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コレが素敵なのだ、これが人類の英知なのだ、自分への投資なのだと、もっともらしい言い訳をしては余計な買物をする。
反省しない。学習しない。愛の言い訳、私的素敵頁。
最近、シネマや写真愛好家からのメールが届くのに気を良くして、誰にも頼まれていないのに勝手にシリーズ化している鉄カメラと銀塩フィルムです。
ちなみに、反響を受けて2021年5月22日にモノクロ/白黒フィルムの現像記事も公開しました。
■カラーネガフィルムの自家現像
現像液の入手から使い方、作例まで。現像液はどれくらいもつのか? なども含めて以下にまとめておきます。
備忘録のつもりですが、失敗も含めてこれから始めたい方の参考になればコレ幸い。
● カラーネガフィルムの現像薬を入手する
【製品Webサイト】CS-41カラーネガフィルム現像セット:液体セットまたは粉セットが選べる
アメリカ・カリフォルニア州のシネスティル社が販売してる現像薬品です。比較的安価で手軽に現像できます。
カラーネガフィルムの現像はコダックのバラ売り業務用補充液のフレキシやエクターの6液とか、
あれこれやりましたが、たぶんこの製品が現時点では広い意味でベストだと思います。
CS-41 CINESTILL(シネスティル/シネスチル/シネスチール)という商品で、
液体版も販売していますが6液で面倒で輸入も難しいので、粉を溶かして使うパウダー版が良いでしょう。
今回は後者の粉セットで説明しています。
3つの銀色の袋に粉末が詰めてあり、開封しないのであれば長期保存が可能です。
このテの製品はすぐに絶版になるので私は5セット買ってあります。
2020年秋のコロナ騒動のなか、アメリカに注文してから2週間程度で届きました。英語の説明書が付属します。
日本ではかわうそ商店が日本語の説明書を付けて販売しています。
なお、説明書どおりでも使えますが、ここでは鶴田メソッドで説明します。
余計な処理や道具を省き、より簡易に、失敗しないよう工夫したわかりやすい方法です。
鶴田法の特徴は、
・洗面台を使います:大きな保温容器は不要。台所のシンクでもかまいません。
・保温器や加温のヒーターは使いません:液温保持の熱容量は洗面台で充分。
・フィルムの前浴はしません:つまり最初の水洗いはやりません。像が消えちゃったこともあったので。
一般的なカラーネガフィルム(C-41処理やCN-16処理)を現像できます。
135フィルム(いわゆる35mmライカ判)のフィルムなら最大24本が現像できると商品説明に書かれています。
かわうそ商店の日本語版説明書ではフィルム8本から12本現像できると書かれています。
私が試したところ、135フィルム7本と120フィルム(ブローニー)7本を現像した時点では、まだまだいけぞうです。
これらの薬品は調合してから2週間程度で使いきることが推奨されていますが、1ヶ月でもおおむね問題ありません。
現像したフィルムの本数は15本を超えましたが、4ヶ月を過ぎても現像できています。
※ その後、使い続けた結論としては3ヶ月以内に25本程度現像できるが、以降は捨てる。となりました。
● 現像液と漂白定着液を作る
粉の現像セットは3つの銀色の袋があって、それぞれ 番号1、番号2、番号3と書いてあります。
約40度ぐらいのぬるま湯で溶かして現像液と漂白定着液を1リットルづつ作ります。
あとあと液のヘタリ具合を把握するためにも保管容器は色のわかりやすい透明なものを準備します。ペットボトルは手軽。
キリンホームタップの1Lビール容器も好都合です。
さて、1番の粉で現像液を1リットルを作ります。空のペットボトル1本を用意しておきます。
ざっくり40度ぐらいのぬるま湯を計量カップに1リットル用意します。1番の粉を入れながらかきまぜて完全に溶かします。
最初はそこいらの公園の砂かと思うほど濁っていましたが、撹拌しているうちに5分ぐらいで透明度が上がります。
