近年のワタクシです。弦楽器製作だけでなく、カポタストを作るにも同様で、品質を下げないために(むしろ向上させるために)、こまめにメガネを交換しながら製作しています(時計用のルーペも時々使う)。総じて「寄る年波には勝てぬ。」ともいいます(笑)。
以前にもどこかで書いたかもしれませんが、そもそも、私は非常に目は良かったのです。幼少期から二十歳ぐらいまでは、視力 2.0 以上で、遠くも近くもクリアに見えてました。アフリカの原住民は視力が5.0以上とも、6.0以上とも言われていますが、義務教育課程を鹿児島県川内市トゥアレグ村の田舎で過ごした私には、感覚的には「遠くても見えないものはない」という感覚でした。小学生の頃、平地で1km先の人物の顔が当然のように判別できたものです(遠い目)。
しかし.... 月日は流れて数十年。コンピュータとのつきあいが増すにつれ、確実に近視が進行。そのたびに眼鏡を調達しました。今では視力 0.1 ぐらいでしょうか。
現在では昼の職場において、20m先で誰かが挨拶してきたり、手を振ってくると、「ひとまず、ニッコリ笑顔で会釈する」という定型挙動にて、その場を凌ぐのです。情けない話です。もちろん、相手が誰なのか、私にはまったく見えていません(笑)。いいんです、とにかく無愛想なヤツだと思われないようにテキトーに振る舞っています。
いいんです、いいんです、天才製作家はそれでいいんです。あはははははは......
それでも、最近は、日頃からメガネをかけていれば、そういった苦し紛れのお芝居も楽になるかと思い、真剣に眼鏡を使うようになったのです。近視用だけでなく、最近は遠近両用メガネも使っています。そんなわけで、今回は眼鏡(英語ではSPECTACLES または eyeglasses)を記事にしてみました。今回は前置きが長いねぇ.... (^_^;)
さて、以下の写真をとくと御覧ください。どうです? いいでしょ?
たかが眼鏡なんですけど。
今回も、老眼同盟のアナタのために拡大写真を用意してありますよ。フフフフフフ........
● ウインザー・スタイル(Windsor style)
フレーム(リム)が細い金属でできており、レンズは円形(まんまる)や楕円が基本です。やたら細くてゆるやかに曲がったつる(テンプル)。そして特徴的なのが、パッドの無い鼻あて(ブリッジ)です。カッコイイですなぁ。現時点で7本所有してます。他にも部品取り(修理)用に数本。
鼻にちょこんと乗っける感じ... 。2つのレンズを固定しているブリッジが、山なりの形状であることから、日本では一山(いちやま)スタイルとも呼ばれています。
ウインザー・スタイルのメガネは、広告最優先の素晴らしい検索サイト「グーグル」で検索すると、「1880年頃に発明され、1921年に鼻あて(パッド)が開発されるまで国際的に人気を博しました。」などと表示され、実際、多くのメガネ関連のホームページにもそのように記述されています。しかし、私が個人的に調べたところ、それらのほとんどはアメリカンオプティカル社のホームページから国際的規模でコピペされたもののようです。実際には17世紀にはブリッジとテンプルを持つメガネの原形がJames Ayscough(1752年)の広告に掲載されており、湾曲したテンプルもロンドン万国博覧会 (1851年)に発表されたとされ、1866年頃までR&J Beck社のカタログに掲載されている事実などを考えると、19世紀初期にはすでにウインザー・スタイルのメガネは存在したと私は考えています。
ただ、「ウインザー・スタイル」の定義が明確でないため、ネット(Web)上の早いもん勝ちの理論で、アメリカンオプティカル社がサイトに掲載後は、多くの人々がそれにコピペで追従するようになったのでしょう。
しかも不思議なことに、私が数年前(2007年頃)に世界中のサイトに検索をかけた際には、ウインザー・スタイルのメガネの歴史や現存品、修復品の解説サイトが数多く見られましたが、最近(2013年7月現在)検索してみると、そのほとんどが検索結果には表れず、代わりに楽天や量販のメガネ店がヒットします。つまりGoogleに広告料を払った者が検索結果の上位に現れることになっているので、いまや学術系サイトや歴史解説・研究のサイトを見つけるのは難しいのです。困ったものです。皆さんも、くれぐれも注意しましょう。
