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● さて今回の「私的素敵頁」は鶴田の愛用する特製カバンを御紹介しちゃいましょう。通勤・通学のみならず、ちょっとしたお出かけに皆さんもカバンを持ち歩く機会は多いかと思います。私も今までは既製品のなかで気に入ったものを選択・購入して使っていたわけですが、やはり使う機会が多いものだけに「使い勝手」は気になるものです。
旅行カバンや小型バッグなども含めて私がいちばん持ち歩く機会が多いのがブリフケース・スタイルのカバンです。とくに電車や車で移動するときに「ほんのもうちょっと小さければいいのに」とか「もう少しココんトコの厚みが欲しい」とか「握りにくい取っ手で長時間持つと疲れる」あるいは「携帯電話を取り出すのが面倒」なんてこともあるワケです。ここで紹介するカバンはそういった私の日頃の願いが各部に反映されています。各部の寸法はもとより各種ポケットの位置やサイズ、皮の質や厚さや色....私が図面を描いてあれこれ相談しつつ革細工の職人さん(オトモダチ)に特注で作ってもらいました。いわゆるオーダーメイドですな。今では鶴田に無くてはならないカバンであります。
■ 写真1:まずそのサイズが問題です。 380mm x 300mm x 80mm この写真を一見するとどこにでもありそうなサイズに見えますが、じつは電車に乗ったときに膝の上にのっけて隣の人に干渉せず、許されるであろう限度と思われる38cm幅になっています。もちろん今まで使ってきたいくつものカバンのサイズを参考にしています。また、高さはA4サイズの書類を頻繁に使うことと、雑誌がいつでも取り出せたりしまったりできるように考えてあります。厚さは内部にポケットを設けてなおかつ財布やメガネケースの厚みを考慮した8cmとなっています。あと、とくに気になっていたのがカバンのフタといいますか、留め具までの折り返し幅です、この部分が長すぎると電車の中で開いたときに邪魔でしょうがないのです。かといって短かすぎるとデザインとしてアンバランスで不格好......このあたりは職人さんとじっくり打ち合わせしました、そりゃもうじっくりと時間をかけて........。
■ 写真2:内部ですが、これがまたコダワリの集大成でタイヘンなのです。写真ではちょっとわかりづらいカモしれませんが内部の表側と裏側にポケットが張り付いていてここによく使う小物や手帳を入れます。表側の皮のポケットは上下2段になっていて上段には頻繁に使うスケジュール手帳と路線図が、下段にはメガネ拭きや風邪薬のような使用頻度の低いものを入れています。そして内部側面にはベルクロ(マジックテープ)の2つのベルトがあって折り畳み傘を立てて固定できるようになっています。カバンの中をある程度区切ったり傘を縦に固定することでカバンの中のスペースを確保し、収容物が暴れるのを防ぎます。内部のポケットは使い方が難しいですね、何を入れるかによってかさばり具合もだいぶ変わりますので。
■ 写真3:携帯電話ケースと裏側の雑誌入れ。私がデザインが気に入ってずっと使っているF601ev(最近の電話機はマトモなデザインのものが無い)にピッタリのサイズです。裏側の雑誌入れのポケットはじつは個人輸入を頻繁に利用するので郵便局の国際為替の用紙がすぐに取り出せるようにと考えて付けたものです。結果として郵便局窓口でのやりとりが極端に手早くなりました(今までは身分証明書を見せたり為替用紙を書いたりするときにいちいちカバンを開けていたのでうっとおしかった)。あと、このポケットのおかげで、電車で通勤するときはMacFan誌が入るので乗り換えの際に、雑誌のカバン出し入れでモタつくこともありません。ポケットのサイズや深さも私にとってはじつに使いやすくできているのです。
■ 写真4:そう、ハンドル(取っ手)も重要なカバンのパーツです。芯材や皮の種類や皮の厚さ、そして皮の縫い合わせかた...これらは多くの部分で職人さんに任せました。完成品はというと、使うごとによく手になじみ、堅さといい握りやすさといい、デザインといい、たいへん気に入っているハンドルです。既製品といちばん差が出てしまうパーツかもしれません。これを一度使うとあまりの出来具合の格差に既製品のハンドルが使えなくなるほどです、感激のあまり発熱し、三日間寝込んでタマゴ酒で息を吹き返すほどのショックです...。