呑んだ翌日のオシッコの色(←なんて例えだ!)になれば完了です。
ペットボトルに移し替えて保管します。キャップと容器の両方にサインペンで「カラー現像液」と書いておきましょう。
写真ではキャップのみに書いてありますが、数回使うと色が濃くなって茶色になり区別しづらくなります。
使用期限は冷暗所にて約1ヶ月が目安です。
誤飲の事故を防ぐため、冷蔵庫に入れるべきではありません。常温で充分です。
2番と3番の粉で漂白定着液1リットルを作ります。空のペットボトル1本を用意しておきます。
ざっくり40度ぐらいのぬるま湯を計量カップにざっくり700cc用意します。2番の粉を入れながらかきまぜて完全に溶かします。
白砂糖のように見えますが口にしてはイケマセン。2分ぐらい撹拌すれば透明になります。
そこへ3番の粉を入れてかるくかき混ぜます。すると茶色になり熱反応を起こしてプクプクとアワが5分ほど出ます。
溶けたあと、300ccほどのぬるま湯を追加して1リットルにします。
ペットボトルに入れて保管します。キャップと容器の両方にサインペンで「漂白定着液」と書いておきましょう。
使用期限は常温で半年経過してもおおむね問題ありません。
というわけで、現像液と漂白定着液ができました。冷暗所保管が推奨されていますが、常温保存でかまいません。
使うときに約40度から45度に温めます。
● フィルムを現像する手順
温度計、キッチンタイマー、撹拌棒、漏斗、を準備しておきます。
現像タンクとリールも必要です。使うフィルムのサイズに応じて準備しておきます。
私はLPL社製やCatLab社製を使っています。
暗室は不要ですが、ダークバッグ(チェンジバッグ)があればいいでしょう。
(1)洗面台に43度から45度ぐらいのお湯を張ります。
現像液と漂白定着液をペットボトルのまま10分から15分浸けておきます。
現像液は使うときに現像タンクで少し冷めるのでおおむね39度ぐらいになります。
漂白定着液はテキトーに暖まっていれば、使うときに多少ぬるくなってもかまいません。
(2)温めているあいだに ... ダークバッグを使ってフィルムをリールに巻き、現像タンクに収めます。
この作業は(1)より先に行ってもかまいません。
最近の樹脂リールはオートローディングなのでフィルム巻きは楽です。
未経験であればテストフィルムで練習したほうがいいカモ。
ステンレス製のタンクとリールは昭和の写真部のために開発されたものであり、21世紀の初心者にはオススメしません。
(3)洗面台のお湯が40度を少し超える温度であることを確認します。低かったら洗面台にお湯を注いで温めます。
作業を始めると現像タンク内のフィルムは約39度になります。
※ C-41処理は全自動の機械で行うことが前提のため、厳密には 37.8度 + - 0.15度 で現像することになっています。
漂白定着液はじゃまなので引き上げて近くに置いておきます。
(4)いよいよ現像作業です。
現像タンクに「現像液」を入れてフタをし、3分30秒フィルムを浸した状態で撹拌します。
撹拌は現像タンクを上下にひっくり返します。
最初は10秒連続ひっくりかえし、そのあとは15秒おきに2回転か3回転させます。
それ以外は冷めないように洗面台に張ったお湯に浸けておきます。
ひっくり返すときに現像液がこぼれることがありますが、男の子はそんな些細な事を気にしてはいけません。
時間になったら漏斗を使って元のペットボトルに現像液を戻します。
どこからどこまでが3分30秒なのか、男の子はそんな些細な事を気にしてはいけません。
現像液が新しいうちは3分でもかまいません。
ヘタってきたら(作って2ヶ月経過したとかフィルムを20本以上現像したとか)... 4分現像とか4分半現像します。
何をもってヘタリの証とするのか、男の子はそんな些細な事を気にしてはいけません。
(5)漂白と定着の作業
漂白定着液を現像タンクに注入します。
このときの液温は気にしません、24度から40度の範囲にあればOK.
