Luthier : Makoto Tsuruta / CRANE Home Page
CRANE Ver1.0.3


 
報告

:TOKYOハンドクラフトギターフェス2008

私たくさんの御来場ありがとうございました。
以下に報告記事をざっとまとめてみました。

 
日 時:2008年 5月24日(土) 11時〜19時 および 25日(日) 10時〜18時
場 所:すみだ産業会館サンライズホール 
     〒130-0022 東京都墨田区江東橋3丁目9番10号(丸井OIOIビル8階)
     東京都墨田区 JR総武線、錦糸町駅南口前
入場料:1000円
主 催:TOKYOハンドクラフトギター フェス実行委員会・TBSサービス
 THGFのオフィシャルサイト

 


  
【CRANE 展示ブース】



こじんまりのブースだけど濃い
私の「CRANE 鶴田」のブースは御覧のとおり。ベネディットの6コースギター、工房オリジナルデザイン・シリーズのConcept-6 、そして仕様を変えて作った最新作ということでブラギーニャを1挺。謎の弦計算尺も好評。自演のCDも完売(ついに在庫が尽きました)、執筆雑誌「いい音を選ぶ」もほとんど売れてしまいました。
これはたぶん強力な助っ人のおかげかもしれません。日本語でいえば看板娘。ワカイ素敵な受付担当です。ヒゲをはやしたムサイおっさんが暑苦しい格好でブースに座っているよりも、涼しげな女性が座っているほうが雰囲気が良いのです。そうです! 座ってじっとしているだけで充分! 言葉などいりません。笑顔なんか過剰サービス。
ブースの雰囲気というのは重要です。場合によっては楽器の価値を下げてしまいます。出展者のみなさん、飲みかけのペットボトルとか置いてませんよね?


版画ポスター】今年はいつもの銅版画パネルではなく自作の木版画による「弦楽器製作家ポスター」を掲げてみました。そして例年なら自作のコースターやメガネ拭きを来場者にノベルティグッズとして配布していたのですが、今回はこの版画を希望者に無料進呈。これ、なかなか好評! 何が嬉しいって、製作家から欲しいと言ってもらえるのは至上の喜びです(ホント感激)。もっと前衛的な?あるいは意味難解な作風にしようとも思ったのですが、構想の段階で一目見て弦楽器製作家を印象づけるモチーフでなければ「Luthier」のテーマを一般の方々には理解してもらえないであろうとの結論でした。この図柄を見れば、お子様からお年寄りまで誰がどこからみてもハンマーとノミでギターを壊して、... おっと、製作しているように見えるでしょう? 版木の木目もよく出ています。色も特別な混色「CRANEレッド」。インクは超微粒子のガッシュですな。限定40枚。色違いのエディションも検討中です。また、できれば展示会のたびに製作家版画をシリーズ化して発表することも考えています。シリーズのなかでたまにスタイルを変えて異色作も試みるということで......... 究極の自己満足ですな(笑)。




Concept-6(Avalanche)
今回は久しぶりにモダンギターを作りましたよ。今までああしたい、こうしたい、をいろいろ盛り込んでみたくて...。でも、やりすぎたカモ。表面板のブレイシングパターン、黒檀ボディ(0.8mm)、超幅広フレット、高音域の特殊なレイジング、高いサドル、ライニングレス、ローテンション、22フレット仕様、深いボディ、3ピースブロック、..... でも製作過程でいちばん気掛かりだったのは指板です。黒檀にするべきかローズウッドにするべきか、かなり迷いました。黒檀にすれば音量は犠牲になるものの、長いサスティーンが得られるであろうと結論付け、結果としてはまさにそうなりました。過剰なほどに(笑)。ボディの深さも手伝って、やはり独特な音です。ボディはあとから浅く改造できるように作ってあります。しかし、やはり指板の比重を下げるのが先決です。音色とサスティーンを気に入ってくれたお客さんも少なくなかったのですが、会場が騒音状態なので音量不足は不利ですね。バランスという意味でもこのままでは満足しません。ちと改造したいと思っています。


ベネディット6コースギター
今回の展示会はこの1本だけでよかったかも。この1年間はこの楽器のためにあったといっても過言ではありません。オリジナルの1812年製の楽器を傍らに置いてコピーを作ったのですが、内部に多少の改造らしき部位も見られ、交換されている指板やフレットについても調査と検証が必要でした。幸いに海外の製作仲間や修復仲間などから情報を得て、なおかつ過去の自分の修理の楽器などから、納得のいく仕上がりに到達しました。表面板の塗装は展示会で弾き傷がつくことを敬遠して最後まで仕上げずに出展していました。展示会終了後、工房で仕上げました。
思えば過去に19世紀ギターのコピーもたくさん作りましたが、最も難しい高度な楽器でした。フレンチやイタリアン、ウインナーなどと比べると、スペインは作法がまったく違います。別世界なのです。別の楽器です。それゆえ非常に勉強になり、収穫の多いテーマでした。


