● さて今回は鶴田の愛用除湿機を紹介しましょう。弦楽器に限らず打楽器や管楽器でも楽器の保管状態は常に気になるものです。四季折々の風情が日本の良いところでもありますが冬は乾燥しすぎ、梅雨のうっとおしい長雨、夏の灼熱?地獄.....これに耐えられる日本製の楽器は世界中でいちばん頑丈だというギター演奏家もいるほどです。そしてまた、こういった除湿機は楽器だけでなくカメラや時計などの保存のことを考えてみてもじつに気になる存在......以前から欲しいとは思っていましたが去年ようやくゲットしまして、今日まで実際に使ってみた感想をまじえながらご紹介しましょう。
● 愛用といっても、ほぼ「ほったらかし」状態です。材料を保管してあって、楽器を作ったりリペアしたりという工房にコイツを設置して一日中運転させています。タンクの水がいっぱいになったら捨ててやりますが、梅雨時や夏場はちょっと頻繁.....。一般に乾燥する冬季は休止してもいいのですが、私の工房の場合は多湿気味なので動かしておいたほうがいいようです、これを使いはじめてから意外と高湿であることに気付きました。私は自宅の全ての部屋(といってもそうたくさん部屋があるわけではにゃい)に温湿度計を付けています(製作工具コーナー参照)。それは普及品の温湿度計ですからおおまかな目安でしかありませんが日によってその変化もわかるのでけっこう頻繁に目がいきます。工房には高さの違う位置に2個の温湿度計を付けてありますがそれらは10%ぐらい異なり、しかも日によっては上下位置の湿度計のそれぞれ片方が高かったり低かったりするのです(ちょっと意外)。
● 私の知人であり作家の竹内氏はこのテの除湿機をお風呂場に持ち込んで洗濯物を乾かすのだそうです。浴室のカビの防止と洗濯物の干し場所を兼ねるという、なかなかナイスなアイディアだと思います。竹内氏のように持ち運びできる除湿機を購入すればあれこれ応用できて便利というわけです。お風呂の扉を閉めておけばあっというまに洗濯物や浴室自体も乾くとのこと。お風呂のカベの掃除も楽になったとか.......まあ、私もこういう使い方もあることを知ったために今回思いきって購入ということになったのですが....。安いものは2万円ぐらいから、種類やタイプももいくつかのメーカーから出ており、店頭でデモ運転していることもあります。ちなみに最近売られている住宅のなかには最初からお風呂に乾燥機が付いていたり、工事で設置できるタイプのものもあるようです。新築の家は木造でもコンクリートでも築後1〜2年はかなり湿度が高いことがほとんどで、カビも発生しやすいということですからマイホームを検討・あるいは建てた方も注目のアイテムであります。
● この製品の価格は正確に覚えていないのですが3万円〜4万円ぐらいだったと思います。かなりおもいきって買ったような気がします。1週間ぐらい前からあれこれお店をまわってカタログを集め、展示品をグリグリいじりながら店員さんにさりげなく(ここが重要)尋ねてみたり.....最終的にメーカーと型番を決めたらクレジットカードを手にアザができるほど握りしめて鼻息も荒くムラウチ電気へと勇んで向かったもんです、はい。
● この除湿機を選んだ理由......これは重要です。基本的に私は中古や古いものが好きでリサイクル品も利用することがしばしばですが、除湿機を選ぶにあたっては機能を比較してみてやはり最新のものを選ばざる得ませんでした。除湿のメカニズムを説明すると長くなってしまいますので、コイツが他社のものと違う理由はSHARPさんのホームページを御覧いただくことにして、実際に使用するにあたって便利なポイントを紹介しておきましょう。
・静音モードで継続運転しても音が気にならない。
・重量7kgでこのクラスでは軽量(CDラジカセ並)。持ち運びもできる。
・タンク式なので工事が不要(そのかわり水は自分で捨てる)。
・センサで指定湿度を指定して乾きすぎを防止。60、55、50、45のうち鶴田は常に45%に設定。
・従来の除湿機は寒いと能力が低下したが、これは新方式なのでダイジョウブ。
・衣類乾燥モードが付いている(臨時に洗濯物を乾かすのに便利! 東京ガスの乾太くんもびっくり!)
● 除湿でタンクに溜まった水は手で捨てるわけですが、よく見ると本体裏側に排水キャップが付いています、取り扱い説明書には特にこの使い方は書かれておらず、たんに長期間使わない場合の水抜き用としか説明されていませんが、ひょっとしてここからホースを引いて室外に流せばタンクの排水の手間が省けるのかな? SHARPの関係者のみなさん、御覧になっていたら教えてください、こんな使い方もOK?
