Concept-8 製作過程 その6
LastUpdateThursday, 04-Apr-2019 23:04:15 JST 
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- My original concept model -
Made by Makoto Tsuruda in 2019.


2019年4月1日公開:最新更新日Thursday, 04-Apr-2019 23:04:15 JST


 

CRANE コンセプトモデル 2019
  前回(その5)に引き続き第六弾です。

 

【その6】


前回はネックの作業の途中まで紹介しましたが、今日はついにネック部分が完成します!
ちなみに、他の製作家とは手順が違うところもありますが、鶴田独自のものなので気にせず御覧あれ。

残りのフレットをローポジションから打っていきます。フレットの打ち込みは端を叩くと反対側が跳ね上がるのでフレット幅の2/5位置ぐらいから叩き始めます。
フレット山の表面を傷付けず、へこませず、用心しながらどんどん打ちます。
音がパン!パン!と工房内に大きな音で響きます。工房は防音仕様なので夜中2時でもこうやって気兼ねなく作業できます。キッチンテーブル ルシアーの時代とは大違い。以前は夜はまったくというほど作業ができずに苦労してたたなぁ .... (遠い目)。
打撃音対策に耳栓をしたいのですが、目と耳で完全に溝に収まったのかを判別するので、1本打つごとにイヤホン/ヘッドホンを耳に掛けたり外したりと忙しいのであります。

 

 

ネックの左右をサンダーで落としたのち ... ここでも仕様変更します。
弦落ちしにくいように、このモデルでは特別仕様。フレット両端を90度で切り落とします。
両端のバリ取りとなめらか仕上げにやたらと手間がかかります。
指板材は約40年ぐらい前のもので充分乾いています。将来的にも縮まないことを願いつつ ....

 

クラシックギターの一般的なイメージとして「ネックが太い」なんて言われることがありますな。
たしかに現代のアコギや19世紀ギターやバロックギターなどと比べるとクラシックギターは太く見えます。
今回は手の小さい人や初心者でも押さえやすいようにアコギ幅とほぼ同じネック幅で作っていますが、フレット両端を90度垂直にしたので有効指板幅が広くなります。ほんのちょっとの違いではありますが ...
弾きやすさはエッジを斜めに落としたほうが良いとされているものの、弦の間隔や奏者の手の大きさ、弾弦フォーム、爪の長さに至るまで十人十色。そういう意味では調整の余地を残しておくことにもなります。
ネックの断面も今回のモデルでは伝統的なものと違って丸みをつけて作っています。このあたりの製作上のバランスや選択肢は星の数ほどあるのです(#でも、ホントに上手な奏者はどんな楽器でも上手に鳴らすのよ .... )。

 

小刀でヒールからヘッドにかけて最終的なシェイプを整えます。サンディングしたのち塗装の準備。

塗装の下地は砥の粉やサーフェイサーやシーラーを使う方法もあり、そのほうが作業は早いのです。しかし今回は紙ヤスリでサンディングしたのちオイル下地を塗って乾かし、またサンディング、を数回行って導管がわずかに残るように仕上げます。セミオーポンボアといったところですな。
最初の下地処理は表面の凹凸や傷などを見るためのもので、必要に応じて部分的に削り直したり修正します。オイル塗料を塗って乾かしながらの作業なので下地作りだけでも数日かかります。安易に厚く塗って磨いて仕上げると安い家具のように見えることがありますな。


昼の仕事は依然として超繁忙期が続いています。昼の仕事も夜の仕事も手抜きはしたくないので毎晩ゼーゼー言いながら作っています .....

 

 

ホラ御覧なさい。工程を間違えました。
先に指板をサンディングして塗装を行ってからフレットを打つのですが、フレットを打ち終わったあとにサンディングしていないことに気付きます。
やむおえないのでフレットの間をちょっとづつ時間をかけて、サンディングしては塗装してを繰り返し ...... 時計はもう夜中の3時 .....

 

高音域のフレットは狭いので紙ヤスリを細く切って折りたたんで作業します。
修理では何度もやって慣れている作業ですが、もう眠くて眠くて ....... Zzzzzzzzz .........

 

はい、寝落ちしたその翌日は塗装です。
下準備が大事。しっかりマスキングします。ここでも 3M社の黄色いテープが大活躍。

 

先日、母上からの電話で今回の楽器は沖縄に行くことが判明。

よし、それなら塗装も仕様変更だ。
トップコートはオイルニスやセラックニスをやめてラッカー塗装します。高温多湿や汗に対してもそのほうが丈夫。
雨風に打たれるなら(#屋外ライブ仕様?)家屋の外壁や自動車にも使われている2液性のウレタン塗料ですな。
当初はセラックによるグロッシー(ツヤのある塗装)仕上げの予定でしたが、やはりそこは作りながら仕様を変えるコンセプトシリーズ。
半艶か艶消しに近いぐらいで仕上げるのが好きなので、ここでは半ツヤで仕上げます。
最初はごく薄く吹くのがコツ。この写真は2回目の塗装です。厚くならないように気をつけて、あと2回ほど塗ります。
導管を完全につぶさない程度で止めます。木材の地肌感が少しあったほうがいい。これぐらいが私の好み。

 

 

ネックが仕上がりました。
のちほどヘッドに糸巻き装着用の穴をあけて取り付けたのち、ボディと合体します。

 

 

スプレーラッカーは塗装してから1時間ぐらいでおおむね乾きますが、私は3日間ぐらいはなるべく塗装面に触れないようにしています。
さぁ、ネックは完成。次はボディの後半の作業です(実際には平行して作業しています)。

 

つづきは「その7」にて掲載します。

 

2019年4月1日公開 ( 元号が「平成」から「根性」に決まったそうです! ..... ウソ )

by Makoto Tsuruta, TOKYO JAPAN.
 
  

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