おおむね8分間浸しますが、最初は10秒連続ひっくりかえし、そのあとは30秒おきに4回転させます。
ひっくり返すとき以外は洗面台に張ったぬるま湯に浸しておきます。
漂白定着液はヘタっても処理時間を変える必要はありません。いつも8分でかまいません。
ひっくり返すときに漂白定着液がこぼれることがありますが、男の子はそんな些細な事を気にしてはいけません。
どこからどこまでが8分なのか、男の子はそんな些細な事を気にしてはいけません。
時間になったら漏斗を使って元のペットボトルに漂白定着液を戻します。
(6)次に5分程度 流水で水洗いします。
取扱説明書には3分間でよいと書いてありますが、鶴田はつい長めに洗ってしまいます。
冷水でなくとも、ぬるま湯で洗ってもかまいません(#冬はちべたいからね)。
漂白定着が終わるとフィルムはタンクから出して光にあててもかまいません。
(7)フィルムを乾燥させます
フィルムを吊して乾かします。オモリ付きのフィルムクリップがあれば便利です。
水滴はスポンジ等で拭き取っておかないと、あとで水滴痕がフィルムに付いてしまいます。
私は富士フイルムの「ドライウエル」に30秒浸してから拭かずに吊しています。
モタモタして1分浸しても気にしない!
フィルムが乾くまで数時間かかります。私は6時間以上乾燥させることにしています。もしくは翌日まで放置。
液がヘタっていたり水洗いが不充分だと、フィルムの乳剤面が白っぽくぼやけてフィルム全体が反りますが、乾くと平常に戻ります。
● フィルムスキャン
あとはフィルムスキャナーでスキャンするだけ .... なのですが、コレが問題なのです。
マトモに色を再現するのはけっこう難しいです。いや、現像よりもむしろスキャンのほうが難しいと私は思います。
私の手元には1万円のフィルムスキャナーがあります。SANWA 400-SCN024
パソコンが不要で、この本体が不ルムスキャンしてSDメモリカードに直接保存されるので、カードをパソコンへ持って行くだけです。わかりやすい。
但し、安価なだけに1400万画素でありながらも解像度が実際のフィルムに追いついていません。
このモデルの場合はオプションのフィルムホルダーを併用すれば35mm判やそのハーフ判、24x24mmスクエアフォーマット、
16mm幅のフィルムやカートリッジ式110フィルムなどもスキャンできます。
致命的なのは演色性の低さ。たぶん演色評価数でいえば CRI 80 とか 70 ぐらいかも。まぁざっくり楽しめます。
ネガフィルムの場合は撮影や現像の時点で色かぶり等が起こることも考えるとPhotoShopで色補正するのは成り行きかと思います。
※ 露出ありきなので、高額なフィルム専用スキャナなら必ずしも綺麗にスキャンできるとは限りません。
【フィルムのサイズが大きい場合】
キャノンやエプソンなどフィルムスキャンできるフラットベッドスキャナが市販されており、それなら120フィルムや4x5inchでも話は早いカモ。
しかし、ウチのフラットベッドスキャナは反射原稿用なので透過原稿のカラーネガフィルムのスキャンには対応していません。
白黒フィルム写真では120(ブローニー判)を家庭用のフラットベッドスキャナにフィルムを乗せて、
そこへLEDパネルライト(トレース台)をかぶせてスキャンしていました。
白黒フィルムならまだいいのですが、カラーネガフィルムとなると補正不可能なぐらい色がアンバランスで使えません(メーカーや機種にもよる)。
カラーネガフィルムのスキャンは白黒フィルムと違って光源の色域(色の波長の均一さ)の偏りが出やすいのです。
良い色を再現するにはカラーネガフィルムの後ろからなるべく自然光に近い光を照てて、デジタルカメラで撮影し、
PhotoShopのような画像処理ソフトで「階調の反転」をさせたほうがうまくいきます。
私の場合は、アニメーションのトレースなどに使うLEDパネルライトの上にカラーネガフィルムを置いてデジタルカメラで撮影しています。
だいぶ前に買ったFuneeds という1870円のライトテーブル。たぶん演色評価数 CRI は 70ぐらいでしょうか?