ブラギーニャ2007
過去の記事で説明しているのでここでは詳しく書きませんが、仕様を少し変えました。おもに装飾の追加と塗装ですが。何度作っても面白い楽器で、同時に手間のかかる構造です。ウクレレとはこれもまた別世界の楽器。鳴らし方もウクレレと同じではありません。弾く人を選ぶ楽器ともいえるでしょう。しかし、それ以上に素敵な雰囲気を持つ楽器で、私などは弾かずとも傍らに置いておくだけでなごんでしまいます....。無銘であっても昔の人のデザインは素晴らしいものがありますね。





【会場】
各楽器の説明については近いうちに「私の製作した楽器」のコーナーに公開しますので、以下は展示会全体の雰囲気など感じていただければ幸いです。
今年は例年のTHGFに比べてスタッフも鍛えられた感があり、搬入やPRや当日の運営など細部にわたって配慮と工夫に満ちていました。実際、訪問者の動員数は過去最多で、出展者である製作家の皆さんも「今年はいっぱいお客さんが来るねぇ。」と口々に喜んでいました。試奏ブースも完備、荷物預かりや各種連絡など運営側スタッフも大活躍。配慮に満ちた運営だったと思います。スタッフの皆さんに感謝!




当初はOIOIのビル内ということで狭いのではないかと心配していましたが、なんの、なんの。同じフロアにイベント会場が併設されておりながら展示スペースは充分な広さ。例年より通路の幅もやや広いようです。私の加入している楽器製作仲間「のみのみML」の仲間も同じ並びに配置されるなど、今年も運営側の配慮がみられました。毎度のことながらアリガタイことだと思います。おかげで仲間との親睦も深まり、情報交換や今後の動向など、訪問者以外の皆さんとも意義有る2日間を送ることができました。展示会はギターやマンドリン、バンジョー、ウクレレ、リュート、バロックギター、創作楽器など多彩であることに加えてインレイ専門工房や木材屋さん、パーツ屋さんなども出展。そのため、出展者自体が他のブースを巡って楽しんでいるのが実態(笑)。今回私もCRANEブースにお店番を雇ったおかげで他のブースも少なからず巡回できて、去年よりも展示会を楽しむことができました。今回は販売も可能な会場であるためにCDや本の売り上げを握りしめ、その日のうちに木材やパーツを買ったりと、自転車操業的ですが柔軟なやりくりができました。やはりお客さんにしても購入できる展示会のほうがいいでしょうねぇ。


