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■ Title : Apres une aubade
19世紀末期頃 /Photogravure : Painter G. Weiss.
● Apres une aubade
G. Weiss による「Apres une aubade」。Weissといってもリュート作品でおなじみのS.L.Weissではありません。この画家は私はよく知りません。調べたところ Georges Emile, Geo Weiss(1861 -1921年)のことであろうと推察しまする。パリサロンに1887年に出展した油絵の版画版と思われます。私が入手した現物は1900年頃?のおそらく版画集から切り取られたものでしょう。
Apres une aubade というのは「セレナーデのあとに」みたいな感じでしょうか。セレナーデというのは皆さんも御存知のとおり、夜な夜な男性が女性へ聴かせる音楽のことでしょうけれど、ここでは宴会へと盛り上がってますなぁ。庶民も貴族も飲めや歌えの賑やかなひととき。おいしい料理にワインもすすみます。
ふと左手に目をやるとロングネックのリュート族(ボウルバック)の楽器が...。スクロールのヘッドに木ペグが6本有り、3コースかと思いきや、注意深く観察すると右手プレクトラムで弾く弦は明らかに6単弦。指板には少なくとも20本以上のフレットが配置され高音域のエクステンションフレットは表面板にあります。やはりイタリアンでしょうか? ほぼ真円のサウンドホールにロゼッタはありません。表面板の周囲にはパーチメントかヴェラムとおぼしき革が縁取りされています。さらに注目すべきはテール! リブの組み方に御注目! 一般的なイタリアのマンドリンではテールにキャップが有り、そこへ向かって収束するように笹の葉状のリブを組みます。しかし時代と地域によってはリブの収束点がテールではなくボウルの中心(いちばん深いところ)にあったりするのです。興味深いですねぇ....。さらに、さらに、さらに、目を凝らすとフィッシャーマンのピックアップが装着されて...... いない!いない!
テーブルに目をやると、大きなタコ焼きが見えます。あ、いや、ヴィオール族の楽器も登場します。よく見ると、こっちを向いて弾いているおじちゃんの楽器とは別に、窓ワクに1本横たわっています。二人寄り添うお年寄りのおじいいちゃんの手元を御覧あれ。かつてはお爺ちゃんが月夜の晩にこの楽器でベランダのお婆ちゃんへセレナーデを弾いて聴かせたにちがいありません。
弾かれていない楽器がもうひとつ。右端のコントラバス(ウッドベース)。なんと3弦です。ちなみに糸巻きは機械式だったりします。16世紀にヴィオル族の6弦ヴィオローネ(Violone)から派生したといわれるコントラバスですが、フランスで3弦が考案されたのちイタリア、イギリス、スペインへ広まったとする説があり、ドイツでは一般的ではなかったものの、ヴェートーベンが3弦バスのための楽曲を書いたともいわれています。
紙のサイズ:212mm X 309mm
印刷面サイズ:128mm x 154mm
裏面:ブランク
側面:-
版画集より