■ 実際に張ってみよう...ウクレレ編
さて、当クレーンホームページではギター、リュート、ウクレレをメインにやっていますからこの弦のコーナーでもUkeを外すわけがありません。ひとことにUkeといっても8弦アリ、リゾネータアリ、弦長もやたら短いものから恐ろしく長いもの、あげくのはては特注モノまで多彩ですがとめどもなく話が長くなるので、今回はスタンダートであるソプラノUkeに話題を集中して書いています。
【ソプラノ(スタンダード)Ukeの調弦】 g,c1,e1,a1/g1,c1,e1,a1/a1,d1,f1#,b1/a,d1,f1#,b1
【コンサートUkeの調弦】 g,c1,e1,a1/g1,c1,e1,a1
【テナーUkeの調弦】 G,c,e,a/g,c,e,a/g,c1,e1,a1/g1,c1,e1,a1
【バリトンUkeの調弦】 D,G,B,e
【その他のUkeの調弦】 8弦とかほかにもいろいろあるけど今回は省略。
● ウクレレの場合は市販の弦も種類が多く、選ぶにはさほど困りませんし、ギターも弦のいくつかを流用することも可能です。.....そういいながらも私は手元のウクレレ(3本ぐらいある)にはシーガーを張っています。ハイパー音楽教室ウクレレ編でも紹介しているように1〜3弦はシーガーですが4弦はクラシックギターの4弦(d)を張っています。私は4弦にはライトテンションの4弦用巻弦を使っています。下の写真は計測中の図........しっかし......ウクレレの弦長なんてみなさん計ったことがありますか? ましてや弦の直径を計るなんて........Ukeの世界においてこんなに真剣にやっていいのであろうか?
● 以下によく見かけるウクレレ用の弦の区別を記しておきます。厳密に分類してみたのですが......さすがウクレレ、実際にお店に行くとソプラノ弦とコンサート弦は兼用という扱いなのです。つまりあなたが今、フツ〜〜の楽器店で「ウクレレ弦くださ〜〜い」というと店員さんが渡してくれるセット弦は以下のうちの(1)と(2)と(3)のなかのたぶんどれかです。いいんです、ウクレレはそれでいいんです。
つまり「(1)と(2)と(3)は同じセットを使い分けてくり〜〜」というのが現状です。ghs社の弦なんかもっとすごくて「一つのセットでソプラノとコンサートとテナーに使えるじぇ」なんてのも販売されている(考えようによっては1オクターブも差がある)ぐらいです、ひぇ〜〜〜っ!
いいんです、ウクレレはそれでいいんです。
(1) a1,d1,f1#,b1:ソプラノUkeをソプラノ調弦するための専用セット
(Martin社のM600など)
(2) g1,c1,e1,a1:ソプラノUkeをコンサートUke調弦するためのセット
(Hilo
Strings社のStandardSet など)
(3) g1,c1,e1,a1:コンサートUke専用のセット
(Hilo Strings社のConcertSet など)
(4) g,c1,e1,a1:ソプラノUke又はコンサートUke用で4弦めがローGのセット
(KAMAKA社のSTANDAED&CONCERT-LOW G など)
(5) g,c,e,a:テナーUke用のセット
(6) G,c,e,a:テナーUke用で4弦めがローGのセット
(7) d,G,B,e:バリトンUke用のセット
(8) 4弦用ローGのバラ弦:(各種あるがたいていギター用を流用)
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A=440Hz 弦長340mm 4本全体で約12.1kg
1弦 b1:2.7kg ナイロン0.53mm フロロカーボン0.41mm(6号)
2弦 f1#:3.5kg ナイロン0.81mm フロロカーボン0.62mm(14号)
3弦 d1
:2.8kg ナイロン0.91mm フロロカーボン0.70mm(18号)
4弦 a1
:3.1kg ナイロン0.64mm フロロカーボン0.493mm(8号/10号)
4弦 a:プロアルテ・ライトテンション4弦用:巻弦0.71mm
4弦 a:プロアルテ・ハードテンション4弦用:巻弦0.76mm