■ 写真5:じつは以前に黒いカバンを作ってもらっていたのです。つまり今回の茶色のカバンは2作目! コダワリ鞄の2作目ですが基本設計は1作目の黒カバンとほとんど同じです。細部が少しづつ改良されています。現代の自動車や家電製品のデザインのように新作が出るたびにガラリとイメージが変わってカッコ悪くなるようでは困るのであります(機能が進化してデザインが劣化するのは今時のデザインの風潮でしょうか)。今回のカバン設計は商品開発で販売するものではなく、あくまで私的な用途なのでマーケットの動向(ウケるとかコストがかかるとか)は全く度外視してのびのびとデザインしています。ようするにワガママでいいのです。
このカバンには両側面にショルダーストラップ用の金具を付けました、手提げカバンでありながら私は手で持つのがイヤで必ずショルダーストラップを付けます。電車やバスや映画・美術館のチケットや買い物で財布をいじっているときにどうしても両手で財布を持ってやりとりしたいのです(そのときカバンは肩からかけておけば両手がフリーというワケ)。楽器ケースもまったく同様で、原則として両手が空くようにストラップを付けて持ち歩きます。
■ 黒いカバンはだいぶ使い込んできたので各部のラインが落ち着いてきました。今回の茶色のカバンは完成してまもなく撮影した写真なので携帯電話ポケットなどはまだ丸っこい形状ですが、これも使い込んでいくうちに鶴田色に染まって好みの形状に落ち着くでしょう。縫製もしっかりして皮もしなやかで腰があります。次の写真はボディとほぼ同色の皮ストラップを付けたところです、あまり太いストラップは使い勝手は良くてもカッコ悪いので幅についての選択は微妙です。
今回は価格やメーカー(職人さん)をここに記載しませんが、国内にオーダーメイドのカバン屋さんは多いはずです。まずは近所のカバン屋さんをお探しあれ。私はまたいずれ今回のオトモダチ(Y.K様)に何か作ってもらおうかなぁ....なんて勝手に期待してます...。
私は革細工に関してはシロートですが、思ったとおりのイメージでカバンが作られるというのはなんとも嬉しいものです。かゆい背中に手が届くようにこまやかな対応と様々なアイディアと助言を頂いた革細工職人のオトモダチにあらためて感謝であります(大事に使うもんね〜〜〜)。
ああ! これこそまさに私的素敵Pay、こんなんだったら打ち合わせや材料代に費やすお金や時間は充二分に価値があるといえるでしょう.........ウン、ウン...。
■ 番外編
カバンを作ってもらったお礼にというわけでもないのですが、革細工で使うバーニングペン(日本語では焼筆とでもいうべきか?)を作ってみました。皮の表面にペンで模様を焼いて、あとから全体を染めて描いた部分のみ色が染まらずに模様として残る、という模様の細工に使うものです。市販のバーニングペンは木材に使うものを流用してあって温度が高すぎるため皮に使うと焦げてしまうのだそうです。あと、ペン先が市販のものは電極状の尖ったものが一般的らしく、その形状では描きにくいとのこと.....。アメリカ製のバーニングペンのなかには優れたものもあるようですが現在では入手困難?というわけで、今回は鶴田テクノロジーを駆使して鶴の恩返し開発であります.......。何回も作り直して試し書きしたり、部品を交換したりペン先の形状を変えて研磨してみたり.....乾電池式のコードレスも作ったのですが写真はここにありませんけれど......完成まで以外と時間がかかりましたが思いのほか好評のようです。
■ 追加アイテム
このたび革職人の新作をゲットしました! 鶴田の2002年はこのカバンではじまります。御覧のとおり、じつにオーソドックスなスタイルのカバンで、よく街角で誰もが持っていそうですがビニルレザー製が一般的なんですねぇ.....で、こりは肌触りの良い革でできていまして「使い込むほどに味が出る系」といえます。ちゃんとストラップ用の金具がこれにも付いています、今から適当なショルダーベルトを探しにまいります。ポケットが表と裏に付いていて、さらに中にも3つの大小のポケットが備わっており、なかなか使い勝手がよろしいです。こだわりのハンドメイドバッグにぞっこんの鶴田でありました......。
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