目的の情報を見つけるための検索方法が、年々難しくなってきているのを感じます。むしろ安易に検索した結果は、作為的なものであり、ビジネス的なものですから、検索結果の後ろのほうから優先して閲覧しましょう(笑)。
あぁ、話が逸れてしまった。軌道修正。
ウインザー・スタイルのメガネは、19世紀以降も根強いファンが世界中で愛用し、現在でもこのスタイルで製造されてはいます。ただ、メガネ業界全体からみると、現代では少数派でしょうか。 個人的には「ウインザースタイルのメガネ」といえば、小さめの楕円レンズが好みです。ビートルズのジョン・レノンや文豪のアーネスト・ヘミングウェイなどが引き合いに出されますが、私に言わせれば、むしろ彼等にとって当時はこのスタイルが一般的であったのです。選択肢として、ごく一般的。彼等は特別に狙ってこのタイプを購入したわけでもないように思います。事実、鶴田が調べたところ、レノンもヘミングウェイも、のちに鼻パッドのメガネが多数派として普及する時期になると、そちらのほうを多用しているのですから。むしろ、ジャン・レノ(ドラえもんですな)は、鼻パッドの無いウインザーメガネをかけていることが多いことに気が付きます。
1921年に発明されたという鼻パッド式のメガネは、鼻あてでメガネを支持してリッジ(アーム)をレンズの上方へ移動したために、両目の視界が良くなった、とする見解もあります。いくつかのホームページに同じ記述が見られます(これらもたぶんコピペでしょうけど)。しかし、私はウインザー・スタイルのメガネを実際にかけていて、ブリッジを邪魔に思ったことは一度もありません ... 。
ネット上の通論など鶴田には通用しません。私に言わせれば、鼻あてなど無くても、こちらのウインザースタイルのほうが、簡潔で繊細なデザインだと確信しています。
● モダンなメガネとの違い
以下の写真は、私が15年ぐらい前?(1990年代終わり頃?)に作ったメガネ。20世紀末期の現代版ウインザーとも言えますが、よく見ると、かなりモダンなデザインです。鼻パッドも無く、細いフレームで、レンズがやや細長いこと以外は、19世紀のウインザー・スタイルと同じに見えるかもしれません。しかし、厳密に言えば両者は全く別物です。
全体構造の写真
楽器であろうが、メガネであろうが、モノ作り/デザインをする人種、あるいはプロダクトデザインの世界では、機能のための形状や寸法というのは非常に重要です。
次の写真は19世紀とモダンなウインザー眼鏡を並べて撮影したものです。違いは?といえば.....
・全体の幅(現代人は体格が良く、顔もデカイ)※青矢印
・つる(テンプル)が外に丸くふくらんでいるか、直線的か、の違い。
・両目のレンズが顔の丸みに沿うか、直線的であるか、の違い。※緑線
・各部の素材の太さの違い
・ブリッジ位置の違い(鼻が低いとまつげがレンズにアタリます):※赤矢印
・つる(テンプル)とレンズをつなぐ「よろいとも(智)」つまり蝶板/ヒンジ部分の違い:ネジの種類(+ -)も異なる
とくに全体のサイズとブリッジ位置の違い。これは致命的です。たとえば、これから19世紀ウインザー眼鏡を入手したい、使ってみたいという方にとっては要注意です。とくに日本人は鼻が低いので、ブリッジとレンズが離れていないと、まばたきすらできないのです。実際、私も古い時代のウインザー眼鏡を10個ぐらい買って、実際に使える形状(寸法)のものは1つか2つ程度でした。7つ揃えるにはいくつ買えば良いのか?
とにかく、ブリッジが低いものが多い。あとは、幅が狭い、つる(テンプル)が短い、といったものばかりです。ひょっとして日本人に合うウインザースタイル(一山)の眼鏡は存在しないのではないか、と思うほど、どれもこれも昔のものは寸法が合わないのです。まつげを短くカットすればいいかな?
それでどうしたかって?
