工程説明ページ


 31. 弾いてもらう/展示する/仲間をつくる

     このムネのトキメキをあなたに/御礼

 

さて、この楽器は1999年10月29日から31日までの3日間に東京都内で開催される弦楽器のフェアに出展しまして一般の皆様にお披露目し、試奏していただきました。ご来場いただいたみなさんありがとうございました、心より御礼申し上げます。

 

【いいわけコーナー】

この展示会初日でちょっと失敗したのが弦の選択でした、じつは1日目は調整用のオーガスチンリーガル(これしかなかった)を張りっぱなしにしたまま出展してしまったことと、午後にサドルが底で折れていてうまく響かなかったことです(じつはサドルもテスト用でした)。これらは2日目と3日目には作りなおして弦も全て張り替えたのでまったく別の楽器のように改善されました。1日目に試奏したみなさんスイマセンでした。結局ギリギリまで作っていました....(笑)。

あと、3日目の後半ぐらいでポジションによってビリつきがあったようですが、どうやらブリッジ内部に留めた弦の結びの部分で切り残しが伸びていてそれがバーに干渉していたようです、当日の朝あわてて弦を張り替えたからでしょう、あせりは禁物ですね。

 

【多かった意見:鶴田の回答】

・ネックが薄く弦高もほどよく弾きやすい。  :今回の楽器はその方向で作りました、感謝です!

・ネックが薄くて弾きにくい(断面が三角に近いほうがいい)。 :次のモデルでそうしますか?

・リュートのような響きを感じる。  :うううう....(相手をイカクしているのではありません、感激のあまり涙が...)

・ツキ板はどうやって貼ったのか?   :ヒ・ミ・ツ

・テンション(弦の張りの強さ)が強いのでは? :それぞれ約5.5kg〜6.5kg程度かかっています。

・テンション(弦の張りの強さ)が弱いのでは? :たぶんクラシックGt系の人にはそう感じます。

・どうやって黒く着色したのか?  :三液の染め液で...........。

・サドルは傾いていていいのか? :いいんです。あとでやっぱり垂直になおしましたが...。

・売ってほしい、注文したい(約7〜8名): ひとまず今回は別のプロの製作家を紹介しました、ははは...。

・いよいよ鶴田さんも楽器作りで生活するんですか?  :いえ、私はスローハンドなのでたぶん無理です。

・寝る暇があるのか? :ありません。

・製作はこれで何本目? :キットやほかにも作ったものが過去に数本ありますがすべて気に入らないので分解しました。そこから部品をとってまた作ったりもしていたのですが、今回のクレーンラコートモデルはそういう意味では完全な自作の1本です。

 

以外と「買いたい」とか「欲しい」という人が多かったのには正直なところ驚きました。私は独学による修行中の製作家なので注文を受けて作るというのはちょっと遠慮したいのですが展示会場では楽器が並んでしまうと国内の製作家も海外の製作家もないのかもしれませんね。来場者にとっては同じ6本の弦を張った楽器として見られるわけですから...。楽器を注文されるとプレッシャーを感じてしまうので現在は注文は受けておりません。私は自由に、作りたい楽器を好き勝手にじ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っくり時間を掛けて作りたいのです。じつは今まで楽器製作のために工具や材料や文献等にお金をかけているのですが、正直いってかなりの金額で、これにはちょっと困っています。機会があれば今後製作する楽器をホームページ上でお譲りしていきます(そうしないと資金的に次の楽器が作れない?)。

思いのほかご好評をいただきありがとうございました。しかし今回の楽器にすべて満足しているわけではありません、まだまだ勉強しなければならないことがたくさんあるのです。

 

 

【プロの御意見】

・テンション(弦の張りの強さ)が弱いのでは?(クラシックギター演奏家が数名)

・テンション(弦の張りの強さ)が強いのでは?(古楽器演奏家が数名)

・すぐコンサートでも使える。 (某左利きギター作曲/演奏家)

 

 

●結局のところ、19世紀ギターというのは現代と古楽のあいだにあるじつに微妙な楽器のような気がします。モダンな(いわゆるいまどきの)クラシックギターを弾いている人とリュートのような古楽器を弾いている人から見るとそれぞれ全く違う感想も多かったわけです。たぶん19世紀ギターに求めるものや楽器のイメージや弾き方、鳴らしかた、あるいは選曲に至るまで両者はまったく別世界なのかもしれません。ああ、奥が深い........。

●それから、たとえお世辞であっても来場者に楽器のいいところを誉めてもらえるというのはめちゃくちゃ嬉しいものです。単純に喜んでしまう鶴田でありました。国内では自作楽器を展示するというような催しはさほど多くないのですが。しかし近年になって全国各地でギター製作の愛好家グループなどによって展示会や製作サークル、あるいは製作講習会や試奏会などが催されるようになり、じつに喜ばしいことです。日本はまだ気軽に楽器作りを楽しむという環境が整っておらず、アメリカと違ってお店や団体も少ないので楽器製作途上国?といえるかもしれません。しかしそれでも、当クレーンホームページが弦楽器製作を楽しむ方々のお役にたてれば幸いと考えております。

(注:この記事を公開した当時の感想です)

 

●次にまたギターを作るなら今回とは方向の違うものにしてみたいです。今回の経験を活かして気長にマイペースでがんばります。

 

 

【御礼】

楽器作りでは様々な製作家の方々に参考となる話やアイディアをいただきました。このコーナーの中でギター製作は基本的に私は独学であると書きましたが、実際には今まで多くの製作家や演奏家あるいは愛好家のみなさんとのふれ合いの中から製作のヒントを得ていることもあるわけです。19世紀ギターのオリジナルの楽器をたくさん見せていただいた多くの楽器店や愛好家の皆様にも御礼申し上げます、ありがとうございました。

 

 

 


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