これを撮影するデジタルカメラの性能にも大きく左右されます。
私の場合は常用しているパナソニックのコンデジ DMC LX100でホワイトバランスを3000K程度まで下げて撮影しています。
シネスチール社ではネガカラーフィルムを撮影するための CRI 95やCRI 99 のパネルライトも販売しています。でも高いのよ。
【2022年4月22日、5月5日追記】
LEDを使ったフィルムビューワーのなかにはCRI 90ぐらいのものもあります。
富士フィルム社の「FUJICOLOR ライトボックス LEDビュアー プロ4x5」というモデルは Ra95 で私も使っています。でも約1万円します。
デジカメはマクロモードもしくは近接撮影のできるレンズを使用します。
ボール紙の手作りマスクを貼って16mmの110判、35mmライカ判、ブローニー判まで幅広く高画質でネガスキャンできます。
ホワイトバランスWBを電球か3000K程度に設定するのがミソ!
PhotoShop等の画像処理アプリで階調の反転を行ってカラーバランスを補正します。
めんどく .... おっと、手間暇と工夫を楽しむのが銀塩フィルム写真の世界ですぞ ^_^;
・Velbon / ベルボン 三脚アクセサリー CLAMP KIT II 卓上撮影用 4000円ぐらい
・自由雲台はボールヘッドのカニバサミのクランプ 1400円ぐらい
■実際のカラーフィルム現像の例を紹介
Zeiss Ikon TAXONA 135film 24x24mm Tessar 37.5mm F3.5 1950年頃製造
東ドイツ時代のましかくに写るカメラ、タクソナです。いわゆるまねき猫。ペンタコンVEB製 エルネマン塔刻印
フィルムは Kodak ULTRAMAX 400
Kodak No.1 JUNIOR 120film 6x9cm 1920年頃製造 自分で整備しました。
フィルムは 120 ブローニー判のKodak PORTRA 400
Minolta 110 ZOOM SLR MkII 20-50mm ZoomLenz + MACRO 1979年頃製造
カートリッジ式16mmフィルム(110フィルム)の究極カメラ。
16mmフィルムにしては大きく重いカメラですが、ミラー式レフレックスでマクロも得意。
フィルムは110型のカートリッジ式 FUJIFILM SUPER G ASA100 使用期限は2003年なので18年経過。
※ 写真に記したクレジットの GOLD200 は私の誤記で、正しくはFUJIFILM SUPER G ASA100です。
SUZUKI Press Van 120film 6x6cm Takumar 75mm F3.5 1953年頃製造
これも自分で修理・整備しました。
鈴木光学株式会社の報道モデル。フィルムは120ブローニー判の Kodak PORTRA 400
Kodak Retina IIc 135film Xenon 50mm F2.8 1954年頃製造
フィルムは Kodak ULTRAMAX 400 現像液は調合してから3ヶ月経過。4分半現像。
夕方の難しい光での撮影例ですが、悪くない仕上がりです。
色かぶりの具合によってはPhotoShop等の画像処理ソフトで彩度を下げてモノクロ化するもよし(むしろそのほうが良い場合も)。
Konishiroku Pearl V Hexar 75mm F3.5 SEIKOSHA-MXL 1957年4月発売
小西六(コニカ/ミノルタ:後にSONYに吸収)のセミ判で6x4.5cmのフォーマット
小西屋六兵衛店は創業1873年(明治6年)の老舗。蛇腹カメラシリーズのパールは由緒ある血統。
これも自分で修理・整備しました。
フィルムは120ブローニー判の Kodak PORTRA 400 現像液は調合から4ヶ月経過、4分半現像。
● 今日のPAY
カラーネガフィルム現像粉セット CS-41シネスチール CINESTILL 1セットのお値段です。・かわうそ商店(送料無料) ¥4200