さて、このソプラノ弦セットをそのままコンサートUke(いくつかあるようですがここでは仮に長めの400mm弦長)に張った場合のテンションの変化を計算して書いておきます。a1,d1,f1#,b1で調弦するのであれば当然テンションは全体が下がりますが、弦長が長くなるとg1,c1,e1,a1であっても多少張りは強くなるわけです。4弦を巻弦にするとなおさら張りは強くなるでしょう....。しかし、現実には弦長が360mmとか380mmのコンサートUkeであればおそらく上記と同じぐらい(全体で12kg)の張りになるのかもしれません、従って兼用できないこともないというわけです。初心者にとっては張りの強い弦は調弦が下がりやすいのでコンサートUkeを使うのであれば私は(2)のセットを薦めています.....でも翌日買ってきた弦を見せてもらうとソプラノ専用弦だったりしますけど......(笑)。お店の人も区別できていないことがあるようです。いいんです、ウクレレはそれでいいんです。
A=440Hz 弦長400mm 4本全体で約13.2kg
1弦 a1:2.9kg ナイロン0.53mm
2弦 e1:3.8kg ナイロン0.81mm
3弦 c1:3.1kg ナイロン0.91mm
4弦 g1 :3.4kg ナイロン0.64mm
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さて、今度はHilo Strings社のStandardSetを計ってみましょう。ブラックナイロンのセットですのでテンションは多少誤差があるかもしれません。このメーカーのパッケージにはテンションや直径(ゲージの太さ)は書かれておらず、たんに「この弦は何番目にお使いください」程度しか表示されていませんから弦の直径をマイクロメータで実際に計ってそれをもとに張りの強さを算出し、さらにフロロカーボン(シーガーとか)に換算するとどれくらいかを示したというわけです。
A=440Hz 弦長340mm
1弦 a1:3.2kg ナイロン0.65mm フロロカーボン0.52mm(10号)
2弦 e1:2.9kg ナイロン0.83mm フロロカーボン0.66mm(16号)
3弦 c1:2.6kg ナイロン0.98mm フロロカーボン0.74mm(20号)
4弦 g1:3.0kg ナイロン0.70mm フロロカーボン0.57mm(12号)
(プロアルテ・ライトテンション4弦用:巻弦0.71mm)
(プロアルテ・ハードテンション4弦用:巻弦0.76mm)
なお、今回プロのミュージシャンである田代耕一郎さんに伺ってみたところ以下のようなシーガーの組み合わせをお使いだそうです。マーチンのソプラノウクレレ「STYLE 1」がTassi Home Pageに掲載されていますが、その弦長は348mmだそうです。本来こういった現場のセッティングはプロにはなかなか教えてもらえないのが普通ですから感謝しつつ掲載....。 あ! よく見るとこの8号、14号、20号というのは19世紀ギターの1〜3弦でいちばんよく使うゲージではにゃいか.......なぁ〜〜〜んてね........。
●Tassiセット(ソプラノ・シーガー仕様) 1弦: 0.47mm 8号 ローGで使う場合はプロアルテ・ハードテンション4弦用
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付録:正しいウクレレの弦の買い方 |
(1)テキト〜なお店にいく。
(2)店員のなかでテキト〜なお姉さんをつかまえる。
(3)「ウクレレの弦をください」と唱える。
ここで重要なのが、相手がたとえ「ローGですか?」などと意表を突く質問をしても、ひるまず、あわてず「ウクレレの弦をください」と連呼するべし。決して議論してはイケナイ。ただじっと相手の目を見て「ウクレレの弦をください」と連呼するべし。
(4)それでも相手が引き下がらない場合は、眉間にシワを寄せつつ、やや大きな声で「フツ〜〜のウクレレの弦をください」と唱えるべし。
いいんです、ウクレレはそれでいいんです。
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