楽器部品の復刻
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洋白バーフレット

バーフレット(洋白 17%ニッケル)1.2mm / 1.0mm  2004年3月完成・公開

あなたの使っているギターやマンドリンのフレットって何でできているか御存知ですか? フレットの素材や寸法にはじつに様々なものがあって少なくとも40種類は下らないでしょう。フレットを交換すると音がぜんぜん変わるって御存知ですか? え? 気づかない?
参考写真1 参考写真2 参考写真3

私はバーフレットの楽器を作るようになってから虜になっていまして、すでにT型断面(キノコ型)はめったに使えないほどバーフレットに惚れ込んでおります。バーフレットの素材は真鍮製や骨や象牙などあれこれ試していますが、今回の製品は「洋白」製です。洋白という金属は銅、ニッケル、亜鉛の合金で一般には「洋銀」とか「ニッケルシルバー」あるいは「ジャーマンシルバー」などと呼ばれています。金属関連業界では通常「洋白」とよび加工性、耐食性に優れています。弦楽器のフレットは金属弦(スチール弦のギターやナイロン弦の低音巻弦)に対する摩耗と噛み具合から微妙なバランスが要求されます(プロレベルの話ですよ)。フレットが硬すぎると弦の摩耗や触感に影響し、逆にフレットが柔らかいと摩耗が早いという点も注目です。今回の製品は19世紀ギターや19世紀マーチン(アーリー・マーチン)のギターやマンドリンなどの修理やコピーモデル製作のために特別にプロデュースされたものです。今後の希望としては古典マンドリンやナポリタンギターのような薄い板フレット、あるいはスペイン独特の板フレットなども復刻できないものかと考えています。時代や国や地域、製作家によってフレットも様々なのです。

一般的な洋白の素材構成は銅62%、ニッケル14%、亜鉛24%で高級食器などに使われており、銀に近い性質を持ちます。ちなみに純銀はやわらかすぎるので純銀製品としては銅などを混ぜて「スターリングシルバー975/1000」が一般的です(時計材料でもホールマーク等でよく知られています)。ギターのフレットとしてはニッケル18%前後が理想とされていますが、今回は材料の時点からこのニッケル含有量を指定して製造しています。以下がその証拠! 今回の製品の検査証明書です。

洋白プレートは指定工場にてレーザー加工機で短冊状にカットされ、ねじれやバリの修正〜最終仕上げまでは熟練した職人によって1本づつ鍛えられて完成されるのです。いわばフレットのロールスロイス!

まぁ、ここまで凝らなくても..... という方は市販の銀板や洋白板を探してきて組成比は目をつぶり、ひたすら1本づつ細く切り出してゆがみをとって幅を調整して..... すべてを手作業で作ってもいいわけですけどね。

 

by Makoto Tsuruta, TOKYO JAPAN.

 

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