商品名:スペイン式カポタスト ギター用 アンボイナ 赤斑コブ杢ボックスエルダー 60mm(No.AMBBERED59)
新品/中古の区別:新品 CRANEカポはすべて永久保証付きです(一部消耗品除く)
参考写真:写真1 写真2 写真3 写真4 写真5 写真6 写真7 写真8 写真9 写真10
備 考:コダワリ、使い方、メンテナンス等はカポタスト(CAPODASTRO)のコーナーを御一読ください。
譲渡希望価格: 譲渡済み
説 明:工房CRANEによるハンドメイドの木製カポ。2013年モデルです。
母材にアンボイナ、両面に赤斑コブ杢ボックスエルダーを用いた非常に希少な仕様。さらに言えば側面にはトラ杢も出ています。シェイプも2013年の新スタイルです。塗装はつや消し仕上げ。
じつは今回のモデル(シリーズ)は全長を少し長めに製作しています。今までの楽器展示会等で、「少し長めのカポは作れないか?」との相談があり、それを受けての仕様です。ハイポジションでの使用を意識したモデルですが、もちろん、すべてのクラシカルギターで使用可能です。
【指板幅の比較】
以下のとおり、工房CRANEの手元にあるギターで、第10フレット位置(ポジション)に於ける指板の幅をざっと測ってみました。
これら以外のギターについても調査していますが、たしかに時代や製作家によって指板の幅は微妙に異なるのです。一言でクラギ(クラシックギター)といっても全て同じではありません。
56mm:ホセ・ラミレス1世 1909年
57mm:マヌエル・ラミレスギター1900年代初頭
60mm:田村廣フラメンコギター1973年
61mm:マヌエル・ロドリゲス 1987年頃
今までクレーン工房の標準仕様では、クラシカルギター用のカポは57mm前後で製作することが多かったのですが、最近タムラギターを入手しまして。弾いているうちに、夢中になったりして。そのうち、カポを付けて弾いてみたりして ... 。そしたら、やや長め/広めのカポもアリかなぁ、と思いつつ、悩みつつ検討した結果です。今期のクレーン・カポタストは、そんなワケで約60mmでいくつか作ってみました。
田村フラメンコギターは素晴らしい。
年代にもよるのでしょうけれど、シープレスの性質でしょうね。フラメンコギターといいながら、何を弾いてもしっかり響き、これならボサノヴァや歌の伴奏にも良く合うでしょう。クラシックやJazzのたぐいも幅広くこなします。杉の表面板で、ゴワン!と鳴りますが、中低音に締まりがあり、ローズ系にありがちなモッサリ感がありません。私の好みの音です。
かつてホセ・ラミレスが舶来品と呼ばれて高価だった時代に、国産で高い完成度を誇り、スペインの演奏家も購入して弾いていたというほど、国際的な評価を獲得していたタムラギター。1953年に田村ギター製作所が設立され、当初は兄弟で製作していましたが、後に弟の満さんが独立します。最盛期は1960年代から1970年代中期。1974年を境に製作はおおむね弟子に任せ、田村廣さん 本人は実業家として不動産業を営んでいたようです。従って1974年以降の楽器は、世間一般的には評価が芳しくありません(実際には良く鳴る楽器も時折見られるようです)。一方では「いやいや、工場生産から手作業になって月産5本になってからの楽器のほうが良い」という話もあります。
いずれにせよ、かなりの数が生産されたので、現在でも1ケタ万円という安価な価格帯で入手できるのもポイント。年代や材料や割れの状態等にもよりますが、ヤフオクなどのオークションでは2万円ぐらいから出ています。現存する田村ギターの多くは表面板が割れていますが、なおせば問題ありません。ローズウッドのボディも多いのですが、私のオススメは、やはりシープレス。できれば1973年以前。あとは弦長や鳴りの個体差ですな。シープレスといってもスペイン産は当時から高価であったために多くの製作家はイタリア産やトルコ産、のちにはシープレスと似たイエローセダーを使うこともありました。20世紀末期頃にはすでにシカモアがシープレスの代用として使われることもあります(1900年代中期では、当時安価なカヤを使ったという説も有り)。