寸法を自分に合わせます。
眼鏡のフレームを矯正するツールが手に入るので、いくつか購入。先端部分の形状が異なるペンチというかプライヤーというか、業界的にいえば「ヤットコ」ですね。これらを使って、ブリッジやテンプルを自分に合わせて曲げるのです。ワイヤーのテンプルは丸棒を使って調整します。しかし、こういった器具よりも、最後は「指」で曲げたほうがうまくいきます、経験的に。但し、経年による劣化や過去に修正された金属疲労などを抱えている個体もあり、少し曲げようとしただけで折れてしまうことがあります(激しく経験者談)。イザというときのために、メガネ産地として知られる福井県に、メガネ修理の専門店が多く存在するということなども覚えておきましょう。
● 手で持たないことはアリガタイ
「眼鏡」の起源はアラビアの数学者/物理学者/天文学者でもあったアルハーゼン(956年頃−1038年)といわれています。しかし当初の眼鏡は高級品でした。民間に普及するという意味で製造されはじめたのは、少なくとも14世紀頃からでしょうか。
たいていは2つのレンズを手で持つか、棒で支える構造でした。ちなみに、日本にはフランシスコ・ザビエルが1551年に来日して、大内義隆にプレゼントしたメガネ、あるいは足利義晴(1511年 - 1550年)が所有した眼鏡が、日本最古とされています。また、2つのレンズを固定した両脇にヒモをとおして両耳に結わえようというしくみを1730年頃にエドワード・スカーレット(Edward Scarlett)が考案し、製作・販売しています。意外に思われるかもしれませんが、17-18世紀頃にはすでにメガネは一般に普及しつつあったのです(特別高価なものではなくなっていた)。
鼻で支えてテンプルで耳に掛ける様式で、ウインザースタイルの原形、と呼べそうなモデルが登場したのは、冒頭で記したようにおおむね1800年頃と思われます。今になってみれば「手で持たなくてもいい」という構造は、当時、画期的な事だったのでしょう。
湾曲して耳にかける以外の構造も19世紀以前から多く見られます。例えば、
・折りたためる(フォールディング式)テンプル:ホールマークから1821(1822)年ロンドン製
・ストレートアーム:ニッケル製
・伸縮できるテンプル:真鍮/ブラス製
鼻に置いて耳で支えるというスタイル以外にも、テンプルの無い鼻あて無しで鼻に挟む「パンスヌ」スタイルなどが、旧くから長期にわたり親しまれていました(パンスヌスタイルは吉田茂も愛用)。世の中が忙しくなるにつれ、曲がったテンプルが落下の防止と姿勢安定に、大いに役立つようになっていったと想像できます。細いワイヤーのテンプルをもつ19世紀ウインザーメガネが、たくさん残っており、その状態から察すると、所有者が自分に合わせて、ある程度曲げて使っていたようです。換言するならば、ウインザー・スタイルは歴史的に見て、ひとつの「メガネの完成型」と私はとらえているのです。産業革命やその背景に伴い、化学や工業技術が確立されていった同時代の6単弦ギターの歴史と重なるものを感じます(←ちょっと強引)。
● ウインザーメガネを納めるケース
当時は眼鏡の形状がスマートで小振りであったので、当時物であればケースも当然コンパクトです。対して、現代のモダンな眼鏡は立体的にできているので、どうしてもケースは大きくなります。「メガネが鼻あて(パッド)を持つようになってから、メガネケースは巨大化した」というのが鶴田の持論です。
次の写真を御覧ください。左の4つは1940年以前のもので、どれも厚みは17mm程度です。右端のデッカイ緑色のケースはイマドキのメガネ店でオマケに付いてくるヤツです。厚みも幅もかなり違います。現代のメガネケースはどんな眼鏡でも収まるように、大きくて厚みもタップリにつくられています(たいてい厚みは30mmから40mm)。昔のものと比べると、厚みだけでも約2倍ですが、容積は3倍か4倍ぐらいでしょうか。恐ろしくデッカイんですなぁ ... まるで持ち歩く気がしません。
スマートなメガネには、やはりスマートなケースがいい。
メガネ・デザイン界の「マンマキシマム・メカミニマム」といったところでしょうか。
上の写真(左の4つ)のように、私の所有するウインザースタイルのメガネは、どれも古い時代の眼鏡ケースに入れて使っています。
アメリカ製であれば、上の写真の左の2つのようなスタイルのケースが多く残っています(1950年以前に薄型が多い)。金属にクロス貼りです。当時のお店のロゴマークや住所を印刷してあるのが一般的です。
現在、国際的にみても、入手できる古い小型の眼鏡ケースのうち、おそらく6割か7割はアメリカ製でしょう。どれもデザインは似ています。数がたくさん残っているということは安価でもあるということです。個人的にオススメです。
