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■ フレットのレベル調整
● このキットの場合は指板にフレットが打たれているので、そのまま使うこともできますし、入門者の皆さんはそうしていただいて結構です。しかしながらよ〜〜〜〜っく御覧いただくとわかるのですがこのフレットは部分的にゆがんでいるのです。まあ、これでもいいんです、ウクレレはこれでいいんです........今回の鶴田はひと味違いまして、やはり修正することにしました。本来はネックに接着してボディ全体と組み上がった最後にやるのですが諸般の事情でいまのうちにやっときます(どんな事情じゃ?)。
御覧のとおりフレットのレベラー(たんなるスチール製の角パイプ)に両面テープで800番程度の紙ヤスリを貼り付けてゆっくりスライドさせてやります。そうすれば全てのフレットの高さが揃うというしくみです。但し、この調整作業は油断すると片減りしたりかえってアンバランスに仕上がってしまうことがあるので慎重に行わねばなりません。
間違っても修正のつもりが修正の修正を招き、やがてフレットレスになってしまわないように注意されたし(笑)。
■ フレット研磨
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市販の楽器でもフレットの処理のマズイものは少なくありません。逆にいえば安い量産ギターやウクレレであってもフレット調整を自分でやるとだいぶ演奏時の操作感が向上します。
用意するものは紙ヤスリ各種、できれば細い精密ヤスリや調整用プレートもあれば便利です。要は、指でフレットの端部を触れてみてガサガサとひっかかるような感触であるとマズイわけでありまして、それをなめらかにこすってやるだけです。精密ヤスリでおおまかなカドを落とし、あとはサンドペーパーの#240、#400、#1200 程度で削り最後はマイクロメッシュの#6000で磨きます(ピカピカになる)。忍耐力が試されます.......。
で...... 処理後の端部は御覧のようになります、比較すればわかるとおりだいぶ丸っこくなります。
でまあ、欲をいうならば(毎回そういってますが)フレット端部には指板の溝がありまして、御覧のようにパテなどで埋めてやればなおヨロシイというわけです。さきのフレット研磨作業もそうですが、なんたってフレットの数はたくさんあるわけでして、こういった作業はなかなか入門者のみなさんには理解していただけないこまめな作業に見えるかもしれません。でも、修理や製作とはこういった地道な努力を惜しまないことで弾きやすく外観も美しい楽器になってゆくのだと鶴田は信じて作業しているのです.......。
■ 指板の染めのすけ染め作業
● まぁ〜〜〜〜〜〜〜た鶴田は余計なことというか遠回りをするもんだと思われるかもしれませんが、「止めてくれるなおっかさん! 男には意地ってもんがあるんでぃ〜〜〜〜〜っ! ヒ〜〜〜〜!!」.........というわけでほっといてください。勝手にやりますんで(笑)。
もちろん初心者のみなさんは読み飛ばしたほうがいいですぞ! そいうしないとあとで厄介な問題が発生するのです(理由:ネックとの接着後に削って幅を揃えるときに染めた部分も削り落としてしまい、そのネックと指板の境目を染めるのは困難であるため)。
木材の染めや塗色の方法にはたくさんの手段・技法がありますが、もし皆さんが手軽に染めたいのであれば「油性のマジックペン」でもかまいません。あるいは墨汁か墨を使っても良いでしょう。コツは塗りながら布で拭き取っていくことです。どんな塗料・墨汁にも添加物もしくはニカワのような成分が含まれるため、そのまま塗って乾かすとまだらの層ができやすいのです。
私はヘマチン、木酢酸鉄溶液、重クロム酸カリによる三度黒で染めます。どうです、とても赤茶けたパドックには見えないでしょう(笑)。
ちなみにウクレレとは話が逸れますが19世紀のギターや20世紀初頭のギターでもペア(洋ナシ)やメイプルやプラム、バスウッド、アップルなどを染める方法は広く行われていました。
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