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 ヘッドの装飾  今回は素朴に

 

装飾といっても今回は獣骨でヘッド突起部の四角い辺を囲むというじつにシンプルなものです。現在残されているオリジナルの楽器にはふんだんに象牙が使用されていることが多いのですが、現在ワシントン条約により象牙の輸入は制限されています。従ってそれに代わる材料を検討せねばならないわけです。印鑑の端材はまれに雑貨店に販売されていたりしますがどれも小さなものですからリブのスペーサのような長い象牙は入手不可能と考えたほうがよさそうです。近代に作られた楽器のなかには象牙をメイプルで置き換えて製作されたものも多いようですし動物保護の意味ではメイプルで置き換えたほうがいいでしょう。ともあれ骨棒であれば容易に入手できますので今回はギター用に販売されているサドル材を切り出して加工することにします。

装飾ではサイズの小さい材料を加工することになるわけですから切削や彫り込みが難しくなります。可能なかぎり治具を使って切削角度は正確に保つべきです、小さくてもわずかな隙間は非常に目立つものです。ここではまず定規をガイドとして細い角棒を切り出します。厚さと幅は約2mmです。材料が堅いので細目の刃を使い、送りは信じられないぐらいゆっくりと行います。切断ラインが曲がるのは無理に送って糸のこの刃が斜めになるからです、とにかくゆっくり送るのがコツです。慣れないとガリガリッと跳ねて危険ですから手ノコでもいいかもしれませんよ。

 

木片を加工台代わりに使っています。さいしょに木片に45度の切り込みを入れておいてから骨棒をそこに置いて手ノコでカットします。このとき使うのは宝飾用のさらに目のこまかい刃です。そのうちインレイや装飾のための専用治具を自作しようかと考えています。目測やカンに頼るとたいていは組みあげるときにズレや隙間ができてしまいます。

 

 

あらかじめ正確にカットできれば手直しもほとんど不要です....と言いながら精密ヤスリが写っているではないか!? 何コレ? 私は誰? ここはドコモ?

 

あとは仮組みを行います。ノミでヘッド(ペグボックス)の先端部のサイズを調整して、そこにあてがってみます。ここも慎重に作業します。箱根の組木細工の職人ワザのみせどころ.....(いつから箱根の職人になったんぢゃ?)

 

サイズがピッタリ合ったら木肌の露出した部分を染め直します。けっこう内部まで染液が浸透しているのがわかるでしょう。あとは接着して微調整ののち、加工はオシマイです。

 

 

さあ、どんどん先へいきますよ。そろそろ半ばを越えていると思いますので!

 

 


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