・米国シネスティル社から購入 $28ドル( 約3000円)+国際送料
2021年3月12日現在では両社ともPayPalでの支払いが可能ですが、送料を考えるとまとめて買ったほうがいいカモ。
■現像のメモとヒント
【撹拌の程度と温度】
不充分な撹拌:結果が赤味をおびる。マゼンタに色が転ぶ。
過剰な撹拌:結果は水色っぽくなる。シアンに色が転ぶ。
現像温度が低すぎる:色の分離が悪くなりコントラスト(明暗差)が低下
現像温度が高すぎる:色の分離が良くなりコントラスト(明暗差)が向上これらの現像の性質を利用して、プッシュ・プルが可能です。つまり増感や減感処理もできます。
現像液は現像するたびに色が濃くなって劣化していきます。沈殿物が生じたら45度で温めながらボトルごと振ってかきまぜれば溶けます。
漂白定着液は元々暗い色のせいか、何回使っても色にはあまり変化がありませんが、しっかりシゴトはします。私は使い続けた現像液を秋から冬にかけて室内に常温保管していましたが、 3ヶ月経過しても現像時間を少し延ばしたり温度を上げたりして工夫することで、現像できました。
現像液が古くなると発色性能はあまり気になりませんが暗部の再現性が落ちます。中間トーンがいまひとつ出にくい感じ。
逆に作りたての新鮮な現像液は3分半といわず3分でも充分で、ちょっとモタモタしていると濃く現像されてしまいます。現像液は日毎にペットボトル内の酸素を吸うようで、しばらく放っておくと容器が縮みます。
なるべく1リットルピッタリの容器のほうが現像液の劣化は少ないかもしれません。35mmフィルムと120フィルムを8本ぐらい現像した場合、おおむね2週間が使用期限と取扱説明書に書かれていたのです。
しかし、補足説明で「どこまでが使用限界かはあなたが決める」みたいなことも書いてありました。
現時点で4ヶ月過ぎましたが、まだどうにか現像できるので続けてみようかと思います。2022年5月3日:35mmフィルムを5本ぐらい現像したあと半年保管した現像液と漂白定着液で現像したところ、問題無く4本現像できました。やや長めの4分現像。
【色ムラ】
色ムラは現像液が新しくても古くなっても発生することがあるので、撹拌の方法にもよるのかもしれません。
カメラ自体のわずかな光漏れも色ムラを起こすことがあります。最近の写真用フィルムはやたら感光しやすいように思います。
冒頭のお茶の水の聖橋から丸ノ内線の写真では右下の河の色と草むらの色がムラになっているのがわかります。原因はカメラなのか現像方法なのか、不明。
色ムラ発生について有識者の意見をモトム。※ 2022年5月3日追記:ひとつ気付いたことがあります。リールの芯と撹拌棒は取り外しておいたほうがいいです。白黒フィルム現像と違ってカラー現像はスピーディなので芯や棒があるとうまく薬液が動かずムラが発生することに気付きました、
【ほぼ全てのカラーネガフィルムが現像できる】
フジフィルム(FUJIFILM)のカラーネガフィルムの現像処理は CN-16 が代表的です。
これはよく言われるようにコダックの規格 C-41とプロセスがおおむね同じですし、実際私も同じ現像液で処理しています。
AGFA社のAP-70処理やコニカミノルタのCNK-4なども同じ処理。
そのほかC-41プロセス派生あるいは互換フィルムであればシネスチール社のこのセットで現像できるハズです。映画用のカラーネガフィルムで ECN-2処理するものは音声用トラックとしてバッキングカーボン層(炭素の層)を持っていますが、シネスティルの現像セットはこれに対応しており、現像液の劣化が最低限で済むようになっています。よくできた現像液です。
【フィルムの巻きグセが強い場合】
巻き癖の強いフィルムやデッドストックのフィルムなどはリールに入れづらいので、いったん他の軸に巻き上げてフィルムの反対側の端から入れるとうまくいきます。