ただ、
私のようにレア物を探すなら米国以外は要チェックです。根気強く探せばヨーロッパ製の優れた眼鏡ケースもちゃんとあるんです。私の場合は基本的に眼鏡フレームとケースは別々に入手しますが、稀にセットで状態の良いものもあります。
無垢の銀製ケース、つまり、スターリングシルバー(925)や850シルバーなども魅力的ですが、高価なうえに、たいていサイズが合いません。シルバーのケースもいくつか所有していますが、無垢だと説明してあっても、届いてみたらメッキだったりするので、難しい買い物になります(オススメしません)。上の写真の中央のケースは1900年頃と思われるSTERLING SILVERです(アメリカンオプティカル社がそっくりのアルミ製ケースを売り出しています)。
もう少し違う方向で探すなら、一例としてドイツ製のOPTAL(オプタル)なども面白いでしょう。鉄(ブリキみたいな)でできているため、残念なことにOPTALで現存するものの多くはサビだらけです。錆を落としてオイルで拭けば使えます ... 。
次の写真は珍しくコンディションの良い1930年頃のOPTALです(じつはこのケースは眼鏡フレームよりも高価でした)。独特のレリーフの表面を持ち、軽量で気に入ってます。オプタル眼鏡ケースは、当時はドイツから各国に輸出されており、この個体はエストニアのメガネ店のプリントが残っています。エストニアの個人から直接入手したものです。多少なりとも来歴のわかる個体は珍重されます、たいていのOPTALメガネケースにはこういった印刷はありませんので ... 。
メガネとケース、両者の年代が一致するのが理想ですが、19世紀ギター&ケースがそうであるように、これもまた難しい問題です..... (←どうしてもギターネタにもっていこうとする)。
● レンズを入れてもらう
それで、肝心のレンズです。入手したものの多くは老眼用.... おっと、「読書用」です。リーディング・グラスですな。海外から入手するものの多くは数十年以前のままで、場合によっては100年以上経過したものも珍しくありません。昔のレンズが装着されたまま、ほったらかしのものが多いのです。たまに20世紀中期-後期にレンズが入れ換えられたものもあります。老眼鏡(読書用)として使うのであれば、入手したものをレンズ交換せずにそのまま使えることもあります。
現実的には、自分の目に合うように測ってレンズを入れ換える必要があります。しかし、残念なことに現代のメガネ店の多くは、相手にしてくれません。なぜなら、イマドキのメガネ店は、お店に陳列してあるフレームを買ってそれにレンズを入れるのが規則(大前提/常識)なのです。格安系のメガネ店はとくにそうですが、持ち込みのフレームにレンズだけ入れてくれ、というと原則、拒否されます(経験者談)。まぁ、わかりやすくいえば門前払いですな。問題外の外!といわんばかりに、ロコツにヤな顔をされることもあります。たぶん私は頭がおかしい人だと思われているのでしょう。どんなに状態の良いフレームでも、クーレンズやZoffはまったく相手にしてくれませんでした。高級品を扱うイワキでも拒否されました。まぁ、ハイリスク・ローリターンの客をいちいち相手にしてたら、ビジネスにならんのでしょう。そりゃぁそうだ。
しかし、ちゃんと対応してくれる店も、じつはあります。個人のメガネ店は比較的親切です。
また、チェーン店であっても、対応してくれるメガネ店はあります。
私のお気に入りはメガネスーパー。
但し、全国のどこのメガネスーパーでも対応してくれるとは限りません。クレーンホームページに書いてあったから、この店ではやってくれるハズだ、なんてゴネてはいけません。将来的にみても、事情が変わるかもしれませんからね。うつろいゆくものなのです。
レンズだけ交換してくれるお店を見つけたとしても、安心してはいけません。フレームの状態をお店の担当者がチェックして、受注の可否を判断するのですが、改造されていたり、ネジが半田付けされてフレームを分解できないような場合は、拒否されます。当然です。また、「可能ですが、古い物なので破損することもあります」という前提を承諾してから受け入れてくれることもあります。古いメガネは目に見えない劣化もあるので、これもやむおえません。19世紀ウインザーメガネのような古いメガネフレームは、当時から高級品と普及品とは区別され、素材や作り・品質にも差がありました。耐久性ももちろん差があって当然です。ときに「賭け」となることも忘れてはいけません。お店に依頼して、万が一壊れたら、潔くあきらめましょう。骨董の世界でよく言われる「授業料」ですな(笑)... 。
最初にメガネを探す段階でもチェックしてるんですがねぇ..... 実際、私も今まで何度か高い授業料を払ったものです....