各ブース一覧

1 大和マーク:出ましたっ! 我らが大和マーク。パーツと木材。指板も始めました。群がるお客さんをよくみればみんな出展者。お世話になってます。ニャーゴヤから。
2.3. FISHMAN:ピックアップ関連やプロセッサーでは知られるFISHMAN。半漁人じゃないぞ。
4 有限会社バードランド:カナダのジョン・マッカリー氏によるNorthwood Guitars.
5.6 ブルーリッジ・ジャパン:正規輸入代理店。神奈川県から。
7 アコースティックワールド:ギター、ウクレレ、マンドリン、修理・改造もOKとのこと。東京から。
8 SUMI工房:今回はSJタイプを中心に弾き易さを追求。長野県から。
9 デザートローズ:展示会でバンジョーといえばスコット・ズィママン。長野県から。
10 KIGE工房 / Kanazawa Guitars & Ukulele:東京から。
11 MsCRAFT / KaiUKulele:丹念に作られたウクレレ。埼玉県から。
12 いしはらウクレレ工房 / 燕印(つばめじるし)ウクレレ:今年はウクレレ激戦。そのなかで私が足を止めたのは燕印のブース、良く鳴ってて欲しくなりました。オリジナリティ満載、素晴らしい。
13、14,15 :イサナウクレレ、ウクレレスタジオ七里ヶ浜、佐賀野楽器製作所、Chihale works、占部弦楽器製作所の共同ブース。大規模なディスプレイは圧巻。
16 ソングバード・ギターワークショップ / 沖田ギター工房:ウクレレ、アコギ、エレキ何でも作るソングバードと修理中心展開の沖田氏。千葉県から。
17 CRAFT MUSICA / ATguitars:ウクレレ、アコギ、fホールを持つマカフェリタイプなど。千葉県と栃木県から。
18 Toshi.G工房 / TORU Guitars:こちらもおなじみ徳島県と香川県から。私は個人的にコレが気に入りました。こういった試み、大事ですね。
19 リットーミュージック:ギターとウクレレの出版物が充実してます! でも私はうっかりしてこのブースで買い物するのを忘れてました。残念。
20 OGAWA INLAY CRAFT / otocraft大越ギター工房:インレイ専門のOGAWA氏と製作・修理の大越氏。新潟県と千葉県から。
21 TORU FUJII GUITARS 藤井徹 / Keystone Stringed Instruments:岐阜県と東京から。Keystoneさんの写真がみあたらずスイマセン。
22 フェルナンデス・ギターエンジニア・スクール:プロを目指すギター製作学校、リペアも学べるとのこと。東京から。
23 ファーニス工房・大西達朗 / 古楽器工房VIOL:家具製作の技が光る大西氏と長尺物で勝負のVIOL。いろんな意味で今回最も注目を浴びたブース。大阪と愛知県だがね。
24 アコースティック絃楽器工房THIRD FIELD:古楽器から削り出しマンドリン・ウクレレまで多彩な出品。東京から。
25 SlackWorks / Studio-mu20:心地よい楽器がモットーのSlackWorks、そして毎回リュートで出展のStudio-muso 東京と神奈川+名古屋から。
26. CRANE 鶴田
27 乙竹英夫
モザイクの出展? コダワリのスペインギター。主催者と出展者達が集まって談笑中。東京から。
28 クルーズ:東京から。
29 Acoustic Harmony:工房Hotlicks / Sol Anemo。マンドリンも。神戸と大阪から。
30 Sakata Guitars / Ikko Masada Guitars:山梨県と神奈川県から。
31 ドルフィンギターズ:大阪から。
32 Yoshida弦楽器工房 / トダギターズ:東京都滋賀県から。
33 工房ソニード / クレオバンブー:彫り抜きボディのギターに加えて今回はエレアコベースが大好評。竹ギターとおなじみの名コンビ、愛知県から。
35 ESPギタークラフト・アカデミー:製作専門学校の皆さん。がんばってね〜!
36 forM:アコギだけでなくエレキギターも型からフルオーダー可能。愛知県から。
37 桜山アコースティック:アマチュアから転身。今回はプロとして入魂の出展。
38 モリダイラ楽器:モーリスでおなじみ。近年注目のSシリーズなど。
39 suzukawa Guitars:今回はDタイプを製作。神奈川県から。
40 HiramitsuGuitars / AkimotoGuitars:名古屋のHiramitsu Gt そして 東京のAkimoto Guitars。綺麗なお姉さんも出品?!
41 ザ・ショウルーム:品質重視とのこと。フィンガーピックやケアアイテムも。東京から。
42 SUGICraft:3人の製作家が1ブースに。密度の高いアコギ3人集。富山県から。
43 フルヤギター工房:カスタムオーダーたまわりますとのこと。神奈川県から。
44 夢弦堂:ここも展示会ではおなじみですね。東京から。
45 亀岡ギター
46 ヘッドウェイ
:ディバイザーにて取り扱うHeadwayブランドが中心。長野県から。
47 Ts Guitar:もうおなじみ!コダワリとオリジナリティと質の高さを誇る。さっそくSOLDも! 長野県から。
48 ロッコーマン楽器だけでなく木材の販売も。私は杉材を500円、ジャーマンスプルースを1セット購入。神戸/東京
49 Yokoyama Guitars長野からの出展。今年も意欲作が。
50 合資会社オールマン神戸の会社でネットにてオーダーメイド可能
51 シーガル弦楽器工房ラッカーとニカワにこだわるギターづくり。愛媛県からの出展。


おわび:毎年のことなのですが、ブースを順番に撮影していくと、お客さんでごったがえしていることもあって、あとから撮影しようなんてことになるとしっかり忘れてしまいます。なにしろ出展者の数がハンパではありません。51ブースといいつつ実際には1ブースに2つ、たまには3つの工房が出展していたりします。今年はESPミュージカル・アカデミーさんと亀岡さんのブースの写真を撮り損ねたようです。ゴメンナサイ。次の名古屋の展示会では亀岡さんに殺されるかもしれません。



【御礼】

 今年はウクレレの出展数がすさまじくて、しかも内容的にも力のはいった作品が多く見られ、おそらくウクレレファンにはたまらない展示会だったでしょう。アコギ系の皆さんはちょっと方向を迷っている印象でした。ウチの関係者のブースが立ち並ぶ「のみのみML通り」は今年もちょっと浮いていましたが、お客さんにとっては変わった楽器と出会う絶好の機会。私のブースにもCRANEホームページを御覧の皆様が大勢いらして嬉しかったです。とにかく私のブースでは展示会では前回と同じ楽器を出さないように毎回新作を主体にしています。はっきりってこのことは非常にツライのですが、お客さんにも楽しんで欲しいのです。私がお客さんでもそのほうが楽しい。Concpt-6のようにたとえ極端なスタイルになった楽器でも、実験的な楽器からは製作家の意気込みが感じられ、話も弾むというものです。反面ヒストリカルな楽器のコピーモデルは、すでに常連さんも期待してやってくるので気が抜けません。わずか3本の出展でもかなりの体力と知力を尽くす必要がありました。Concept-6は指板の交換を検討中です。次の展示会に弾き比べてもらおうかとも考えています。すでに次の展示会に向けて修復や製作を始めていますが、次回もこれらの楽器に負けないような新作を披露できることでしょう。
年に1回とあって、製作者とお客さんがじかに触れ合う機会、やはり展示会というのは良いものです(しみじみ)。次回もまた会場でお会いしましょう。


CRANE HomePage 鶴田


    


記事:2008年6月1日



CRANE展示会の案内記事に戻る 

 

 



||||| (C) 2008 Makoto Tsuruta / CRANE Home Page SINCE 1995 / AllRights Reserved |||||


  Back to CRANE index page