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■ 4. 図面作図または入手 買うか描くか?
さあ、準備はこれくらいにしていよいよ作業開始です。
ギターの図面は海外(博物館や大学など)から輸入することもできますし、オリジナルのラコートなどの図面も海外から入手可能です。過去の製作家達が修復の際に採寸したり、あるいは博物館で面倒な許諾を得て採寸し、かなりの時間と労力をかけて考証・作図し、おかげで今に受け継がれているのですから違法コピーではなくちゃんと買いましょうね。そうすることが今後の図面の提供にもつながると思うのです、はい。
今回は私は自分で作図していますが、図面を描くには手書きの場合と最初からパソコン(あるいは製図ソフト)で描く場合、そして手書きとパソコンを組み合わせる場合とがあります。私はMacintoshというコンピュータとAdobeイラストレータというソフトウエアで作図しています。Windows を使わない理由は「画面表示と出力の縦横比の関係が不一致」、「とにかくバグやウイルスだらけ」、「Winデータは出力センターがイヤがる」などの理由からです。
まず、パソコンが無くてもすむように手書きで作図する方法を紹介します。普通のサイズのギターであればA0サイズの模造紙に等倍で書けますからまずは模造紙かトレース紙を用意します。そしてもし現物の楽器が有ればそこに置いて輪郭を鉛筆でなぞりノギスで測って寸法を測ればいいですし、なければ写真や挿し絵を定規で測って等倍まで寸法を換算しながら書いていきます。え?たいへんそうだって? そうです、こうして先人たちは苦労して図面を描いてきたのであります。鶴田もまた先人たちに続くのであります、但しワタシは今後はMacintoshを使って楽をさせていただきますけど(それでもたいへんなのだぁ...)。
さあ、描けたらコピーをとっておきましょう。せっかく苦労して描いても汚したり紛失しては苦労も水の泡。製作中はあれこれ計ったりするのにコピーか青焼きを切り抜いて使うことがあるのです。大判コピーは私の場合は東京都内ですと「青山ブックセンター」各本支店や「レモン画翠」などを利用しますがコピー料金は結構高いのでたくさん必要なら「青焼き」にしましょう。青焼きならA1版でも1枚につき150円ぐらいです。ちなみに青焼きを作成するにはいったんトレース紙に印刷(コピー:第二原図)しなければなりません。私の場合はA0の模造紙サイズだと高価なので最近はなるべくA1サイズにとどめています。当クレーンホームページで配布している楽器の図面をA1にしたのはA0のコピーや印刷は世界中を見渡しても取り扱い店が限られるからです。青焼きを前提とするなら最初からトレース紙に書いていってもかまいません。
さて、次はパソコンで作図する方法を紹介します。上記のように手書き図面とそのコピーでも充分実用に耐えるのですが、手直しの手間や印刷品質のことを考えるとやはりパソコンは便利です。上記の手描き図面をA4まで縮小コピーします。次にイラストレータにスキャナで取り込んで下絵にし、その輪郭のパスを取っていけばデジタル図面を作成できるというわけです。
場合によってはディジタルカメラで撮影した楽器の写真を下絵として配置し、それをトレースすることでペーパレスで作業することも可能となります。寸法や文字を記入する場合はあとで「アウトライン化」しておいたほうがいいです。出力センター(ショップ)ではTrueTypeフォントは使えません、代表的なポストスクリプトフォント(マティス、ロダン、新ゴ、B太ゴ、スーラなど)を持っていればアウトライン化しなくてもかまいません。ほかには細明朝体や中ゴシックが使えますし、英語フォントならHelvetica、Times、Courierが使えます。鶴田はPSフォントを持っていないので英文字記号は個人的に好きなフォントであるChicagoを使い、和文はOsakaを使いますが最終的にはアウトライン化して出力依頼しています。
もしトンボを付けるのであればオブジェクトのトンボ作成ではなくフィルターの「トリムマーク」でつけねばなりません(コレ業界の常識ね)。なお出力解像度の設定は場合にもよりますが白黒レーザプリンタか大型出力が一般的なので600dpiにしておけばいいでしょう。参考までに用紙サイズは以下のように決められています(但し海外では規格が異なるのが普通です)。完成したデータはフロッピーディスクかMOディスクで受け渡しを行いますがMOは640とかではなく230MB(もちMacフォーマット)が標準的に使われていますのでそうしたほうが無難です。アメリカだとZipが業界標準です。
A0(いわゆる模造紙サイズ)
幅841mm × 1189mm
A1
幅594mm × 長さ841mm
A2
幅420mm × 長さ594mm
A3
幅297mm × 長さ420mm
A4
幅210mm × 長さ297mm
えっ?Macintoshでなきゃダメなのかって? いえいえ以下のようにWindows版のイラストレータでも作図可能ですし出力ショップによってはWindowsのデータでも対応してくれることがあります。じつは今回のホームページのためにいちおうWindowsを使って作図を試してみたのですが、なぜかモニタで描いたときと印刷図面とは縦横比が異なるのです(ちゃんと寸法は数値で入力したのにぃ....??)。あ、それから出力ショップによってはMacintosh以外は取り扱わないというところもありますから前もって電話等で確認してみましょう。作図画面と出力結果を確認できればWindows でも使えないことはないでしょう。
さあ、そんなかんだで図面を購入するか自分で描くか、もしくは当ホームページからダウンロードして準備してください。ゼロから作るのなら自分で描きたいところですが、ものすごく時間と体力がいりますからみなさんは無理することもありません....ワタシは無理するけど....。
● 今回作成するラコート鶴田クレーンモデルの図面はこのここからダウンロードできます。データはPDF形式です、これだと美しく印刷できます。但しA1サイズですから大判コピー店などに依頼して印刷(出力)したほうがいいでしょう。PDF形式データはアドビ社の「アクロバットリーダ」というフリーウエア(MacもWinもあります)で開いて表示・印刷することができます。大判サイズの印刷に関しては出力センターで対応しているところもあります、アドビ社のホームページにも出力センターリストがあるはずです。
さあ、図面が準備できたらいよいよ木工作業です、Go!Go!