現実的な参考として、もう少し私の経験談を書きましょう。メガネドラッグ蒲田西口店ではレンズ(しかも遠近両用)を入れてくれましたが、すぐ隣町のメガネドラッグでは拒否されました。もっとこまかくいえば、同じ店でも担当者が違うと受注できたり拒否されたり、ということもあるのです。ネットの情報などあてにせず、自分の足と実践で結論を得る、それが鶴田の持論です。
個人経営のメガネ店でも対応は様々です。門前払いもいくつかありましたが、逆に「メガネのヤマト(蒲田)」のように、熟練した御主人が「いまどき珍しいねぇ ... 」と、喜んで受けてくれたこともありました。嬉しかったなぁ。今でもそのメガネは私の所有する最小サイズの実用品として、お気に入りです。
もう、わたしゃ何十件のメガネ屋を巡ったことか......
※ このテのメガネ店は足で探すのが鉄則。労を惜しんではいけません。
※ 安価で安易なものを量販したがる現代において、少数派ともいえるこだわりを実現するためには、勉強も必要です。
● 今日のPAY
さて、さんざん屁理屈をこねたあとは、いつものように、「今日のペイ」です。
他にもメガネレンズのコーティングの歴史だとか、歴史映画に登場するメガネの粗探しだとか、書こうと思いましたが、果てしなく話が長くなりそうなので中止(笑)。
・レンズとその交換費用: 10,500円
合計:10,500円
ちなみに、このテのウインザー・スタイルのフレームで、遠近両用メガネをメガネドラッグ蒲田西口店で作ったときは約30,000円でした(2011年12月)。
ただ、遠近両用メガネは大きめのレンズを持つフレームのほうが実用的カモ(これも経験者談)。
5千円も出せば、フレームとレンズがセットで買えてお釣りが来る時代。通販なら2000円のメガネも売ってます。老眼鏡は100円均一/100均ショップにもあります。近所に眼鏡屋が開店しては潰れるという循環も多々見受けます。上記のようにお金と苦労を重ねてまで、わざわざ眼鏡を探す事も無かろう?と思われるかもしれません。
例えば 「メガネ ジョンレノン」 で検索すれば、らくに最新のウインザーメガネを買うこともできるのですよ(現代版アンティーク風商品)。ちゃんと現代人の体格に合わせて作ってあるので、そのほうが近道です。
しかし、私の場合は流行にはまったく影響されず(←鈍感なのかも)、コダワリを得たいと、常々メンドクサイことをやっちゃう ... 。
広告や流行に影響されずに生きることが難しくなっている昨今。非合理的に見えて、余計な時間やお金を費やしてでも、流されず、自分なりのデザイン感覚や価値観を大事にしたいのです。
たぶん、私は何でも手に入る便利な世の中に暮らしながら、ホントは「売ってないもの」が欲しいのでしょう ... 。
● 資料サイト
・The College of Optometrists http://www.college-optometrists.org
あまりにもコンテンツが多すぎるので..... 以下のコーナー、メガネ博物館/オンライン展示館はとくにオススメです。
http://www.college-optometrists.org/en/knowledge-centre/museyeum/index.cfm
http://www.college-optometrists.org/en/knowledge-centre/museyeum/online_exhibitions/index.cfm
記事掲載:2013年7月29日
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