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 フィンガーボード・ポイントの仕上げ  接合面注意報

 

フィンガーボード・ポイントの接着・仕上げ作業がのこっていましたね。ネックとヘッド(ペグボックス)もまだ接着していませんが現在までの状況は以下の写真のようになっているはずです。

 

さあ、まいりましょう。ビンディングはこの部分の切り落とす角度に注意してください。デザインナイフでサクッと。

 

 

木目方向に添って切り込むのは以外と難しいです、ついつい目につられてしまいます。ここもわずかに傾斜をつけることで完全に密着させて仕上げることが可能となります。

 

サンドペーパは3M社などから出ているもので目の詰まりにくいものを常備しておきましょう。これは320番かな。

 

このカーブした部分もわずかに傾斜させて削ります、ここはデザインナイフではなく丸刀のほうがなめらかに処理できます。ときどきあてがってみて微調整を繰り返します。

 

こういうのは私のバヤイはじ〜〜〜〜っくり気長にやります。このフィンガーボード・ポイントの作業だけで1日かかってしまうほど、あれこれ考えながらのんびりやってます。

 

 

納得いくまで微調整を繰り返し、ようやく接着にこぎつけました。あとは指板の両脇をサンドペーパでならしてオシマイ(つまりエッジを落とす)です。ピッタリ納まりましたか?

 

 

 

フィンガーボード・ポイントの形状についてですが、バロック後期のマンドリーノの指板にはこのようなリュートスタイルのものだけではなくじつに様々な形状で表面板と接続されているものが多く存在します。

 


いちおう指板とネックの加工は以上で終えたことにするのですが、後期のマンドリーノでは装飾されたものを多くみかけます(まあ、広く弾かれた楽器はシンプルな仕様のものも多かったとは思いますが)。以下に指板の両側に装飾用のビンディングをつける作業手順を紹介しておきます。本来は象牙で行いますが今回長い材料(骨も含めて)手元にありませんのでひとまず黒い黒檀を代用して説明します、この記事を書いていて長い獣骨をようやく入手しましたのでいずれは骨に入れ替えようと思います。

 

スチールパネルのガイドがついた定規で指板の表面の端を約1.6mm幅にカットします。この幅はさきのハーフビンディングがフィンガーボード・ポイントに接する部分の幅です。

 

次にネックの側面をビンディングカッターで切り込みます。ネックはラウンドしているためこの切り込み角度は微妙で難しいのです。

 

デザインナイフとノミを併用して切りクズを除去します。

 

はいここで長い象牙...じゃなくてピンチヒッターの黒檀君の登場です。これを象牙か骨棒と思ってください。まずは長さを揃えて2本切ります。

 

接着は片方づつ行いますがクランプをかけやすいようにもう片方もあてがっておきます。あとで骨棒と交換しやすようにニカワで接着しています。片方が乾いたら交代して同様に接着します。

 

接着剤が乾いたあとはカンナで指板と面を揃えます。骨や象牙もカンナで削ることは可能ですが刃を傷めやすいので最初になるべく近いサイズの棒材にしておいたほうがいいでしょう。

 

側面にミニカンナ(改)をかけているところです。ちなみにネックを多少削りすぎても染め直してきれいにすることができます。装飾用の棒材の長さはこのようにナットからボディに達するものと、フィンガーボード・ポイントの継ぎ目までにとどめておく場合とがあります。

 

ミニカンナの及ばない部分はノミで仕上げます。製作全般にわたってノミを頻繁に使うことにお気付きでしょう。これは安価な平ノミですが非常によく切れます。ちゃんと研げばそれに応えてくれるのです。

さあ、最後は指板のエッジをサンドペーパーで落としてオシマイです。

 

まあ、いずれは骨棒や貝などを使ったインレイアートワークについても当ページで紹介していく予定です。じつは私はこういったこまかい作業が大好きだったりします。

 

 

 


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