|
■ キットに入ってたブリッジパーツ見なかった?
● 無くしちゃいましたよ、ブリッジ。あの夏の日、橋の上から捨てた麦わら帽子ですよ.......(違うね)。ともあれ探したけれど見あたらず困ってシマウマ。いろんな楽器も同時に製作しているので工房内は戦争状態にあり、ちょっと油断すると別の楽器のブリッジになっていたりします(笑)。でもキットのブリッジはパドックだから色が目立つもんね........。
【参考】
のみのみMLからの情報によりますと、パドックは天日にさらしておくと枯れたイイ色に変色するのだそうです。約1週間陽にさらしたパドックのブリッジを見せてもらいましたが、だいぶ茶色に枯れていい雰囲気です。興味のある方はお試しあれ。
● さて、伝統的なウクレレのブリッジはサイズや高さは多少異なるものの、長方形に溝を切っただけという簡素なものがキホンです。クラシックギター風のブリッジをウクレレに付けた例やピン付きのアコースティックギター風のブリッジも見かけることはありますがティプレみたいに見えますので私は個人的には伝統的な手抜き? ブリッジが好きです。作るのもカンタンそうだし(笑)。
そうです、ブリッジを無くしたら作ればよろしい! というわけで心気一転、作りましょう。
今回は手元にストックのある材料のなかからローズウッドとシャムガキで作ってみることにしました。いくつか作っておけばまた別のウクレレを作るときにも使えるので一度にいくつも作ります(手間は同じだ)。ちなみにシャムガキのほうは鶴田オリジナルモデルのウクレレ用です。
こうやって寸法をきめてルーターで溝を切ります。ブリッジは小さなパーツなのでそのままでは作業が危険です。両面粘着テープで大きな板に固定して作業すれば便利で安全です。
じつはブリッジにサドルを付けて、オクターブピッチが正確にとれるように、だいぶ幅の広いサドルにすることに決めました(そう、勝手にワタシがそう決めたノダ)。細いサドルの溝は一発でルータで掘れますが幅の広い溝は数回に分けて掘ります。
このときルータは正確に直線運動させるためにさきの鉄角材をガイドとして両面粘着テープで固定しておき、それに沿ってルータガイドを滑らします。ブリッジの高さは指板の高さよりやや高めにしておき、あとで現状と照らし合わせて調整し、最後はサドルでアジャストするのです。
この平行が確保できて溝が彫れたら、今度は鉄角材に定規などの板を貼り付けて厚みを増してから同様に溝を彫れば幅が広くなるというワケです。溝が彫れたらあとはノコギリで4つの弦を留めておくための溝を切るだけ(弦の間隔は一般的には約11mm〜14mm)で完成です ........................ が、
●
さあ、どうせ作るならスクゥエアなブリッジもじゃタイクツだから、ちょっと面倒だけどピラミッドブリッジにしましょう。 えっ!? さっき鶴田自身が「作るのがカンタンそうだ」って言ったじゃないの? どぉ〜〜〜〜して、そう遠回りしたがるのかなぁ? この人は......。
そういうわけでちょちょいとピラミッドにしてみました。裏側はスクレーパで多少へこむように削っておきます、そうすれば接着剤がよくかみ合うのです。
■ ブリッジを表面板へ接着
● ブリッジを表面板に接着します。ブリッジの位置決めですが、このキットの指板のフレッチングを計ると、おおむね 348mm〜350mm 程度の弦長を想定しているようです。例によってTSULTRA FRET CGI で計算してみましたが、まあ、サドル幅の保険もかけてあるので比較的気軽に位置決め作業するワタシです。
気を付ける点は.....1弦と4弦の位置です。指板からはみ出さないように御注意あれ。
マスキング・テープで位置を決めます。そしてスクレーパを使って塗装をはがします。剥離剤(液体)を使っても良いでしょう。いすれにせよ慎重に作業します。
あとはニカワで接着します。が、その前にやっておくべきコトがあります。ローズウッドでブリッジを作りましたが、ノコを挽いてすぐに「脂が多いなぁ...」と気付いていまして、ここで「油抜き」をするわけです。「油抜き」についてはすでに説明しましたね。こんなに小さいパーツなのにかなりの量のアブラが出ます....。
というわけでニカワ(ヨーロッパの野ウサギの骨と皮からなるニカワ)で接着しました。押さえなくてもいいのですが、一例としてこんなことも....。クランプの力をかけすぎると一瞬にして今までの苦労が水の泡という身も凍る涼しいショットでした(笑)。ブリッジ用のU字型クランプも売ってますからそのほうがいいですね。
ネックは参考までに一緒に撮影しただけです、とくに意味はありません。さきほど弦長を計算してブリッジ位置を計算したのは仮組状態であって接着していたワケではないのです。
■ 目次に戻る