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■ 3. 材料の手配 銘木店か個人輸入か?
さて、リュート製作に使う木材ですが、さきの各部名称とそこに使われる木材と寸法をメモしておきます。果樹は日本国内ではレアウッド扱いですが海外ではポピュラーな木材で、たいていのお店で扱っています。インチとセンチメートルの換算とオーダーさえしっかりやればそう難しくはありません。ネックやペグボックスの材料も同様です。
問題になるのがペグの加工とリブ材料の入手です。ペグやブリッジにペアを使うのであれば通販で万年筆の材料として取り寄せることができます(以下の写真はペン用のペア角材:アメリカではアマチュアのペン作りが盛んなのだ)。
えっ? 木工旋盤が無いからこけし職人になれないと? う〜〜ん、プロを目指すのであれば木工旋盤は必須の作業ですが装置と切削刃物にかかる費用はかかります。海外のペグメーカーでヴァイオリンのペグと同様に製作してくれるところもあるようですがもちろんそれなりの料金がかかります。それならいっそヴァイオリンのペグを削るなりして流用できないのか?.... しかしリュートでは使われない材料がほとんどです。ペグリーマやペグシェーパはヴァイオリンのものが使えますが。ヴァイオリンペグの流用はあくまで最後の手段と考えてください(ホビーとわりきって作るということなら)。今回私の場合は1本づつ木工旋盤で削って作ります。
リブについてはその薄さが問題となります。イチイやメイプルの場合は1.4〜1.6mm程度(楽器のタイプにもよる)、黒檀の場合は1.2mm程度の薄板を準備せねばならないのです。プロの製作家は丸ノコ台で1枚づつスライスしてこれを使っていますが個人で小規模に製作する場合は工具や作業環境(騒音やホコリ)の点からみて困難です。 電動工具は危険が伴いますから初心者は敬遠したいところです。木工をやっている知人やお店の職人さんと相談してみてください.....。メイプルやイチイといった木材は銘木店やD.I.Yショップで入手が可能ですが運がよければ2mmか3mmぐらいで薄く加工してもらえることもあります(あとで1.5mmぐらいまで自分で削る)。たいていは「ノコ刃の厚さでほとんど残らないから木がもったいない」とか「工作機械は3mmが限界」といわれるかもしれませんが。
私の場合はリブ材は知り合いに丸ノコ台で挽いてもらったこともありますし、D.I.Yショップで頼み込んで加工してもらったこともあります。
リブは海外のお店でも薄く加工するのはイヤがられます、ましてやリブに番号を書き込んでくれとか真っ黒い極上黒檀でなきゃというような注文はゼッタイしてはいけません、迷惑がられます。やはり上記のお店の理由とほぼ同じ理由のようです。
方法のひとつとしてヴィオラやチェロの側面板を流用するというものです。ヴァイオリンまたはヴィオラ、もしくはチェロの側面板は厚さとしては手頃ですので流用することが可能です。長さと幅はヴァイオリン用だとマンドリーノかオクターブリュートが限界でしょう。ビオラ用材ならディスキャントリュートが作れると思います。なお、リュート用にリブ材料を手配する場合は前もってリブの枚数や1枚の最大幅を確認しておく(計算しておく)べきです、また、テールのキャップもちゃんと枚数に含めておかないと最後にあせってしまいます。チェロ側面板用の材料はかなり大きくて幅も7cmぐらいですからたいていの大型リュートも製作可能です。但し、木目が揃わない可能性があってそれが問題になりますが国内でも容易に入手可能というメリットはあります(丸一商店など)。加工済みの木材はそれなりに高価ですが、たぶんビギナーにはこれが最も安全で早い方法でしょう...。ちなみに私はチェロの側面板を9枚ほど注文(普通は3枚一組)したのですが運良く木目は9枚とも連続していました。
以下の写真はヴァイオリン用の側面板からリブを切り出して曲げてみた例。
・さて、新情報を追加します。
大和マーク(株)さんでは特注で黒檀(但し縞黒檀)の薄い板などを加工・販売していただけます。私は以前リュートとバロックギター用に700mm×35mm×1.2mmのサイズでリブを加工してもらったことがあります。海外よりも格安で、しかもかなり精度の高い加工です(ロゼッタメーカーですしね)。ちなみに、19世紀ギターやバロック末期〜18世紀のマンドリンに見られるバーフレットも依頼しようと思ったのですが象牙は不可です。そこで骨を110mm×1.5mm×5mmのサイズで加工してもらったこともあります。
加工機械の仕様で幅35mmを超える加工は困難だそうです。あと、特注になりますからあるていどまとまった数量を注文するのがマナーであります。お問い合わせは当クレーンホームページのリンク集から大和マーク(株)さんのホームページを御覧ください。
【備考】
さきの「ギター製作ちょ〜入門」でも書いていますが、ほんらい木材は「楽器用」として栽培されているわけではないため、注文しても好みに合わない木目が届いたりするものです。お店でもなるべくいいものを仕入れようという努力はしていますが決してクレームをつけたり、あるいは無理な注文をしてはいけません。手元の材料を上手に使う余裕と自然に対する畏敬と感謝のキモチを忘れず大切に使いましょう。
東京都内ではJR京葉線の新木場の駅前に「もくもく」というお店があります、プロの製作家も御用達。有料でおおまかな裁断(1カット50円〜100円ぐらい)もやってくれますし宅急便での配送も可能だそうです。種類も豊富で特価セールや珍しい木材も販売していたりしますので最寄りの方もそうでない方も一度は足を運んでみてはどうでしょうか。
● もくもく 〒136-0082 東京都江東区新木場1-4-7 TEL:03-3522-0069 年中無休、駐車場有り。営業時間10:00〜18:00
それから、ギター製作でも案内していますが、ここでも接着剤を紹介しておきます。例によってタイトボンドとニカワです。リュートの場合もこれらの接着剤は部位ごとに使い分けて製作します。
タイトボンドは木工店にはたいてい置いてありますし、ニカワはD.I.Yショップや画材店で「三千本ニカワ」や粒ニカワなんてのがあります。できれば楽器用に粉砕したニカワが海外で売られていますからそれを使うのもオススメです。小瓶に入れて同量の水を入れ数時間たってふやけたら80度前後で加熱したのち上澄を除去して40度〜50度程度で湯煎して使います。詳しいことは「弦楽器製作工具コーナー」にもTSULTRA Glue Pot を紹介していますので参考にしてください。ニカワの種類や粘度によって加熱温度は若干異なるようです。私はニカワで接着する場合は接着面はきれいに拭いて乾かしておきます。あと、ブリッジ接着時はニカワを塗る前にブリッジ材の接着面を加熱しておきます。ベンディングアイロンを併用しています。
ニカワははじめて使う人にとってはちょっと面倒で扱いづらいかもしれませんが乾くと信じられないぐらいカチカチに硬化・収縮・密着し、しかも修理は加熱すればOKということで楽器の接着剤としては理想的なものです。
※ 写真ではガラスの瓶ですが、ニカワが乾燥して収縮すると割れる恐れがあるのでステンレス容器を使う方がいいです。
ようするにビギナーで手軽に楽器を作るには国内のお店でたいていは揃えることが可能ということで、費用は要検討といったところ...。樹種によっては海外も利用するのも良しと。