例えばコダック120フィルムのポートラは裏紙がしっかりしています。そのせいか、撮影後にフィルム終わり部分をリールへ巻こうとすると強い巻きぐせのためうまく入っていきません。そこで、ダークバッグ内でいったん120空スプールへ巻き戻したのちフィルムの逆の端をリールへ差し込んでいきます。つまり、少しでもゆるいカーブのクセのほうをリールに挿せば良いのです。そうすればリールにスムーズに入っていきます。
【意外な落とし穴 リールの不具合:鋼球】
白い樹脂製のオートリールは鋼球がスムーズに動かない個体が多いです。フィルムが入れにくく、咬みやすくなります。
リールを軽く揺らしたときに鋼球が自由にカラカラと動くのが本来の構造と思われます。
先の曲がった彫刻刀か、もしくは先の細いデザインナイフ等で玉の溝の下側を削って玉が軽快に動くように修正したほうがいいです。
私は35mmー120フィルム兼用の白樹脂オートリールを7個持っていますが、どれもいまひとつだったので7個全てを削って修正しました。
かなりの高確率で成形不良があります。各社で程度の違いこそあるものの、LPL用もパターソン用もEC無銘品も全てリールの鋼球溝を修正しました。
結果、劇的に使いやすくなり、咬んだり詰まったりのトラブルはゼロになりました。
【現像液の限界】2021年5月1日 追記
久しぶりにカラーネガフィルム現像を行いました。現像液は2020年11月7日から6ヶ月経過しています。
フィルム本数は前回の2021年2月6日 3ヶ月経過の現像以来、パールIIIで1回現像(120ブローニー判フィルム)したのみ。
今回も120ブローニー判フィルム。
まずは現像液がコーヒー色になっていることに気付きました。透明度が下がって濁った泥水のようになっています。42度にて4分30秒現像 8分漂白定着 5分水洗 水切り1分
結果、フィルムの像はかなり薄い。コントラストが低すぎてほとんど像が出ていない。
こうなったら液温や現像時間を延長しても難しいように思います(#現像時間を15分ぐらいに延長すればいけるかな?)
漂白定着液はまだまだ使えそう。しかし、これも潮時かと。
現像液も漂白定着液も破棄することにしました。
保存期間や処理したフィルム本数にかかわらず、現像液が濁って黒ずみ、コーヒー色になったらオシマイなのでしょう。★ 個人的な結論としては3ヶ月以内に25本程度現像できるが、以降は捨てる。
● 関連リンク
米国シネスティル社 各種銀塩フィルムや現像液やスキャニング機材。C-41カラーネガフィルム現像セット
※ どちらもすぐに売り切れるので入荷したらスグに注文すべし!
● あとがき
ちょっとしたお出掛けのついでに戦前の古いカメラに銀塩フィルムを入れて、寄り道しながら撮影。
近年は「新版画の現地を訪ねる旅」を勝手にマイシリーズ化しています。
彼の地を堪能し、美味しいものでも食べて帰宅したら、もうひとつ現像の楽しみがあるわけで。
1回のお出掛けで2回楽しめる感じ。
以前から黒白ネガフィルムの現像は自己流で楽しんでいたのですが、カラーネガフィルム現像にはさほど興味もなく手を付けずにいました。
しかし去年(2020年)から長いことコロナ様のおかげで、思うように出掛けられず ...
それなら! というわけで、引きこもりついでに(←巣ごもりって書きなさいよ)、
この機会にカラーネガフィルムの現像を修得しようと思いついたのです。
年を越して2021年3月現在までに20本ぐらいカラーフィルムを撮って現像したでしょうか ... まだまだ初心者レベル。
熟練者の皆さんから良いアドバイスがあればメールにて御教示くだされ .....
ちなみに、反響を受けて2021年5月22日にモノクロ/白黒フィルムの現像記事も公開しました。
※ 現像液は多少なり人体に害を及ぼすことがあります。個人の体質等によってはゴム手袋などを使うほうが安全です。くれぐれも自己責任にて。
2021年3月12日記事公開、2022年5月5日追記
コロナは続くよ♪どこまでも♪
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