工程説明ページ


 バーの切り出しと接着   木目と長さと高さ

 

え〜〜〜、初版のマンドリーノの図面ではちょっと修正個所がありまして、まず、Jバーの位置ですがこの図面でいう右端(リブ)に接するようにしてください。あと、バーの高さはやや低めでもいいでしょう、全体的に太い線で描いているのでやたら太く見えます......。図面もこのホームページも折りをみてヴァージョンアップしていきますので...。図面に書かれているのは当時のマンドリーノの図面をもとにあれこれ考証しながら描いたものです、実際の博物館の楽器は採寸したり写真が撮れても中味までは見れないのが普通ですからこのへんはお勉強が必要となります。ドイツのGerhard SoehneさんはリュートをX線撮影して図面を描いておられるので非常に現物に忠実なものとなっているようです。こういった分野にも科学技術を注力したいものです。

 

 

さあ、バーの切り出しと接着を行います。長さと幅を確認して5mm程度の板にけがいていきます。厚さはあとでカンナにて調整します。いまのうちに解説しておきますが、モダンなギターと異なりリュートのバーの木目は表面板に並行になるようにします(次図を参照)。

 

 

さあ、さっそくバーとなるスプルース材を切り出しましょう。こういうときに糸のこ台は便利です、あっというまに切り出し完了。

 

 

そうそう、ロゼッタの裏に貼るマッチ棒くらいの細いバーも準備しますが、これは表面板の端材で充分、資源の活用も忘れずに。

 

 

普通は表面板にバーを接着してからスカロップをつけますが、今回はさいしょにおおむねのスカロップをつけて、そのあと接着することにします。今回はこのような刃の広いノミを使ったのでサクサクと作業できました。ノミや小刀でもいいでしょう。図面ピッタリの長さではなく長めに作っておいてあとで調整していきます。

 

 

だいたい並べてみます。厚さと長さも調整していきましょう。バーの長さは表面板の最大幅の部分で左右に2mmぐらいづつ長めにし、他のバーもやや幅が広くなるようにします。これをボディにギュウギュウ押し込んで接着することで表面板を反らせることができ、演奏時の右手のクリアランスが確保できるのです。台所のボウルをガバッと両手で広げてみればおわかりいただけるでしょう。

 

位置は図面を参考に...。

(注:Jバーはリブに接するように作ってください)

 

 

さきに解説しているようにロゼッタは1mmの厚さまで薄くしてあるので周囲の表面板よりくぼんでいることになります。ここに細いバーを密着させるにはバー自体をそれに合った形状に削るなどの方法をとらねばなりません。

 

 

デザインナイフで丹念に切削し、表面板にあてがいながら具合をみます。ちょっと面倒です。

 

 

さて、接着前に作業時のトラブルを避けるため保護厚紙を準備します。この厚紙を表面板に紙テープで貼り付けておいて以降の作業を行います。ロゼッタや表面板に傷を付けないための工夫です。今回私は用心深く作業していることがおわかりいただけるでしょう。

 

 

ボディを表面板に合わせてみます。バーの位置に軽くエンピツでマークを。

 

バーとリブとの接触部は単純な平面ではないので確実に接着するようにノミで合わせます。

 

 

はい、こちらはネック側です。やや丸く、しかも斜めに削っているのがおわかりいただけるでしょうか?

 

 

それから、指板と表面板の接続部分の微調整を行います。スチールガイドのついた定規をあててデザインナイフでまっすぐに切断します。このとき90度ピッタリよりほんのわずかに傾けて切れば接続の境目をきれいに合わせることができます。木工に限らずこのようにわずかな角度の切りだしと接着という工夫で仕上がりを美しく密着させて仕上げることができるのです。

 

 

バーと表面板を濡らして絞ったタオルで拭いてきれいにしておき、ニカワで接着します。バーは接着前に温めておいたほうがモアベタね(死語)。私はベンディングアイロンで温めながら接着します。

 

重要なバーはこうやってクランプをかけてしっかり接着します。長時間待たなくてもニカワが乾きはじめればばすぐにクランプは外してもかまいません。

 

 

さて、ニカワが乾く時間のあいまにJビーフ.....いや、Jバーとその他モロモロのパーツを準備しておきます。Jバーは以下のように棒で押さえながら曲げるといいでしょう。

 

ノミとデザインナイフを使って成形します。

 

だいたいのバーが接着できました。

 

ロゼッタ裏のバーは密着していますか? あ、それからロゼッタ模様を印刷してある紙は剥がさずそのままにしておくんですよ〜〜。

 

ロゼッタ上の長いバーはもちょい細くてもよかったかな?

 

 

あとで各バーの先端部を削りますが、バーの高さは同じではないことを覚えておきましょう。

 

 

表面板とボディを接着したあとにブリッジを接着する方法もあるのですが、私はさきにブリッジをクランプして表面板に接着する方法をとるのでブリッジ周辺のこまごましたバーのたぐいの接着についてはこのあとにひきつづき説明します。

 

 

 

 

 


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