■ はじめに
● さて、このコーナーは鶴田式楽器修理修復の掲載コーナーであります。そのうち「採寸でおじゃる」とか「塗装でおじゃる」とか、勝手なコーナーを作るのではないかと思われます.... 。
リペアとレストアはちょっとニュアンスが違います。
リペア(修理)とは楽器が弾ける状態に「部分的な機能回復の修繕」を行ったり塗装などの部分的汚濁を整えるもので、対してレストア(修復)は壊れたり間違った修理等のある楽器を完全に元の状態に戻していく復元作業だと私はとらえています。レストアで元に戻すには当時の状態を知る必要があります。書物やネット上の制作仲間からの情報収集を行ったり、とりわけ19世紀以前の楽器は現物をよく観察することが重要です。
ここに紹介しているのはリペアに相当するものとレストアに値するものとが混在していますが、ご承知おきください。
楽器を修理するには関連書籍の調査や時代ごとのスタイルや音楽の傾向なども調べておくべきです。製作もそうですが、修理にあたってもヒストリカルな楽器にとりくむには文献調査がほとんどではないかと思うこともあります。海外の文献は可能な限り自分で翻訳したり、不得意な言語はお金を払って翻訳してもらったりもしています。そういった意味でも良い勉強になるわけで、さらにギターに限らず他の楽器も修理してみると時代ごとのさまざまな音楽の様子がうかがえるものです。楽器演奏への当時の考え方や娯楽のとらえかたみたいなものまで想像できてじつに興味深いものです。
変わった楽器がやってくると、まずは文献を探し、手元に無ければ海外から取り寄せて、さらに手元に必要な材料・パーツがストックされていない場合は海外に注文を出します。作業中に必要な顔料や部品が発生することもしばしばで、そんなときは作業を中断して再び海外へ材料やパーツをオーダーするわけです.....(はかどらないハズだ、こりゃ)。壊れた楽器を海外から安価で入手して修理しても、結果的にはとんでもない費用と時間ががかかることがあります。また、パーツが国内では入手しづらいときはジャンクとしての壊れた楽器を部品取りで購入することもあります。ときに部品代のほうが楽器代より高くつくこともあります。
私は中学時代にギターを始めて、のちにギターの修理や調整、そして改造などに手を染めていったのですが、その後多少のブランクがあったものの(社会人になってからしばらく貧乏だったもので)、修理修復は数をこなすうちにコツがつかめてくるのですね。破損や亀裂に至るまでの状況がわかるようになります。多くは保管状態が悪いことやふとした不注意がほとんどです。意外に多いのが「使った後に弦を緩めない」ことです。鶴田思うに「弦楽器を壊すのは弦」なのです。たまには自分の楽器もショップや工房に診てもらいましょうね。楽器に愛情を .... 。
さぁ、はじまりはじまり..........