消費電力は静音除湿モードで220Wなのでちょっと気になりますが多湿な時期以外は指定湿度になるとセンサで自動停止(アイドリング状態)しているので必ずしも運転しっぱなしではありません。事実、この除湿器が我が家に来てからも電気代は今までとほとんど変わりません。
あえていえば奥行き寸法がちょっと気になりますが現在市販されているものの中では小さい(薄い)ほうです。むしろ取っ手が付いていて持ち運べるのはトッテモ便利。ボディの色が選べればいいのに(お店にはこの色しかなかった)........グラファイトとかぁ、ボンダイブルーとかぁ....家電製品には形状のデザインや色を軽視したものも多いですよね。これはまだカワイイ部類でしょう。みなさんはどう思います?
■ 気になるスペックは.............. ・電源:100V、50/60Hz ・除湿能力(定格:フルパワー時):1日あたり6.5リットル ・消費電力:衣類乾燥495W、標準乾燥295W、静音除湿220W ・除湿可能面積の目安:木造住宅8畳〜16畳、コンクリート住宅13畳〜26畳 ・排水タンク容量:2.3リットル(2.1リットルで自動停止) ・重量:約7.0kg ・外形寸法:幅43.5cm、奥行22.5cm、高さ38.5cm ・安全装置:対震自動運転停止装置、過渡過昇防止器
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● 技術の進歩はめざましいものがあります、すぐにこれをしのぐ性能の除湿機が登場する日も近いかもしれません。もっとコンパクトでもいいでしょう....。
● 部屋が乾燥しすぎる季節はどうなのよ? というギモンをお持ちのかたもおられるでしょう。え?加湿器を設置すればいいじゃなかって? それも一つの方法ですね。最近は加湿器と除湿機が一体になったものも市販されていて興味深いです。でも私は昔から冬は雑巾かタオルを水で濡らしてゆるく絞ったものをハンガーなどに吊して自然気化を利用して加湿しています。これが以外と効果的、夜寝るときも部屋にそれれを吊しておけばノドが痛くありません。しかもローコストで電気代もかからない... このTSULTRA Wet
Towel(まぁ〜〜た変な名前つけるぅ...)は冬場の乾燥した日は半日で乾いてしまうこともありますが気が付いたときに再度濡らしてやります.....マメな人にオススメ? あと、もうひとつの加湿手段としてコップにいつも水を張っています、冬は暖房でかなり速く減っていきますが1週間に1回ほど水を追加します。
● こうやって私の工房は加湿と除湿器によっておおむね45%前後に保たれています。ちなみにイタリアのギター製作家のアンドレア・タッキさんにメールで尋ねてみたところ、彼の工房には2台の除湿機があって、冷暖房機と併用することで気温20度、湿度42%に常に保たれているそうです。
● 設定湿度は部屋の条件にもよります。部屋で楽器を弾く場合はもちろん、保管する場合も乾きすぎて楽器のトラブルを招かないように注意しましょう。高価な楽器をお持ちの場合は信頼できる湿度計を併用設置されることをオススメします。
SHARP HD-652D |
● さて、2001年1月になって我が家には新たな除湿器が導入されました。HD-651Dの後継機であるHD-652Dです。基本的な機能は変わりませんがいくつかの仕様変更があります。どこが変わったのか?といいますと....
・貯水タンクが本体下部に装備され、ボディがスリムになった。
・押し入れ乾燥機能が追加された(のびのびホース付き)。
・結露防止モードが追加された。
・待望のカラーが選べるようになりました。
・湿度設定が N% 指定ではなく自動になった(私は従来の45%指定ができたほうが嬉しいのですが)。
● ボディがスリムになるのは嬉しいことです。なにせ狭い工房ですからボディの高さが高くなったものの、私としては歓迎する仕様変更です。タンクの形状がすごい....。
HD-651D 外形寸法:幅43.5cm、奥行22.5cm、高さ38.5cm
HD-652D 外形寸法:幅38.0cm、奥行21.8cm、高さ44.5cm
押し入れ乾燥機能が付加されたことによりボディ側面にのび太ホースがにょきにょき付いておもしろいです、付属のカモノハシアダプタを付ければ「さわやか押し入れ」を実現します。ちなみに布団乾燥のためのオプションパーツも2000円で販売されています(欲しい)。湿度設定が自動になったので45%指定ができなくなりましたが、代わりに「結露防止モード」がよくできているのでこのモードで運転することにしました(次期モデルでは45%指定運転モードを復活してほしい)。あと、念願の?ボディカラーがプラチナグレーで前モデルと比べるとクールなイメージでよろしい!! それから乾いた空気の排気口にルーバーが付いてカッコイイのであります。工房内でカンナをかけたりサンディングする場合に前モデルでは運転を止めてテープを貼るかタオルをかけてホコリを防いでいましたがこれからは排気口をワンタッチで閉じれば良いのです(もちろん運転は停止させます:ルーバーを閉じると自動停止する)。
除湿器/加湿器は様々なメーカーが競合しているわけですがモデルチェンジもパソコン並にサイクルが早いようですね...。