私の入手したフラメンコギターは、1973年製の個人特注品で、為書きの入った一挺です。表面板は杉(やはり割れていた)。塗装はラッカーですが、ネックの反りも無く、低い弦長に調整されて、低めの張力で音量・音色共に非常に高いパフォーマンスを誇ります。ラミレスを研究して664mmで製作されたモデル(当時はタムレスとも呼ばれたらしい)ですが、この個体についていえば、細部にわたって調べると、ラミレスとは違います。弦長が同じであること以外はサドルの傾斜やブレイシングなど、冷静な視点で見ると、田村廣オリジナルと呼ぶべきでしょう。随所に工夫が見られ、製作家からみても興味深い楽器です。
田村ギターは、ヘッドなど外観はアルカンヘル(厳密にいえばバルベロ)、内部はラミレススタイル、というのが一般的です。スペインスタイルですが、ドイツ式のネックブロックが標準です。一部にはこの為書ラベルの1973年製のようにネックが「スペイン式で」作られたものもありました。フラメンコギターに詳しい製作仲間の乙竹氏によると、スペインでも割れたものは多く、田村ギターといえば「鳴るか、割れるか」というのが、現地の認識だそうです。表面板は薄いのでしょうね。
おっと、何の話で知ったっけ?
はい、カポタストね。
え〜〜〜と、このカポのソールの長さは60mm。 ウチの工房の田村廣フラメンコギター1973年に装着した写真を掲載してあります。
指板の平らなギター向けです(アコースティックギターやエレキギター等のふくらみを持つ指板には使えません)。
本体:アンボイナ、赤斑コブ杢ボックスエルダー
ペグ:ツゲ
ガット:羊腸
ベルト:本革/エンジ色 裏打ち付き
ソール:天然ゴム 60mm x 16mm
重量: 13g
クレーンのカポタスト。フリクションペグによるウッドカポです。基本的に全て天然素材を使っており、プラスチックやナイロンのたぐいは使用していません。革はなめし革の専門工房のもので、ブランド品の高級バッグなどに使われている良質な皮革です。全体はスペインスタイルですが、CRANEのオリジナルデザインで、1個づつ手作りしています。過去にいくつかカポを作って御希望の方にお譲りしていますが、基本的に同じものはありません。よく似たモデルであってもサイズや素材や装飾やシェイプ、塗装が微妙に異なります(ソールのサイズによってもデザインを調整しています)。注文は受け付けていませんので毎回、ワンオフの1点モノとなります。工房CRANEの正規品として焼印が刻印されています。
※ CRANEカポはすべて永久保証付きです(一部消耗品除く)。私がボケたり、老眼が進んだり足腰が弱ってきたらこの限りではありません(笑)。五体満足で元気なうちは面倒みまっせ〜。
※ お使いのコンピュータや端末の種類によっては色が本来の発色で表示されないこともあります。色合いや質感や艶など、御不明な点はメールにて御確認ください。
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今年の夏休みは工房にこもってカポタストばかり作っていました。
たまに息抜きでバラの世話をしたり... すると今年もまた、アブラゼミがひっくりかえっていました。過ぎゆく夏。はかないですなぁ。おもわず一句詠んだりなんかして。
『 空蝉の 荒ぶる羽子も絶え絶えに 手向ける華も いつぞ散るらん 』 詠人:TSULTRA
(うつせみの あらぶるはねもたえだえに たむけるはなもいつぞちるらん)
なんだか辞世の句みたいになっちゃったなぁ(笑)... でも、辞世の句なんてのは、死ぬ直前だと考えがまとまらないかもしれないし、不慮の事故に遭ったりすると詠んでるゆとりは無いもんねぇ。今のうちに作っておくのもいいかも。ワシが死んだら、これを辞世の句にするってコトにしておけば安心だ。そうしよう。あぁ、よかった、よかった。
今期製作した新作カポ、順次公開していきます。おたのしみに。
記事:2013年9月1日