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■ タイプの検討:その2
外見はなんとなく造形できてもその内部構造や使われている素材の選定については頭が痛いところです。バーの配置や細部の仕様の決定にあたっては可能な限りの図面を集めたり文献を整理しつつリュート製作の作法に基づいて同時代の楽器を参考にしながら考証していきます。今までに残されている文献のなかには最近になって誤りが発見されるものも多くあるようで、なかなか難しい問題です。19世紀や20世紀になって作られたリュートのなかには昔に存在しなかったスタイルのものもたくさん見かけます。古楽器製作の場合は例えば「このペグの形状のほうがカッコイイから」という理由で時代の違う形状のペグをちぐはぐに使ってはイケナイことになっています。あくまで歴史的に検証された正しい楽器の再現を原則とする....このへんがモダンな楽器作りとは異なるスタンスといえます。
以下の絵画はよく知られていますがペグのツマミ部分がハート型であることに気付くでしょう。当時のこのタイプの楽器によく見られた形状です。
さて、現代のリュート製作家(プロ/アマチュアといった区別をすることはナンセンス)たちと仲良くしておくことも重要です、なかには変わった人もいますが....(笑)。謙虚なキモチで教えてもらうというのはどのような世界でも同じです。